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近年、企業の採用活動において「タレントマネジメント」の活用が注目されています。しかし、具体的にどのような機能を採用活動に生かせばいいかわからない方も多いのではないでしょうか。
この記事ではタレントマネジメントの基本的な概念から、実際の企業での取り組み方法までをわかりやすく解説していきます。人事の専門家や経営者だけでなく、人事業務に関わる方にとっても有益な情報となりますので、ぜひ参考にしてください。
人事における「タレント」とは
タレント(Talent)とは、直訳すると「才能・才能のある人」という意味で、人事領域では「会社に貢献するスキルや経験のある人材」「優秀な人材」と解釈されます。
例えば、金融業界のコンサルタントは高度な金融専門知識を保有し、複雑な商材を取り扱うスキルを持つ人材がタレントとして評価されますが、サービス業の接客販売員であれば、ホスピタリティや顧客との関係構築力、接遇スキルなどがタレントとなります。このように、タレントとは一般的なスキルや経験を示す言葉ではなく、各企業・業界特有のニーズに応じて求められる能力や資質を持つ人材を指します。
企業は、自社に必要なタレントを見極めながら、一人一人の能力を最大限に生かすことで、企業競争力を高められるといえるでしょう。
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タレントマネジメントの定義
タレントマネジメントとは、従業員一人一人のスキル、経験、能力を管理して、それぞれにあった役割を見出し、人材の持つ力を最大化させる人材マネジメント手法です。従業員一人一人の力を最大化させることで、組織目標を達成し、企業の成長が期待できます。
タレントマネジメントに取り組むことで、企業成長のために必要な人材スキル・経験などをデータをもとに可視化できます。つまり、タレントマネジメントは適切な採用要件を定めやすくする効果も期待できるでしょう。また、タレントマネジメントは、今在籍している人材の力を伸ばす側面と、企業に不足する人材要件を可視化することの双方に活用できるのがメリットです。
タレントマネジメントの目的やシステム導入のメリットについて知りたい方は、次の記事もあわせてご一読ください。
<関連記事>【事例付き】タレントマネジメントとは?目的、システム導入や比較・活用方法
タレントマネジメントにより採用効果を高める
タレントマネジメントに取り組むことで、自社で活躍する人材の可視化が可能です。自社に必要な人材像について、蓄積したデータをもとに定めることで、採用のミスマッチ防止も期待できます。また、採用時と入社後の評価を比較できるようになるため、人材の見極めがしやすくなるでしょう。
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採用でタレントマネジメントが注目される背景
組織の持続的な成長と競争力の維持のために、採用活動にもタレントマネジメントを取り入れる企業が増えています。以下では、採用活動においてタレントマネジメントが注目されてきた背景を解説します。
労働市場の変化と人材確保の困難化
少子高齢化による労働力人口の減少や産業構造の変化により、優秀な人材の確保が従来以上に困難になっています。人手不足が続く中で、採用活動にタレントマネジメントの手法を取り入れ、長期的な視点での人材獲得と育成を計画的に進めることが求められています。
タレントマネジメントを活用すれば、データに基づいて採用要件を導きだすことができ、入社後の成長可能性を見据えながら人材の見極めが可能になります。また、配属先のタレントを可視化できるため、ミスマッチ防止にも効果があるでしょう。
中長期的な目線での人材活用を行うためには、採用活動へのタレントマネジメントの活用は不可欠といえるでしょう。
グローバル競争の激化
グローバル化の進展により、企業は世界規模での人材獲得競争に直面しています。特に専門性の高い人材や経営人材については、国境を越えた獲得競争が激化しており、従来の採用手法だけでは対応が困難です。
タレントマネジメントを採用活動に活用することで、グローバルな視点での人材要件の設定や、異なる文化的背景を持つ人材の評価基準の標準化が可能となります。また、将来的に国をまたいだ人事異動を視野に入れた採用戦略を立案したり、グローバルな人材データベースを構築したりしながら、国際市場で活躍する人材を育成することも可能です。
働き方の多様化と価値観の変化
従来の終身雇用・年功序列を前提として採用活動を行うと、多様化する働き方や人々の価値観に対応することが難しい場合もあるでしょう。副業・兼業、リモートワーク、ワークライフバランス重視など、個人の働き方に対する価値観は変化しているため、企業も可能な限り「個」の価値観や希望に応える姿勢を示さなくてはなりません。
タレントマネジメントを活用すれば、個人の価値観やキャリアプランと、組織が必要とする人材ニーズとのマッチングを促進できます。また、多様な働き方に対応した人材配置や育成計画を採用段階から取り入れることで、早期退職を防止し、長期的な人材活用に貢献できるでしょう。
採用活動におけるタレントマネジメントの活用
採用活動においてタレントマネジメントがどのように活用されているか、具体例とともに解説します。
採用基準の明確化と人材要件の設定
タレントマネジメントに取り組んで社内の優秀人材データを蓄積、分析すれば、より具体的で実効性の高い採用基準を設定できます。例えば、高業績を上げている従業員に共通する行動特性やスキルセット、経験値などをデータで割り出し、採用基準に反映させることが可能です。
また、タレントマネジメントのデータを分析すれば、企業に必要な人材だけではなく、企業と相性がよくない人材も見極めることが可能です。さまざまな角度から求める人材要件をより具体的に設定できるのは、タレントマネジメントの活用メリットといえるでしょう。
データに基づいた採用戦略の立案
タレントマネジメントに取り組む際、従業員の入社経路、研修受講履歴、目標設定や評価、昇進・昇格の履歴など、多様なデータを蓄積していきます。これらのデータを分析することで、根拠に基づいた採用戦略が可能になり、効果的な採用手法の選定や採用PRの制作が円滑になるでしょう。
例えば、営業職の募集といっても、組織状態によって求めるレベルやスキル、特性は異なります。タレントマネジメントで蓄積したデータをもとに、営業職の詳細要件を明確にすることで、適切な採用手法を選びやすくなります。また、タレントマネジメントで募集ターゲットと近い従業員の価値観やキャリアプランを参考にすることで、適切な求人のコピーライティングを作りやすくなるでしょう。
内部人材の活用と外部採用のバランス
タレントマネジメントを導入することで、自社が保有する人材を詳細に把握できるため、内部人材と外部採用のバランスを保ちやすくなります。例えば、ある部門で人材が必要になった際、いきなり多額の採用コストをかけて募集活動を行うのではなく、まずは社内に適した人材がいないか確認することが可能です。
外部から人材を調達しなくても、社内異動や人材育成でまかなえるケースは少なくありません。労働力人口が減少し、採用コストが高騰化している現代だからこそ、既存の従業員を最大限に生かす姿勢は重要といえるでしょう。
タレントマネジメントシステムの採用管理機能で効率化
タレントマネジメントと採用活動は、システムを導入することでより効率化が可能です。ここでは、HRMOSタレントマネジメントの具体的な機能や効果に触れながら、タレントマネジメントシステムを採用活動に活かす方法を紹介します。
採用するべき人材の明確化
HRMOSタレントマネジメントの「データベース機能」を用いることで、社内の人材のスキルや資格、過去の経験などを可視化できます。今まで従業員が参加したプロジェクトや前職の経歴も含めて、幅広い従業員情報をデータ化できるのが特徴です。
採用ターゲットと採用要件の詳細を決める際、採用担当の感覚に頼りすぎると、母集団形成が上手くいかなかったりミスマッチが起きたりしやすいです。一方、タレントマネジメントシステムで自社の人材のスキルやキャリア、性格などを客観的に把握した上で採用要件を定めれば、採用のミスマッチを減らして採用後の定着も期待できるでしょう。
また、システムを導入すれば採用活動が可視化できるので、リアルタイムの情報把握や社内共有にも役立ちます。
早期戦力化と定着率の向上
HRMOSタレントマネジメントによりオンボーディングを最適化できれば、採用した人材の早期戦力化に役立ちます。例えば「評価機能」を活用すれば、採用した人材の入社時と入社後の評価を比較できます。データを比較することで、入社時に期待した通りのパフォーマンスが発揮されているかどうかを確認できるため、その後の育成支援にもつなげやすいです。
入社後もデータに基づいた適切なサポートを続けることで、結果として早期戦力化だけでなく、定着率向上も期待できるでしょう。また、HRMOSタレントマネジメントの「360度評価機能」を併用して業務進捗や協調性などを多面的に観測すれば、オンボーディングの改善点も確認できます。
その他、採用した人材の早期戦力化や定着率向上に活用できる機能例は次の通りです。
■「1on1機能」
定期的に話したい人とMTGを設定することで、コミュニケーションが活発になり人脈を広げやすくなります。自動的にGoogle カレンダーに共有され、MTGが近づくとSlackやメールで自動リマインドが発行されるのも便利です。上司と業務進捗管理を共有する際にも使えるため、事前にトピックスをHRMOSタレントマネジメントに入力しておけば、具体的な数字関連の話も記録として残すことが可能です。
■「サーベイ機能」
HRMOSタレントマネジメントには「組織診断サーベイ」と「個人コンディションサーベイ」の2つの機能があります。個人コンディションサーベイは匿名のため、業務や組織における悩みを引き出すのに役立ちます。また、サーベイに悩みが書けなかった場合でも、従業員のモチベーション推移を4象限に分類して可視化できるため、従業員のモチベーションが下がったときに気付きやすいのがメリットです。
採用管理ツール(ATS)との連携
採用管理システム(ATS)に登録してある内定者情報を、そのままHRMOSタレントマネジメントの「データベース機能」に引き継ぐことで、採用担当者の工数削減が可能です。
内定者の履歴書や個人情報を、社内の人事管理システムにCSVでインポートしたり、表計算ソフトに手作業で入力したりする手間をなくすなら、採用管理システムとタレントマネジメントシステムが連携しているHRMOSタレントマネジメントがおすすめです。
採用人数が多い企業ほど、人事関連システム同士の連携性を重視するべきでしょう。
求めるスキルを社内人材から採用
タレントマネジメントシステムで自社の従業員の能力、スキルなどを可視化しながら人材データベースを構築すれば、求めるスキルを保有した人材を社内から探し出すことが可能になります。
例えば、株式会社ビズリーチが提供する「社内版ビズリーチ」では、社内ポジション・従業員のスキルを見える化して、ポジション別の候補人材を管理できます。また、ビズリーチのノウハウを活用したマッチング機能で、社内のポジションと従業員を結びつけて、社内応募や選考を後押しします。
■「レジュメ機能」
社内版ビズリーチには、入社時の履歴書や入社後の異動履歴、評価結果の履歴などHRMOSに蓄積したデータをもとに、自動で職務経歴書をAIが作成してくれる「レジュメ機能」が備わっています。
職歴のサマリだけでなく「エンジニア」「マネジメント」といったタグ付けも自動で行われるため、社内検索が容易になります。また、従業員ごとの社内経歴を自動で時系列に並べてサマリを作成してくれるので、入社後の変遷を把握しやすいのが特徴です。
<関連サイト>「社内版ビズリーチ」即戦力を見つけよう。社内から。
このように、HRMOSタレントマネジメントの機能を活用すれば、適切な採用ターゲットの設定やオンボーディングの課題の可視化が可能になります。採用にかかる時間とコストを削減したい企業様は、ぜひHRMOSタレントマネジメントの詳細資料をご確認ください。
採用におけるタレントマネジメント戦略の流れ
タレントマネジメントを成功させるには、大まかに次のような6つの段階を計画しておく必要があります。各ステージを通じて、タレントマネジメントは企業の競争力を維持・向上させるための重要な戦略となります。
<関連記事>タレントマネジメントのフレームワークとは?組織作りに有効な手法を解説
ステージ1:必要なタレントイメージを決める
まず、自社にとって必要なタレント像を明確にしましょう。これは、企業のビジョンやミッション、中長期的な経営戦略に基づいて行われます。あるIT企業がAI技術の導入を戦略的に進める場合、AIに関する知識や経験を持つエンジニアや研究者をタレントとして位置づけることが考えられます。このステージでは、企業の将来像とそれを支える人材像を一致させることが重要です。
ステージ2:タレント関連情報の可視化
人材の情報をデータベース化し、可視化します。これにより、企業は各従業員のスキルや経験、業績などの情報を一元的に管理・分析することができます。大手製造業の企業では、全従業員の業績や研修履歴、異動履歴などの情報をデータベースに集約し、人材の流動や成長をリアルタイムで把握しています。
ステージ3:タレントを特定する
人材データベースからタレントを特定する段階です。このステージでは、企業が求めるタレント像と実際の従業員の情報を照らし合わせ、タレントとしてのポテンシャルを持つ人材を特定します。例えば、金融業界の企業であれば、高い営業成績を持つ社員や、特定の資格を持つ社員をタレントとして特定することになるでしょう。
ステージ4:人材採用計画の立案
タレントの育成や採用の計画を立てます。このステージでは、特定したタレントの現状のスキルや経験を踏まえ、将来必要となるスキルや経験を習得するための育成プログラムや研修を計画します。また、外部からの新たなタレントを採用する場合、採用戦略やターゲットとなる人材像を明確にしなければなりません。
ステージ5:タレントの採用及び育成
計画に基づき、タレントの育成や採用を行います。育成の場合、研修やセミナー、OJTなどのプログラムの実施が挙げられます。採用の場合、求人広告の掲載や採用イベントの開催、面接や選考を行います。あるIT企業では、特定の技術スキルを持つエンジニアの育成のため、外部の専門家を招いての研修を実施しています。
<関連記事>OJTとOFF-JTとは?違いやメリット・デメリットを人材育成の観点で解説
ステージ6:PDCAを回す
実施した育成や採用の成果を評価し、必要に応じて見直しする段階です。このステージでは、タレントのパフォーマンスや成果を定期的に評価し、育成や採用のプロセスを改善するためのフィードバックを得ることが重要です。ある製薬企業では、新たに採用した研究者の業績や貢献度を評価し、次回の採用戦略の見直しを行っています。
タレントマネジメントシステムの導入について
タレントマネジメントを効果的に実践するためには、適切なシステムの導入が不可欠です。多数あるタレントマネジメントシステムの中から、自社のニーズや組織状況にあわせて導入するポイントをご紹介します。
<タレントマネジメントシステムの導入選定ポイント>
- タレントマネジメントに取り組む目的を明確にする
- 中長期的な予算を検討する
- 従業員が使いやすいUIを重視する
- 導入実績や評判、サポート体制を確認する
タレントマネジメントで何を達成したいのか、取り組みの目的や目標は千差万別です。まずは自社の課題や現状を整理して、導入目的を定めましょう。また、タレントマネジメントシステムは中長期的にデータ蓄積を続けた上で効果を得られるため、初期費用だけでなく、長期目線での費用対効果の検討も重要です。
他にも、使いやすいインターフェイスや導入実績など、さまざまな角度から慎重に検討を進めましょう。タレントマネジメントシステムの導入や運用ポイントについて、参考記事もあわせてご一読ください。
<関連記事>
・中小企業こそタレントマネジメントを導入するべき理由、メリットを解説
・タレントマネジメントを効果的に運用するためのシステム導入と活用のポイント
まとめ
タレントマネジメントで蓄積されたさまざまな人材データを活用すれば、採用要件の明確化やミスマッチ防止、内部人材と外部採用のバランスの最適化などにメリットがあります。採用後の人材育成や活用だけでなく、採用活動においてもタレントマネジメントの力を活用していきましょう。
採用活動にタレントマネジメントを取り入れよう
タレントマネジメントに取り組む際は、データの一元管理や効率化の観点でシステムの活用が不可欠です。中でも、採用管理に特化したハーモス採用と連携でき、社内の即戦力人材を容易に見つけられる「社内版ビズリーチ」と併用できるHRMOSタレントマネジメントがおすすめです。
タレントマネジメントを最大限発揮するために、ぜひHRMOSタレントマネジメントを活用してみませんか。