ジョブローテーションとは?メリット・デメリット、人事における意味を解説

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社員の育成は、企業の抱える重要な役割であり課題の一つです。育成方法によって社員の成長や得られる知識・スキルは変わり、モチベーションにも大きな影響を与えるでしょう。本記事では、多くの企業が導入している育成制度の一つである「ジョブローテーション」について解説。無駄、時代遅れという意見もある中、人事におけるジョブローテーション(制度)の目的や意味、メリットやデメリット、導入の流れや注意点もあわせて紹介します。

ジョブローテーション(制度)とは?

ここでは、導入前に把握しておきたいジョブローテーション制度の基本的な知識を解説します。

ジョブローテーションの意味

ジョブは仕事を、ローテーションは回転や循環を意味する言葉です。「ジョブローテーション」とは、企業内において特定の社員に複数の部署での業務や職種を経験してもらい、育成に役立てようとする制度を指します。ローテーションの表現の通り、企業内を循環する形で部署などをいくつも移りわたる点が大きな特徴です。たらい回しのようなネガティブなイメージで捉えられるものではなく、あくまでも人材育成計画にもとづいて戦略的に行われます。「戦略的人事異動」「計画的人事異動」とも呼ばれるのは、そのためです。

ジョブローテーション実施期間や頻度

ジョブローテーションで一つの部署や職種に従事する期間はさまざまです。企業ごとの状況や育成目的、あるいは社員の特性により変わります。短いケースでは半年ほどで、一般的には3〜5年程度を目安に次の部署や職種へと移ります。新入社員など若手に対して行われる場合は、短いスパンかつ高頻度での実施も珍しくはありません。適性の見極めや企業に慣れてもらうことを目的とするケースが多いためです。一方、幹部の育成ではある程度長い期間で頻度を抑えながら実施されます。部署ごとの業務や状況の把握、人間関係の構築なども必要となるためです。


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ジョブローテーション制度と人事異動・社内公募制度との違い

企業内での社員の部署や職種の変更を伴う制度には、主なところでは他に「人事異動」「社内公募制度」があります。それぞれジョブローテーションと異なる点をみていきましょう。

人事異動との違い

人事異動は特定の社員に対し、主に組織内での役割の変化に伴い実施されます。昇格や降格、さらには職種の変更なども、基本的には企業都合のみで行われる点が特徴です。そのため、社員側には決定権はなく、意思や希望も反映されません。人事異動の目的はさまざまですが、組織の活性化や人員の補充、部署やプロジェクトの強化のための実施が一般的です。ジョブローテーションも同様の目的が含まれつつ部署や職種、勤務地が変更されることがあります。最大の違いは、ジョブローテーションが人材育成を最大の目的としている点です。人事異動はどちらかといえば経営戦略の意味合いが強く、ジョブローテーションは人事戦略の意味合いが強い制度である点に違いがあります。

社内公募制度との違い

社内公募制度は、主にキャリア開発支援の一環として実施されます。企業が人材を求めるポストや職種を条件とともに公開し、社内で希望者を募ります。応募者の中から選定が行われ、公募したポストや職種に就く人物が決定される制度が社内公募制度です。この制度は人事戦略の一環といえます。ジョブローテーションと異なるのは、社員自らが応募する点です。ジョブローテーションはあくまでも企業側が対象者を選定します。社員は基本的にジョブローテーション制度への参加を希望できず、希望したとしても、それが対象者の選定に大きな影響を与えることはありません。

ジョブローテーション制度のメリット

ジョブローテーション制度の導入は、企業側にとって多くのメリットがあります。導入を検討する際は、得られるメリットを企業が求めているか否かの精査が重要です。ここでは、ジョブローテーション制度導入によるメリットを紹介します。

メリット1:企業全体を見渡せる幹部候補の育成

人事戦略の一環として行われるジョブローテーションは、幹部候補の育成が主な目的となります。企業経営を担うことになる幹部候補は、企業全体を見渡せる能力を備えていなければいけません。ジョブローテーションを利用し年月をかけ得られる企業内のさまざまな部署や職種での経験により、その能力が養われます。現場の状況をまったく知らない人物に経営を任せるのは、大きな組織ほど難しいでしょう。早めに現場の感覚を掴み、各部署への理解を深めることは幹部候補に必要な経験となります。

メリット2:人材の適性の把握や適切な配置

ジョブローテーションは、社員の適性を見極める目的でも実施されます。特に能力が高いと判断された社員は、そのポテンシャルを存分に発揮できる部署や職種への配属が重要です。ジョブローテーションを通じ、さまざまな仕事を経験することで、対象者となる社員に適した業務の発見へとつながります。特に、若い社員が感じやすいミスマッチの防止にも役立つでしょう。結果的に、早期退職を防げる効果も期待できます。

メリット3:社内のネットワークの構築

規模の大きな企業では、しばしば異なる部署間や職種同士で軋轢が生じるケースがあります。横のつながりが強固にならなければ、いずれ企業全体にも悪影響を及ぼしかねません。ジョブローテーションでは、特定の社員に限りますが、部署間や職種間の異動が行われます。この社員を中心として社内のネットワークが構築され強固なものとなれば、組織全体のまとまりにもよい影響を与えます。新たなプロジェクトを立ち上げる際にも連携が取りやすくなり、社内のコミュニケーションの活性化にも寄与するでしょう。

メリット4:モチベーションの向上

ジョブローテーション制度の対象者として選ばれることは、社員にとっては非常に大きな名誉です。企業全体の人事戦略として重要な役割を担い、かつ幹部候補として認められたとみなせるためです。この事実のみでも、モチベーションや企業へのエンゲージメントが高まる人は少なくありません。また、実際にさまざまな部署や職種での経験を通じて、やりがいや達成感を得る人も出てくるでしょう。成長意欲が高く新たな知識や技術の習得に貪欲な人であるほどモチベーションの向上や、より早い成長が期待できます。そうした意欲や成長が周囲にもよい影響を与えれば、組織全体のモチベーションや意欲の向上にもつながります。

メリット5:能力の開発や拡大

これまでとは異なる業務の遂行により、新たな能力が開発される可能性も高まります。業務内容のみならず、接する人も変化するため、さらに能力の開発や拡大が促されるケースは少なくありません。担える業務も増え、視野も拡大すれば、より優秀な人材となって企業に利益をもたらします。欠員が出た際の対応もしやすくなり、新たなプロジェクトを立ち上げる際にも任せやすくなるでしょう。柔軟に対応でき、かつ多分野で十分な活躍が期待される、いわゆるジェネラリストの育成へとつながる点もジョブローテーションの効果の一つです。

メリット6:イノベーションの創出

新たな経験や知識の吸収、多くの人との出会いはイノベーションの創出の源となります。ジョブローテーション制度によりそのような体験をした社員からは、革新的なアイデアやプロジェクトの発案が期待できるでしょう。イノベーションの創出は、企業が成長し生き残るためには欠かせません。ジョブローテーション制度の導入は、新たな発想を生み出す社員の創出になるともいえます。

メリット7:業務の属人化の防止と効率化

組織内で、同じ人物が同じ作業を担う状態が長期間続くと属人的となりかねません。その人物が退職してしまえば、誰も同様の業務が行えなくなります。ジョブローテーションにより選ばれた社員に多くの業務を担わせることで、そうした属人的な組織から脱せられるでしょう。また、ある業務に従事可能な社員を育成により複数人用意できれば、組織全体の効率化にもつながります。誰が担っても同様のクオリティが保て、かつ多くの若い社員に対しての同時教育も可能なためです。時期やプロジェクトによって、必要な業務に必要な人員を容易に集中させられます。逆に、人員を分散させて、さまざまな業務の同時進行での実行も可能です。

メリット8:不正や癒着の防止

属人的な組織は、しばしば不正の温床となります。他の社員の関与が一切なければ、決められた担当者が自由にコントロールできる業務が作られてしまいます。データの改ざんや経理関係の不正などが代表的です。また、部署やチームを組織する人員の固定は、癒着へつながる恐れがあります。外部からの監視が行き届かなければ、一部の社員による意向や独断で部署やチーム内の状況や他部署あるいは他企業との関係性のコントロールが可能です。ジョブローテーションにより新たな社員が入る効果は、こうした属人的または閉鎖的な組織の風通しをよくする点にもあります。結果的に、企業に大きなダメージを与えかねない不正や癒着の防止が可能です。


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ジョブローテーション制度のデメリット

多くのメリットがある一方で、ジョブローテーション制度にはデメリットやリスクも存在しています。この制度の導入により生じうる主なデメリットを解説します。

デメリット1:スペシャリストの育成が困難

ジェネラリストの育成が可能なジョブローテーションは、逆にスペシャリストの育成が困難である制度といえます。短くて半年、一般的には数年程度で部署や職種を変更するため、同じ業務を長期間にわたり担えないためです。幅広い知識や経験を得ながら能力や見識の幅は広げられるものの、技術の深化は難しくなります。複雑な業務や高度な技術を要する作業は、スペシャリストに頼らざるをえないでしょう。そのスペシャリストの育成ができなければ、企業としての成長も見込めません。ただ、ジョブローテーションの対象者は一部の社員に限られます。多くの従業員を抱える企業は、異なる形でスペシャリストの育成も可能です。役割分担ができていれば、大きなデメリットとはなりません。

デメリット2:生産性の低下が起こる可能性

部署やチームによっては、新しい人材が入ることで生産性や効率が下がるリスクがあります。チームワークの乱れや、移った先の社員がジョブローテーションの対象者の教育や指導にあたる必要が生じれば、これまで通りの業務が行えなくなるでしょう。一方で、ジョブローテーションの対象者もモチベーションの維持が難しくなると、生産性の低下の原因となりかねません。組織側のサポートやフォローによりリスクを最小限に抑えられる可能性はあるものの、一時的な生産性や効率の低下を考慮したうえでの実施が重要です。

デメリット3:離職につながる可能性

ジョブローテーションの対象者への選出は企業からの期待の表れです。しかし、現在の部署や業務にやりがいを感じていたり意欲を持って取り組んでいたりする人にとっては、対象者に選ばれたことが逆にモチベーション低下を招きかねません。この制度は、基本的には企業側の人事戦略により実施されます。選ばれた社員の希望に沿うとは限らない以上、納得や理解が得られなければ離職につながる可能性も否定はできないでしょう。優秀な人材を逃すリスクもあるため、企業側が慎重に対象者の選定や実施を進める必要があります。

デメリット4:育成などにコストがかかる

人材の育成には投資が不可欠です。どのような組織や業務でもコストからは逃れられません。しかし、ジョブローテーション制度の導入では、前述のように生産性の低下や離職へとつながるリスクがあるため注意が必要です。想定以上に生産性が低下したり、ある程度育成に成功した社員が離職したりすると、かけたコストに見合った効果が得られないでしょう。費用だけではなく時間的コストもかかる制度であるとの認識も求められます。事前にコストを計算・把握したうえで制度の運用を検討しなければいけません。

ジョブローテーション制度を導入しやすい企業例

企業により、ジョブローテーション制度の導入の向き不向きが異なります。まずは、このジョブローテーション制度の導入に向いている企業の例を紹介します。

1.部署間の連携や関係性が強い企業

すでに部署同士の連携が日頃から行われる体制が整えられており、実際に強い関係性により成り立っている企業は、ジョブローテーション制度の導入に向いています。他の部署からこの制度のために新たな社員が送り込まれたとしても、多くは歓迎するでしょう。自社商品の開発や提供に関する業務を部署間で連携しながら進めている企業などが該当します。プロジェクトごとに連携する部署を入れ替え、会議やプレゼンテーションを合同で行う習慣のある企業も当てはまります。ポジティブな形での人事異動が盛んな企業も同様です。

2.幅広い知識や多角的な視点が求められる企業

業務を担う際に、幅広い知識が求められる企業も、この制度の導入価値が高まります。規模の大きな企業の場合、業務によっては狭く深い知識や技術を必要とするものもあるでしょう。しかし、他の業務についての理解や多角的な視点がなければ商品開発やプロジェクトの進行に支障をきたすケースの多い企業において、この制度は非常に重要です。ジョブローテーションを経た従業員の経験は意味を持ち、長期的にみれば大きな効果を発揮します。

3.企業の理念やポリシーに重点を置く企業

同じ企業でも、部署が異なれば理念やポリシーの理解も異なることがあります。企業内で社員の流動性を高められれば、異なる部署や職種であっても企業の理念やポリシーを浸透させやすくなります。偏った意見や価値観を持つ社員のみの集団であり続けることを回避できるためです。特に、M&Aにより異なる企業が吸収・合併されたケースや、支社や店舗が全国各地にある企業などが該当します。

4.業務内容のマニュアル化が可能な企業

もし、業務のマニュアル化が可能であり、それを元とすれば比較的容易に業務が遂行できるのであれば、ジョブローテーション制度の積極的な活用を検討する価値があるでしょう。新たに配属された社員でも、マニュアルの存在により業務を任せやすいためです。マニュアル化が難しくても、短期間である程度の業務が担えるような職種の多い企業もジョブローテーション制度に向いています。

ジョブローテーション制度の導入に不向きな企業例

続いて、ジョブローテーション制度の導入が不向きな企業の特徴を解説します。部署ごとに業務内容も異なるケースが多いため、企業全体の特性や状況に鑑みての判断が重要です。

1.各部署の専門性が高い企業

マニュアル化が難しく、かつ専門性の高い業務が大半を占める企業では、ジョブローテーション制度はあまり向かないでしょう。短期間で知識や技術を習得するのは難しく、教育にもコストがかかるためです。若い社員に対し長期にわたる育成を試みるのは可能ですが、専門性が高度であるほど対象社員のモチベーションの低下リスクも高まるため注意しなければいけません。中途半端に経験を積ませるよりも、プロフェッショナルの育成に注力した方が良いでしょう。

2.部署や職種により待遇に大きな差がある企業

部署や職種ごとに給与などに大きな差があると、異動のたびに待遇を変化させざるをえません。待遇を変えず、仮に、配属先の社員たちの待遇に満たないままであれば、対象社員から不満が出る可能性があります。逆に、対象社員が配属先の社員たちよりも待遇がよければ、当該部署で以前から働いていた社員たちから不満が噴出する恐れがあるでしょう。企業にとって重要なポジションの育成目的であったとしても、導入するのであれば待遇面にも配慮が必要です。

3.プロジェクトの大半が長期にわたる企業

数年単位でプロジェクトを遂行するケースの多い企業も、ジョブローテーション制度はマッチしないでしょう。プロジェクトの進行中に、同じ企業内の社員とはいえ参加したり出て行ったりすれば支障が生じかねません。ジョブローテーション制度を取り入れるのであれば、新たなプロジェクトが始まるタイミングで配属させるなどの工夫が求められます。

ジョブローテーション制度導入の流れ

ジョブローテーション制度を取り入れる際の基本的な流れを、それぞれのプロセスでの注意点にも触れながら解説します。

1.対象者を選定する

最初に行うのが、この制度の対象者の選定です。ジョブローテーションには、一定のコストがかかりデメリットやリスクも生じかねないため、慎重な選定が求められます。年齢や勤続年数など数字上での判断も重要ですが、能力や意欲、価値観といった内面もリサーチしながら選定しなければいけません。

2.配属先を検討・決定する

配属する部署や担当する業務を検討し、決定します。一定の期間をかけて複数の部署や業務を経験してもらうのが一般的ですが、配属先や配属の順番などは対象者に合わせると効果が得られやすくなります。単に欠員が出たから配属させるといった短絡的な決定ではなく、あくまでも育成を目的とした人事戦略のもとでの決定が重要です。

3.実施期間と目標を設定する

実施期間の設定も重要です。人事戦略に関する計画を作成したうえで、どの部署にどの程度の期間配属させるのかを決定します。業務内容によっては短期間の配属が適しているケースもあれば、逆に長期間携わってもらった方がメリットが大きい場合もあるでしょう。同時に、各部署での活動ごとの目標を立てます。目標に沿って実施期間を調整する、あるいは逆に実施期間によって目標を決めるなど、適切な期間と目標の設定が求められます。

4.対象者へ通知する

対象者を選定し、配属先や実施期間、目標を設定したら、その対象者へと通知します。伝え方により、対象者の受け取り方は変化します。決定事項を事務的に伝えるのではなく、期待することや対象者自身にとってのメリットなどの説明も不可欠です。ジョブローテーション制度の対象者となる可能性の高い社員に対しては、選定前からコミュニケーションを図っておく必要もあります。本人にどの程度の意欲があり、どのような価値観を持っているのかを把握するためです。準備を整えておくことで、いざ対象者へと通知した際にも受け入れてもらいやすくなるでしょう。

5.ジョブローテーションを実施する

計画に沿って、実際にジョブローテーションを実施します。長期的な目標を達成するための短期的な目標も立て、進捗や達成度合いを逐一確認する作業も必須です。必要に応じて面談を行い、モチベーションなど内面も含めて確認します。当然ながら、配属先への配慮も欠かせません。同じ企業内でも人事部のみの判断を押し付ける形での実施では、よい効果は得られないでしょう。

6.新たな配属先の決定と実施を繰り返す

当初決められた期間を終えたり目標を達成したりしたら、次の配属先を決定し異動させます。基本的には同様の流れを繰り返しますが、対象社員の成長やモチベーションを考慮しながら、配属先や配属期間の変更など柔軟に対応しましょう。

ジョブローテーションを効果的に行うポイント

単にジョブローテーションを実施するだけでは、十分な効果は得られません。戦略的な実施が重要ですが、それにくわえて意識したいポイントもあります。ここでは、ジョブローテーションで効果を得るためのポイントを解説します。

1.サポートを徹底する

欠かせないのが、ジョブローテーションの対象者へのサポートです。一定の期間をかけて育成する目的で行われるため、若い社員の抜擢も少なくありません。そのようなケースでは、特に企業からのサポートが重要です。サポートには、さまざまな方法があります。配属先について、業務内容や社員の特徴などをあらかじめ情報として提供しておくのも一つです。配属先へ事前に入念な説明を行い、理解してもらうなどの働きかけも欠かせません。教育の担当者を決定し、いつでも相談にのれるような体制の構築も必要です。当初は意欲が高くジョブローテーションの対象者となったことを喜んでいたとしても、環境や業務に馴染めなければ疑問を持ち始める可能性もあります。精神面でのサポートも徹底しながらの推進が不可欠です。

2.目的を明確にする

なぜ、わざわざ配属先部署や対象者に負担がかかりかねないジョブローテーション制度を導入し実施するのか、この点を整理しておく必要があります。目的が曖昧なまま実施すれば、形骸化してしまう恐れがあるでしょう。企業全体としての目的はもちろん、各部署や職種にとっての目的も明確にしておきます。各方面から疑問が投げかけられた際にも、即座に対応しやすくなるためです。明確な目的を伝えられなければ、各部署や社員の協力も得られません。目的は、当然ながらメリットやベネフィットが得られる形で定める必要があります。結果的に、企業や当事者の利益になると理解されることが重要です。

3.対象社員の納得と理解に努める

対象者となる社員が、この制度を受け入れなければ、そもそもジョブローテーションは成立しません。対象者の選定などは企業側が行うものの、押し付ける形では効果が得られないでしょう。企業には、対象者の納得と理解に十分に努める責任があります。そのためには、サポートの徹底と明確な目的があるとの伝達が肝要です。対象者の理解とは、この制度に対するものも含まれます。「名誉だから受け入れる」「よい機会だから挑戦してみる」といった程度では理解に乏しいと言わざるをえません。この制度の効果を最大化し企業が享受するには、対象社員のジョブローテーション制度への理解を深めるとともに意義の把握が不可欠です。

ジョブローテーションは社員と企業の双方にとってメリットの大きな制度

特定の社員を選定し、企業内の複数の部署や職種へ異動させる人事手法である「ジョブローテーション」。多くは、幹部候補やジェネラリストの育成を目的として実施されます。部署間のネットワーク構築にも寄与するでしょう。一方で、コストがかかる点やスペシャリストの育成には向かない点はデメリットです。適切に取り入れられれば、社員にとっても企業全体にとっても恩恵のある制度といえます。

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