目次
企業にとって、従業員のキャリア開発は重要な課題であり、組織の目標達成のために欠かせないテーマの1つです。そこで今回は、キャリア開発が重要な理由やメリット、そして具体的な開発手法などを詳しく解説します。
また、キャリア開発に関する誤解やその対策も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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キャリア開発とは、従業員一人一人が自身のキャリアを中長期的な視点で考え、能力やスキルを高めていく取り組みを指します。
単なる昇進や職務上の成功にとどまらず、働き方や生活の質を向上させ、組織全体の生産性やエンゲージメントの向上にも結びつきます。
キャリア開発を効果的に進めるには、まず自分の強みや価値観を理解する「自己認識」が出発点となります。
次に、目指す方向を明確にする「キャリアゴールの設定」、必要な知識やスキルを習得する「学習・訓練」、成果を確認して改善につなげる「フィードバックと評価」といった流れを踏みます。
これらのプロセスを継続することで、個人は成長を実感でき、企業も持続的な発展を実現できるでしょう。
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キャリア開発と類似する用語の違い
キャリア開発と類似した用語に、「キャリア形成」「キャリアデザイン」「キャリアパス」があります。それぞれの意味と、キャリア開発との違いを解説します。
キャリア形成との違い
キャリア形成とは、従業員一人一人がこれまでの経験や学習、働き方を通じて「将来ありたい姿」を形づくっていくプロセスを指します。
個人の努力や主体性が重視される概念であり、どのような知識を身につけるか、どのような職務経験を積むかといった選択の積み重ねによって、キャリアが形成されます。
一方、キャリア開発は個人の主体性だけでなく、企業側が研修制度やキャリア面談などを通じて支援する点に特徴があります。
つまり、キャリア形成が「個人による積み重ね」であるのに対し、キャリア開発は「個人と組織が協働して取り組むプロセス」と捉えられます。
キャリアデザインとの違い
キャリアデザインとは、自分が将来どのように働き、どのような人生を送りたいかを思い描き、その実現に向けて職業人生を設計することを指します。
理想の働き方や将来のありたい姿をイメージし、必要なスキルや経験、環境を見極めながら、自らの意思でキャリアを築いていく考え方です。
変化の激しい時代において、働く人が納得感を持って選択するために欠かせない視点であり、企業や行政による支援も進められています。
一方で、キャリア開発は、その設計図を実現するための具体的な取り組みを意味します。
スキル習得や経験の積み重ね、定期的な振り返りといった実践を通じて、キャリアデザインで描いた未来像を実現していきます。
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キャリアパスとの違い
キャリアパスとは、職務経歴や経験を意味する「キャリア」と、道筋やプロセスを意味する「パス」を組み合わせた言葉です。
人事領域では、従業員が組織内で特定の職務や職位を目指す際に踏むべきステップや道筋を指し、一般的には企業側から従業員に提示されます。
例えば、「営業職として経験を積み、主任、課長、部長へと昇進する」といった流れがその一例です。
一方、キャリア開発はその道筋を前提としながら、従業員自身が主体的に能力開発や学習に取り組み、実際にキャリアを築いていくプロセスを含みます。
キャリアパスが「組織が描いたルート」であるのに対し、キャリア開発は「そのルートをどう歩み、成長につなげるか」という個人の取り組みを意味する点で異なります。
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企業がキャリア開発を重視する理由
企業がキャリア開発を重視する背景には、将来の予測が難しいVUCA時代の到来や、少子高齢化による人材不足、人的資本経営へのシフトなど、社会環境の変化があります。
ここでは、その背景について詳しく解説します。
変化が激しいVUCA時代への対応
VUCA時代に突入し、DXの進展や生成AIの登場などの技術革新が加速する中で、従業員のキャリアも大きな影響を受けています。
こうした環境では、これまでの経験やスキルだけに頼るのではなく、新しい知識を学び続け、変化に柔軟に対応できる力が求められます。
また、AIやデータ分析の活用によって、一人一人の強みや関心に合わせたキャリア開発の支援が可能になりつつあります。
つまり、キャリア開発は「変化に対応できる人材を育てる仕組み」として、企業にとってますます重要な意味を持つようになっています。
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少子高齢化時代への移行
日本では少子化による労働力人口の減少が進み、若手人材の確保が難しくなる一方で、シニア世代の就業機会は拡大しています。
一人一人の生産性を高めると同時に、年齢やライフステージに応じたキャリア開発の支援が求められます。
若手には早期の成長機会を、シニアには経験を生かしたキャリアの再設計を提供することで、限られた人材資源を最大限に活用できるでしょう。
また、少子高齢化の進行により、世代を問わず自律的に学び続けられる仕組みとしてのキャリア開発が、企業に強く求められるようになっています。
人的資本経営への転換
従業員をコストではなく価値を生み出す資本と捉え、中長期的な企業価値の向上に向けて、人材投資を強化する「人的資本経営」が注目されています。
企業は人的資本の情報開示を求められるようになり、スキル開発やキャリア形成の取り組みを、社外に開示することが求められています。
この流れの中で、キャリア開発は単なる人材育成にとどまらず、経営戦略そのものと直結するテーマとなっています。
従業員一人一人の成長支援は、企業の持続的な成長を支える基盤として、ますます注目を集めています。
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キャリア観や働き方の変化
従業員のキャリア観や働き方は、近年大きく変化しています。
かつては企業に依存した終身雇用型のキャリアが一般的でしたが、現在では「キャリアは自ら築くもの」という意識が広がり、個人の適性や要望に合わせたキャリア開発が求められるようになっています。
リモートワークの普及はその流れをさらに加速させました。場所に縛られず学習や経験を積む機会が広がり、キャリアの多様性や柔軟性が一層高まっています。
また、ダイバーシティ&インクルージョン(多様性と包摂性)の重要性が強調される中で、すべての従業員が等しくキャリア開発の機会にアクセスできる体制づくりも、企業にとって不可欠となっています。
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キャリア開発がもたらす具体的なメリット
キャリア開発は、企業と従業員の双方に多くのメリットをもたらします。ここでは、その具体的なメリットを、詳しく解説します。
従業員満足度の向上
キャリア開発の支援を通じて、従業員は自分が企業にとって価値ある存在だと実感できます。
その結果として、職場に対する満足度が向上するのです。
従業員満足度の向上は、生産性やロイヤルティ、エンゲージメントの向上につながり、離職率の低下にも効果を発揮します。
従業員の自己実現の達成だけでなく、企業成功のためにもキャリア開発で従業員満足度を向上させることが重要といえます。
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スキルと能力の向上
キャリア開発は、従業員のスキルと能力を高める機会を提供します。
従業員は新たな知識を習得し、専門性を深め、さまざまな課題に対応することが可能となります。
これは、個人の成長にとどまらず、組織全体のパフォーマンス向上にもつながります。
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人材の確保と維持
キャリア開発のプログラムは、新たな人材を確保するための強力なツールです。企業が、従業員の成長と開発の支援をアピールすることにより、才能ある候補者を引き付けることが期待できるでしょう。
さらに、キャリア開発への取り組みは、既存の優秀な人材の離職防止にもつながり、競争力ある職場環境で働き続ける動機づけにつながります。
組織の競争力の強化
キャリア開発により、従業員が新しいスキルと知識を習得することは、企業全体の競争力を高めます。
これにより、企業は市場の変化に柔軟に対応し、新しいビジネスチャンスの探求とイノベーションの推進を可能にするのです。
リーダーシップパイプラインの構築
キャリア開発は、企業のリーダーシップパイプラインを構築するために重要です。従業員が自身のスキルを開発し、企業の目標に貢献する方法を理解すると、将来のリーダーとしての準備が整います。これにより、企業は内部でリーダーを育成することが可能になります。
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企業体質の強化
キャリア開発は、成長と学習を重視する企業体質を構築します。
こうした体質は、従業員間のコラボレーション、コミュニケーション、イノベーションを促進します。
従業員は自分が企業の一部であると感じ、目標達成に積極的に参加するようになります。
キャリア開発は企業の持続的な成功と競争力を支える戦略的投資
以上のように、キャリア開発は企業と従業員の双方にとって多くの恩恵をもたらす、極めて重要な取り組みです。
従業員一人一人の成長を支えながら、企業の競争力と持続的な成長を促進する戦略的な投資といえるでしょう。
キャリア開発の具体例
キャリア開発にはさまざまな手法があります。ここではキャリア開発の手法として、「キャリアデザイン研修」「人事異動」「キャリアパスの提示」「副業の許可」「外部講師の活用」など、代表的な取り組みを紹介します。
キャリアデザイン研修
キャリアデザイン研修は、従業員が自分のキャリア目標を明確にし、それに向けた行動計画を構築するために効果的な手法です。
これにより、従業員は自分の強みや興味、価値観を理解し、自分が理想とするキャリアプランの設計が可能となります。
キャリアデザイン研修は、従業員にとっては将来を主体的に描く力を育む機会となり、企業にとっては人材の活性化と長期的な成長を支える仕組みとなるでしょう。
人事異動
人事異動は、従業員が新たなスキルを習得し、異なる視点を持つことを可能にする手法です。新しい部署や役職への異動は、従業員が企業のさまざまな面を理解し、全体としてどのように行動すべきかを学ぶ機会を提供します。
また、近年は社内公募制を取り入れる企業も増えています。社内公募制は、従業員の主体的なキャリア形成を促し、企業にとっても適材適所を実現できるメリットがあります。
このように、人事異動や社内公募制は、従業員に新たな挑戦の場と自分の能力を試す機会を提供します。
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キャリアパスの提示
キャリアパスの提示は、従業員が自身のキャリアの進展イメージを明確にするうえで重要です。
これにより、従業員は、将来に向けて必要なスキルや経験を把握し、具体的なステップを計画する助けになります。
キャリアパスは、従業員が自分のキャリアの方向性を見つけ、その方向へ進むための具体的なステップを計画するのに役立つでしょう。
副業の許可
副業の許可は、従業員が新たなスキルを習得し、自身のキャリアを多角化するために重要な手法です。
副業を通じて、従業員は自分が興味を持つ分野での経験を積むことができ、その結果、自身のキャリアに新たな価値を加えることができます。
外部講師の活用
外部講師の活用は、従業員が最新の知識や専門知識を習得するための有効な手法です。
専門家によるセミナーやワークショップは、従業員が新たな視点を得て、業界のトレンドや新たなスキルを学ぶことができます。
リスキリングの導入
リスキリングとは、従業員が新しいスキルを学び直し、変化する業務や役割に対応する取り組みを指します。
DXの進展や生成AIの普及により、従来の知識やスキルでは対応しきれない場面が増えてきました。こうした背景から、リスキリングは企業にとって欠かせない施策となりつつあります。
さらに国の助成金や研修制度も整い、実行に向けた後押しも強まっています。加えて、ライフロングラーニング(生涯学習)の考え方が広がり、キャリア開発は一度で終わるものではなく、働く人生を通じて継続するプロセスへと位置づけられています。
リスキリングは、従業員にとって成長と挑戦の機会となり、企業にとっては競争力を高める手段ともなります。
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コミュニケーションの促進
キャリア開発を効果的に進めるには、上司や同僚との密なコミュニケーションが欠かせません。特に注目されているのが、定期的に個別対話を行う「1on1ミーティング」や、経験豊富な先輩従業員がキャリア形成を支援する「メンター制度」です。
1on1では、業務上の課題だけでなくキャリアの悩みや成長の方向性を率直に話せる場が確保され、従業員が主体的にキャリアを考えるきっかけになります。
メンター制度は、キャリア上のロールモデルや相談相手を得られることで、不安を軽減し前向きな挑戦を後押しします。これらの取り組みは、従業員のキャリア自律を支えると同時に、組織としての信頼関係やエンゲージメントを高める効果も期待できます。
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自己啓発の支援
自己啓発とは、自分の意思や意欲をもとに能力を高め、心の成長を目指す活動のことです。企業からの指示や「業務に必要だから仕方なく」という動機ではなく、「自分の意思で能力開発と精神的な成長の双方に取り組む」点に特徴があります。
企業がこの自己啓発を支援することは、従業員が主体的にキャリアを切り開く後押しとなります。
例えば、資格取得やオンライン講座の受講補助、書籍購入費の援助などが挙げられます。
従業員が自らの関心やキャリア目標に沿って学びを選べる環境を整えることで、個人の成長と組織の活性化の両立が期待できます。
世代別キャリア開発の特徴
世代ごとに異なる課題や役割に応じて、求められるキャリア開発の方向性も変わります。ここでは、若手・ミドル・シニアそれぞれに適したキャリア開発のあり方を解説します。
若手のキャリア開発
若手は将来に向けた基盤づくりが中心となります。
入社後数年間を教育期間と位置づけ、ローテーションを通じて多様な業務や海外経験を積むことで、幅広い視野と変化への対応力を育みます。
OJTに加えて、IT・ビジネス・ヒューマンスキルなど体系的な研修を受け、資格や語学スコアを要件とする仕組みで早期から専門性と基礎力を培います。
さらに、キャリア面談や先輩従業員との対話を通じて、自分のキャリアを自分で描く意識を育てる取り組みも重視されています。若手のうちから主体性を持たせ、リーダーシップや責任感を育てることが求められています。
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ミドル世代のキャリア開発
ミドル世代は、現場での経験を土台に組織の中核を担う役割を求められます。
管理職を目指すルートだけでなく、専門分野を深めるスペシャリストとして活躍する複線的なキャリアパスを用意する企業が増えています。
また、DXやデータ分析といったテーマ別研修や、異業種との交流研修を通じたリーダーシップ開発など、より実践的な学びが重視されています。
自己啓発や社外プログラムへの参加も奨励され、次世代リーダーとしての視点や自律的にキャリアを切り開く姿勢が求められます。
シニア世代のキャリア開発
シニア世代は、豊富な経験を生かしながら次世代を育成する役割を担います。年齢や勤続年数にとらわれず、行動や成果で昇格や処遇を決める制度が導入され、意欲と能力に応じて活躍の場が広がっています。
同時に、ベテラン従業員が指導者として若手を育成する仕組みや、資格を活用した指導力養成も整備されています。
シニア期のキャリアは、技能の深化やマネジメント職への進出、管理部門への転換、さらには独立・起業など、多様な選択肢が用意されています。人材価値を長期的に高め続けるための取り組みが、各社で進められています。
キャリア開発に関する誤解とその対策
キャリア開発に対する理解が進む一方で、まだ誤解や間違った概念も存在しています。ここでは、キャリア開発に対する誤解を明らかにし、それに対する対策を紹介していきます。
キャリア開発は上昇志向の人だけのもの
キャリア開発は、昇進や役職を目指す上昇志向のある人だけが行うもの、という誤解があります。
しかし実際には、すべての従業員が自身の能力を伸ばし、やりがいや満足感を得るために取り組むべきプロセスです。
企業側は、キャリア開発が「昇進のため」だけではなく、「自分らしい働き方を実現するため」にも重要であることを、全社員にわかりやすく伝えていく必要があります。
キャリア開発は個々の従業員の責任である
「キャリアは自分で切り開くもの」という意識が広まるなかで、キャリア開発は従業員個人の責任だという誤解も見られます。
もちろん主体的な行動は重要ですが、それを支える環境や機会を整えるのは企業の役割です。
キャリア相談、研修、評価制度などを通じて、企業が支援していることを可視化することで、この誤解を解消できるでしょう。
キャリア開発は時間と費用がかかる
「キャリア開発は時間もコストもかかる」との懸念もあります。
しかし、それは短期的な負担ではなく、長期的な成長と成果につながる戦略的な投資です。
その重要性を丁寧に伝えることで、企業と従業員の双方に納得感をもってもらうことが重要です。
キャリア開発は形式的なプログラムだけで十分である
キャリア開発というと、制度化された研修や評価プログラムだけを思い浮かべがちです。
しかし、実際には日常業務の中での経験、メンター制度、他部門との協働など、非形式的な学びも大きな役割を果たします。
このような多様な学びの機会を含めて設計・支援することが、誤解の解消につながります。
キャリア開発の企業事例
最後に、キャリア開発に取り組んだ企業事例を3つご紹介します。
伊藤忠商事株式会社
伊藤忠商事は、企業理念「三方よし」の実現に向けた経営方針の一環として「人的資本の強化」を掲げ、キャリア開発を重視しています。
育成の基本はOJTを中心とした実務経験で、総合職は新卒入社後8年間を教育期間と位置づけ、国内外で複数の職務を経験するローテーションを行います。
海外拠点での業務も重視し、グローバルな視野を養う仕組みが整えられています。
さらに、従業員の主体的なキャリア形成を支援するため、毎年キャリアビジョンシートを作成し上司と共有しています。
これを100以上の研修プログラムからの選択受講やリスキリングの計画、適材適所の配置に活用しています。
また、国家資格を持つキャリアコンサルタントを配置し、従業員がいつでも相談できる体制を整備。OJTと自己啓発支援を組み合わせることで、従業員の成長を多面的に支えています。
株式会社タニタ
タニタでは、従業員約200名という規模を生かし、経営陣と従業員の距離が近い環境を強みとしています。
新しい挑戦の方向性を共有しながら、従業員が自らキャリアを考え、上司や経営陣に提案できる風土が根付いています。
特徴的な取り組みの1つが「社内講師制度」です。専門知識を持つ従業員が講師となり、月1回、知的財産や製品企画、法規制の基礎などをテーマに研修を実施し、社内での知識共有と相互成長の機会を生み出しています。
さらに、従業員が直接アイデアを経営に提案できる「社長への案件確認タイム」を毎週1時間設けています。
部署の枠を超えた提案が可能で、承認されればプロジェクト化されます。たとえば、新卒社員が展示会出展責任者を自ら提案し、数か月後に実際に遂行した事例もあります。こうした制度は、従業員の主体性を後押しする制度として機能しています。
NTT西日本株式会社
NTT西日本は従業員の自律的なキャリア形成を重視し、2023年に「1.知る、2.相談する、3.学ぶ、4.挑戦する」を柱とした支援策を打ち出しました。
背景には、従業員アンケートで「キャリアの描き方がわからない」という声が多く寄せられたことがあります。
施策の中心がキャリア相談窓口で、国家資格を持つ従業員を兼務で相談員に起用し、リモート相談を可能にしました。
誰もが気軽に相談できる仕組みとし、開設から15か月で相談件数は860件を超え、満足度は94%に達しています。
併せて、経営層が全支店を巡る「社長キャラバン」を実施し、経営戦略やキャリア支援方針を直接伝達。
ポータルサイトでキャリアモデルや推奨資格を提供し、越境研修や社外交流研修の機会も拡充しました。
その結果、資格取得者数は前年比1.4倍に増加し、研修には募集枠を大幅に超える応募が集まるなど、従業員のキャリア自律意識が大きく高まっています。
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まとめ
キャリア開発は、一人一人が将来を描きながら成長していくために欠かせない取り組みです。
変化の大きい時代だからこそ、学び直しや挑戦の機会をつくることが、従業員の自律的な成長を後押しします。
世代や企業によってアプローチはさまざまですが、共通するのは「従業員の可能性を広げ、組織の力につなげる」という視点です。自社に合った方法でキャリア開発を進めることが、これからの企業成長の鍵になるでしょう。
また、キャリア開発の充実は、従業員の満足度や定着率の向上だけでなく、企業全体の競争力や業績の向上にもつながります。
変化の激しいビジネス環境において、企業が持続的に成長するための重要な戦略と言えるでしょう。
キャリア開発に対する誤解を解消し、効果的な制度として根づかせることは、企業の未来に向けた土台づくりにもつながります。
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HRMOSタレントマネジメントのスキル管理機能では、従業員の強みや不足スキルを可視化できます。さらにダッシュボード機能を使えば、成長の推移を比較でき、従業員の自己理解や上司の育成支援に役立つでしょう。
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