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企業の人事部門にとって、限られた人材を効果的に活用するために、人事管理システムに加えてタレントマネジメントシステムを適切に使いこなすことが不可欠です。しかし、この両者の違いについて正確に説明できないという方も少なくないのではないでしょうか。タレントマネジメントと人事管理の違いを、目的やシステムの違いを含めて詳しく見ていきますので、ぜひ参考にしてください。
タレントマネジメントと人事管理システムの違い
タレントマネジメントシステムと人事管理システムの違いを見る前に、タレントマネジメントと人事管理の意味を確認してみましょう。
タレントマネジメントとは?
タレントマネジメントとは、個々の従業員が持っている資質やスキル、資格などを一元的に管理し、適材適所に配置することでその能力を最大限に発揮できるようにするものです。会社の経営戦略を推進する上で、従業員が持つ資質などを踏まえて最適な人員配置を行うことが不可欠となります。それに加えて、既存の従業員が持っているスキルをマトリクスにして、不足している社内のスキルを補うためにどのような対策を講じるかも重要です。
考え得る対策には、必要なスキルを備えた人材を社外から採用することや、既存の従業員のスキルアップを図るべく研修制度を用意する方法があり、どの手法を採用するかを考えることもタレントマネジメントで重要となります。
<関連記事>【事例付き】タレントマネジメントとは?目的、システム導入や比較・活用方法
人事管理とは?
人事管理とは、伝統的に人事部門が担っている業務で、主に労務管理と給与計算の2つの種類に大別されます。このうち労務管理は、従業員に関する職場環境を管理するもので、勤怠や福利厚生の管理などが含まれます。近年では、セクハラやパワハラといったハラスメントが社会問題化するケースも少なくないので、もし従業員からそういった事案についての相談を受けた場合には、問題が大きくなる前に適切に対応するというのも労務管理に求められる重要な役割となります。
一方、給与計算は、その名の通り、従業員に支払う給与や賞与の金額を計算し、正確に支払うというものです。一人一人に支払う給与などの額面を計算するだけでなく、そこから控除する所得税などの税金や社会保険、労働保険の金額なども正しく算出しなければならないので、この業務の担当者には高い事務処理能力が求められます。
タレントマネジメントシステムと人事管理システムの違い
人材管理とタレントマネジメントとは似て非なるものであり、それぞれの業務を管理する人事管理システムとタレントマネジメントシステムも決して同じものではありません。以下では、この2つのシステムの違いについて、それぞれがどのようなものなのかを説明します。
タレントマネジメントシステムとは?
タレントマネジメントシステムとは、従業員の資質や才能、スキルといった情報を一元的に管理し、見える化するためのシステムです。システムで管理する情報には、従業員のこれまでの経験や研修の受講履歴、取得している資格などが含まれるケースもあります。また、タレントマネジメントシステムは、人材戦略を実現するために必要な機能を備えているものがほとんどです。
具体的な機能としては、360度評価や課題の進捗管理といった目標や評価に係るものに加え、各種経歴や研修受講歴、資格、人事考課といった個々の社員の基礎的なデータの管理などが挙げられます。タレントマネジメントシステムを効果的に活用すれば、社内に足りていないスキルを可視化でき、そこを補充するために適切な対策を講じることができます。
なお、代表的なタレントマネジメントシステムは以下の通りです。
あしたのクラウド
カオナビ
タレントパレット
CYDAS PEOPLE
HRBrain
jinjer人事
sai*reco
Talent Viewer
タレントマネジメントシステムの基本機能はこちらの記事でご紹介しています。
<関連記事>タレントマネジメントシステムの基本機能とは?活用ポイントを簡単に解説
人事管理システムとは?
人事管理システムは、労務管理や給与計算といった人事管理業務を効率的に行う目的で設計されたシステムです。給与や労働時間、人事評価、配置、福利厚生、入退社といった人事に関する様々な情報やデータを従業員一人一人について管理して、複数の人事担当者がスムーズにそれぞれの業務を行えるようにすることが、人事管理システムが果たす大きな役割となります。
なお、人事管理システムの中には、採用や教育・研修に係る機能を備えたものもありますが、それらの機能は一部後述するタレントマネジメントシステムとも共通するものです。人事管理システムとタレントマネジメントシステムは、明確に切り分けられるわけではなく、中には両者の機能を備えたシステムも存在するという点を覚えておきましょう。
主な人事管理システムは以下の通りです。
あしたのクラウド
カオナビ
サイダス
ジョブカン労務HR
ジンジャー人事労務
総務人事奉行クラウド
タレントパレット
ヒトマワリ
マネーフォワード クラウド人事管理
COMPANY
freee人事労務
HRBrain
SmartHR
人事管理システムについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
<関連記事>失敗しない人事管理システムの選び方
タレントマネジメントと人事管理システムの連携活用
タレントマネジメントシステムと人事管理システムを連携すると、複数のデータを統合したシナジーが生まれ、総合的な人材マネジメントが可能になります。ここでは、連携するメリットをご紹介します。
従業員情報をリアルタイムで一元管理できる
勤怠管理システムや給与計算システムなどの人事管理システムをタレントマネジメントシステムと連携させれば、従業員の入社・退職や人事異動の際の情報更新がスムーズになるのがメリットです。
使用するシステムによっては、一度CSVでデータを抽出して、別システムにCSVを登録しデータを連携させる方法があります。しかし、API連携を採用しているタレントマネジメントシステムであれば、より効率的に連携が可能です。タレントマネジメントシステムと人事管理システムで人事データを共有できれば、システムごとに従業員情報を入力・管理する手間が省けて、大幅に業務効率がアップするでしょう。
人事管理システムといっても、従業員の労働時間を管理する勤怠管理システム、給与計算システム、採用情報を管理する採用管理システムなど、特徴的なシステムが多数存在します。独自の基幹システムを開発・保有している企業の場合、自社システムとタレントマネジメントシステムの連携性は必ず確認すべき項目といえるでしょう。
総合的な人材マネジメントが実現できる
タレントマネジメントシステムと人事管理システムを連携させれば、総合的な人材マネジメントに取り組みやすくなります。人事担当者が対峙する領域は、募集・採用、入社後の労務管理、人材育成や評価まで多岐にわたります。採用業務は採用チームで、人事評価は人事評価チームで行うなど縦割りになってしまうと従業員情報をチーム横断で共有しきれず、人材のポテンシャルが活かしきれない可能性もあるでしょう。
システムを連携させ、包括的に人事業務に取り組めば、各人事業務で得られた人事データをリアルタイムで共有しながら活用が可能です。例えば日々の日々の労働時間と営業実績の数値を照らし合わせて個人の生産性を可視化したり、中途入社者の前職情報や保有スキルを加味しながら目標設定に落とし込んだりする取り組みが想定できます。
点と点をつなげ、総合的に人材を活かしていくには、システム連携が不可欠といえます。
システム選択時のポイントと注意点
タレントマネジメントシステムや人事管理システムを選定する際に、考慮すべきポイントと注意点を解説します。
自社の課題と目的を明確にする
タレントマネジメントシステムを選ぶ際は、自社の課題を洗い出し、目的にあったサービス選定を行いましょう。タレントマネジメントシステムは、「人事マネジメント全般の効率化」「人事評価に特化」などと強みや特長が分かれます。
例えば、母集団形成が難しい業界など募集・採用に課題が大きい企業は、採用支援の機能が充実したタレントマネジメントシステムを選ぶのも有用です。HRMOSタレントマネジメントシステムには、「社内版ビズリーチ」という独自機能があり、社外の母集団形成ではなく自社の従業員の能力とポジションを見える化して、隠れた優秀人材を見つけることができます。社内のマッチング精度を高めて最適な人事配置を行いたいといった目的を持った企業は、ぜひ以下から詳細をご確認ください。
<関連サイト>「社内版ビズリーチ 」即戦力を見つけよう。社内から。
機能の充実度と使いやすさを確認する
タレントマネジメントシステムを選ぶ際は、必要な機能が一通り揃っているか確認し、画面の操作性など使いやすさを重視しましょう。システム選定の際に、複数社の機能比較をするのは骨の折れる作業です。しかし、細かく見ていくと「自社に必要な機能が足りない」「自社があまり求めていない機能が多い」という点に気づくでしょう。タレントマネジメントシステムの機能は、数が多くて充実していればよいわけではありません。必要最低限の機能を洗い出してから、各社のシステムを比較するよう心がけてください。
タレントマネジメントシステムは導入費用を年間で一括払いしたり、大量の人事データを登録したりする観点から、何度も入れ替えることは想定されていません。一度導入したら長く使い続けることになるため、画面の見やすさや操作性は事前に確認しておくと安心です。
事前に操作性を確認せず、機能の豊富さだけで選定を進めると、導入後に思わぬ問題が発生する可能性があります。例えば、システムを使いこなせず、各部署からの問い合わせが殺到するなどして、かえって工数がかかることがあります。これは、本来の目的である業務効率化とは逆の結果を招きかねません。そのため、デモ版や試用期間を利用して、実際の使用感を確認することが重要です。
サポート体制とカスタマイズ性を確認する
タレントマネジメントシステムを選ぶ際は、導入時、導入後にどのようなサポートを受けられるか確認をしましょう。
サポート体制を確認するときは、担当者の専属有無、担当者の経験や知識、人柄や相性、サポート手法や対応可能な時間帯などを考慮するとよいでしょう。サポート方法にはメール、電話、チャット、訪問があります。しかし、「困ったときにすぐ電話で話したい」のか、「とりあえずチャットできれば問題ない」のかは、企業の考え方によるところです。導入後にメインでシステムを活用する従業員の意見を聞きながら確認するようにしてください。
また、システムのカスタマイズ性も導入検討時のポイントになります。人事管理システムや基幹システムなど、複数のシステムと連携させながら独自のカスタマイズを加えたい場合は、導入前に確認することをおすすめします。導入時にカスタマイズが難しくても、近い将来に開発可能性がある場合は、導入検討可能なケースもあるはずです。納得するまでシステム運営元の担当者と議論を交わしながら、慎重に比較検討を行いましょう。
タレントマネジメントシステムを導入する上での留意点
タレントマネジメントシステムはただ単に導入すればよいというものではありません。せっかくコストをかけてシステムを入れても、それを効果的に使いこなせなければ宝の持ち腐れになってしまうでしょう。そうならないように、システムを導入するにあたっては、事前に経営戦略を実現するための人材戦略を描くようにしなければなりません。人材戦略が明確になれば、社内にどういった人材が必要になるかがすぐに分かるようになるので、システム活用してタレントマネジメントを行うことで社員を適切に配置したり、不足しているスキルを補充することが容易にできるのです。タレントマネジメントシステムは、確固たる人材戦略があってこそ有用なものになるという点をくれぐれも忘れないようにしてください。
タレントマネジメントシステムと人事管理システムを効果的に使いこなそう
以上で見てきたように、人事管理システムとタレントマネジメントシステムは同じものではなく、両者には大きな違いがあります。ただし、いずれも企業の人材戦略を実行に移す上では不可欠なものですので、ここまでに説明してきたそれぞれの特徴や導入前後の留意点などをしっかりと頭に入れて効果的に使いこなせるようにするとよいでしょう。
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