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タレントマネジメントに興味はあるものの「うまく活用できるか不安」「どのような成果が出るのかもう少し具体的に知りたい」と考えている方は多いのではないでしょうか。
本記事ではタレントマネジメントの成功事例・失敗事例を複数社ご紹介します。タレントマネジメントの活用場面や運用時の注意点などを、具体的に掴んでいただければ幸いです。
企業の持続的な成長につながる「1on1」とは?
11の1on1テーマ、チェックリスト等、1on1の基礎から具体的な進め方まで解説
タレントマネジメントとは?
タレントマネジメントとは、企業の経営資源の1つである「ヒト」の持つスキルや能力、経験などを一元管理して、人事戦略や採用・人材育成、人材配置などに活用する人材マネジメント手法です。
従業員一人一人の客観的なデータに基づいて人材マネジメントを行うことで、従業員の力を最大化させて、企業成長につなげることができます。
2000年代の欧米で「優秀な人材の早期発掘」「適正配置」「育成支援」の一連のプロセスを統合的に捉える人材マネジメントを指す言葉として使われるようになり、日本では2010年前後に普及し始めました。
タレントマネジメントの目的
タレントマネジメントは、企業の経営目標を達成するという目的をはじめ、人材採用や育成の効率化・コスト適正化など、さまざまな目的で実施されます。タレントマネジメントの目的例は次の通りです。
- 経営目標の実現
- 人材採用、育成
- 適材適所の実現とパフォーマンス最大化
- 人材の定着とリテンション
経営目標を達成し企業が成長を続けるためには、人材採用や育成、適材適所の人材配置と定着支援などが必須です。属人的かつ感覚的に考えた人事施策ではなく、タレントマネジメントの根拠に基づいた人事施策を講じることで、企業の目的や目標に近付くことができるでしょう。
納得感のある評価を効率的に行うための仕組みを整備し、従業員の育成や定着率の向上に効果的な機能を多数搭載
・360°フィードバック
・1on1レポート/支援
・目標・評価管理
・従業員データベース など
タレントマネジメントシステムの仕組みや機能
タレントマネジメントのメイン機能は「従業員のデータ管理」「目標・評価管理」「従業員・組織サーベイ」の3つです。それぞれの内容は次の通りです。
①従業員データ管理
紙や表計算ソフト、複数のシステムに散らばった従業員情報を一元管理する機能です。
②目標・評価管理
従業員データベースと連動させることで、従業員ごとの目標設定や評価シートの管理がスムーズになる機能です。評価者コメントや評価面談の進捗なども可視化できます。
③従業員・組織サーベイ
タレントマネジメントの多くは、従業員エンゲージメントや組織状態をグラフなどで可視化できるサーベイ機能を搭載しています。
タレントマネジメントの基本機能や活用ポイントは次の記事でご確認ください。
タレントマネジメントの成功事例5選
タレントマネジメントの導入効果や運用時の取り組みポイントについて、HRMOSタレントマネジメントの導入企業様の事例を通してご紹介します。
タレントマネジメントの成功事例を確認して、自社の導入プロセスや運用の見直しなどに活用いただければ幸いです。
成功事例1:「1on1」を組織目標の達成に有効活用
株式会社ユニークワンは「地方のIT化をリードする」をミッションに、Webマーケティング事業で中小企業800社超の支援実績を持つインターネット広告会社です。
HRMOSタレントマネジメントの導入前は、表計算ソフトで目標管理を行っており、情報の蓄積に限界を感じていました。
また、従業員のスキルや経験、価値観などを把握して、従業員の力を引き出すために実施していた1on1が、従業員の相談や愚痴を聞く場になっていたのです。
1on1を目標達成の手段として生かしきれていない点に課題を感じて、HRMOSタレントマネジメントを導入しました。
HRMOSタレントマネジメントの導入後は、改めて1on1を「組織目標を達成するための場」と定め、個人目標や評価とともに情報の見える化を実現。1on1が浸透したことで、全社的に目標に対する意識も向上し、議論の質も向上したそうです。
成功事例2:サーベイの活用で課題を数値的に可視化
トラボックス株式会社は、運送会社と荷物を運んでほしい会社をつなぐ国内最大級の求荷求車サービスを運営しています。人材活用を組織改善につなげる取り組みを検討する中で、HRMOSタレントマネジメントによるサーベイの活用を試みました。
HRMOSタレントマネジメントの導入後は、月に1回パルスサーベイを実施しており、半期に1回、組織診断サーベイを行っています。サーベイの結果を全社ミーティングで発信したり、経営陣などの会議で活用したりしているとのことです。
HRMOSタレントマネジメントを活用することで、サーベイの数値を分析して定量的な課題抽出が可能になりました。その結果、サーベイによる課題抽出から対策の提案、施策実施後のモニタリングのサイクルを回しやすくなり、データに基づく改善アクションがとれるようになったそうです。
成功事例3:ICTを活用し人材の確保とリテンション効果改善
A社は、全国展開するフランチャイズ型のチェーンです。店長のパフォーマンスによって店舗の売り上げが左右されるため、以前からパートやアルバイトを店長候補として積極的に社員登用してきた実績があります。
A社はタレントマネジメント実践のためのICT(情報通信技術)を導入して、パフォーマンスの高い店長の特性をデータ化して解析しました。同時に店長候補のパートやアルバイトの適性や意欲、商品知識やスキルなどの情報をデータ化し、月ごとに収集・更新しています。これにより、店長候補を全国から簡単に検索できるようになりました。また、各地のスタッフからの相談をデータとして集め、緊急性の高いスタッフを定期的に検索して、相談内容に応じたサポートができる仕組みを構築したことによってリテンションも高まりました。
成功事例4:若手社員の想起育成にタレントマネジメントを活用
総合商社B社の成功事例では、タレントマネジメントの導入によって若手社員の活躍の場が広がり、エンゲージメントも向上しました。
B社の課題はグループ内の事業会社の経営領域に若手社員を配置するため、社員を早期に育成することでした。しかし縦割りの組織運営などに阻まれ、従来の人材マネジメントでは対応できないと判断してタレントマネジメントの導入に至ります。
HRMOSタレントマネジメントの導入後はまずデータベースを構築して、複数のシステムに分散されていた人事や評価などの社員情報を一元化しました。全社横断的な、人と組織の可視化を目的として、データは経歴やスキルだけでなく、性格や行動特性、上司や同僚との相性などの蓄積に取り組みました。
蓄積したデータをもとに、年功序列の人事評価にメリハリをつけて、若手社員を積極的に登用してモチベーションを高めながら、年次や職種を超えた活躍ができる環境を構築しました。若手社員が希望するキャリアプランを上司と共有する場を設け、従業員が望むキャリアを実現できるよう会社がサポートする姿勢を示すことで、リテンションも向上しました。
成功事例5:優秀な人材の選定と長期的な育成に成功
自動車メーカーのC社がタレントマネジメントに取り組んだ理由は、人材活用のグローバル化が進んだことによって日本人が就くキーポストが減少し、優秀な日本人の後継者の不足に直面したことでした。
この課題に取り組むため、日本人ならではの魅力と、データに基づくロジカルシンキングスキルを兼ね備えたグローバル人材の育成強化を図りました。
HRMOSタレントマネジメントの導入後、さまざまなデータ分析を重ねる中で、日本人がキーポストに就けない原因は現場経験やマネジメント経験の不足や、早期昇格や抜擢に対する抵抗感、包括的な育成体系、育成環境の不足などが要因だと考えました。
そこで、40歳台でもビジネスリーダーやポストへの着任が目指せるような人材育成計画を立てるため、タレントマネジメントの専門部署を設置。
具体的な取り組みとしては、社内人材を発掘するための「社内スカウトマン」の導入です。スカウトマンは優秀な人材に声をかけて、リーダー育成用プログラムへの参加を促し、5年から7年ほどかけてリーダー候補を育成しました。
当該育成プログラムは、人選とアセスメント、育成計画とフォロースルーから成り立つもので、人選からフォロースルーまでのサイクルを何度も回すことで育成が加速する仕組みとなっています。
その他、ニトリホールディングス様やグロービス経営大学院様のタレントマネジメントに関するインタビュー内容もご参考ください。
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・成果につながる1on1の実現
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・人事の業務負担が3分の1以下に
・評価運用の工数を2週間分削減
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タレントマネジメント導入失敗事例から学ぶ
タレントマネジメントの成功事例だけでなく失敗事例も確認することで、課題を先回りして特定し、対策が可能になるでしょう。例えば、タレントマネジメントの導入目的を明確にできておらず、やみくもにデータを集めるだけで効果を実感できない企業は少なくありません。
他にも、従業員への浸透がうまくいかなかったり、データの更新を継続できなかったりするなど、導入したての企業が陥りやすい失敗も存在します。
次の記事では、タレントマネジメントの失敗事例を11選取り上げて、それぞれの対策法を解説しています。ぜひ本記事の成功事例とあわせてご確認ください。
関連記事:タレントマネジメントの失敗事例11選!失敗理由と成功のポイントを紹介
成功事例を参考にタレントマネジメントを行いましょう
タレントマネジメントの導入を検討中の企業様や、導入したばかりで効果を実感できていない企業様は、タレントマネジメントの成功事例を参考にして自社の取り組みを見直してみましょう。
成功事例を知ることで、どのような目標設定を行い、その目標を現場にどのように浸透させているのかなど、具体的な施策内容も確認できます。
HRMOSタレントマネジメントでは、コニカミノルタマーケティングサービス株式会社やauコマース&ライフ株式会社など、7つの企業での導入事例を無料で公開しています。
まとめ
タレントマネジメントは、従業員一人一人の能力やスキル、経験など、幅広い情報を蓄積・一元管理して、経営目標の達成に生かす人材マネジメント手法です。労働力人口が減り続ける今、人材の力を最大限に発揮させるアプローチが、どの企業にも求められています。
本記事でご紹介したタレントマネジメントの成功事例、失敗事例を参考に、ぜひタレントマネジメントの導入を検討してはいかがでしょうか。