企業を取り巻く環境は変化しており、人材管理の難度は高まる傾向にあります。労働力不足や価値観の多様化を背景に、従来の管理手法だけでは対応しきれないこともあるでしょう。
人事課題を解決せずに放置し続けた場合、優秀な人材の離職を引き起こす原因になりかねません。人事課題の解決には、客観的な現状把握と適切なアプローチが必要です。
本記事では、企業が人事課題を放置した際の影響や代表的な課題とともに、解決に導くための具体的なアプローチや手法について解説します。
企業が抱えていた課題の解決事例を公開
- 入社手続きの効率化
- 1on1 の質の向上
- 1on1の進め方
- 従業員情報の一元管理
- 組織課題の可視化
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人事課題とは、企業の経営戦略の実現を妨げる、人材に関する課題の総称です。採用、育成、配置、定着といった各段階で生じる問題や改善点が含まれます。
直面する人事課題の傾向は、企業規模によって異なります。
例えば、中小企業では採用力の弱さや後継者不足が深刻な悩みです。一方、大企業では組織の硬直化や部門間の壁などが問題になる傾向があります。
現在の人事部門には、労務管理や手続き業務にとどまらず、経営戦略と連動した施策を推進する役割が求められています。
経営のパートナーとして機能するには、事業方針に沿った人事施策を実行する姿勢が欠かせません。
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評価基準の不明確さや納得感の低下など従業員の不満を生む原因になります。
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・人事課題の解決
・経営課題の解決
人事課題を放置するリスクと企業への影響
人事課題が発生していても、問題の深刻さを認識せずに、対応を後回しにするケースも少なくありません。人事課題を放置し続けた場合、組織全体に多大な影響を及ぼします。
ここでは、人事課題を放置するリスクと企業への影響について解説します。
生産性の低下と業績悪化
人事課題を放置した場合、従業員のモチベーション低下につながる恐れがあります。
従業員のモチベーションが低下した場合、一人一人の作業スピードや正確性が落ち、企業の生産性低下につながる可能性があるでしょう。
職場の沈滞した雰囲気は、周囲の従業員にも伝染していきます。新しいアイデアが生まれにくくなり、組織の停滞感が増加します。
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人材流出による競争力低下
人事課題を放置すると、優秀な人材の離職につながり、企業の競争力を奪う要因になります。市場価値が高い人材ほど、外部からも声がかかりやすく、よりよい条件を求めて現職に見切りをつけるケースは珍しくありません。
キーパーソンの退職は、残された従業員の負担増を招き、連鎖的な退職の引き金になる可能性もあるでしょう。
また、競合他社にノウハウが流出する危険性もはらんでいます。企業の競争力を維持するためには、優秀な人材が働き続けたいと思う環境整備が不可欠です。
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企業ブランドイメージの毀損
労働環境の悪化を放置すると、企業の評判を下げる結果につながります。労働問題が深刻化すると、従業員との訴訟に発展する危険性もあるでしょう。
近年では、SNSで不適切な労務管理やハラスメント問題が明るみに出るケースが発生しています。
SNSで企業のネガティブな印象が瞬時に拡散された場合、一度失墜したブランドイメージの回復には、長い時間と多額の費用が必要です。
採用活動においても求職者から敬遠され、人材確保が困難になる可能性もあります。取引先や顧客からの信用を失う原因にもなりかねません。
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企業が直面する代表的な人事課題の一覧
現代の企業は、社会環境の変化や技術の進歩に伴い、解決すべき問題が複雑化しています。
ここでは、企業が直面する代表的な人事課題について解説します。
1.人材採用の難化と採用コストの増加
近年では、少子高齢化による生産年齢人口(15~64歳)の減少により、人材の確保が困難になっています。厚生労働省の調査によると、有効求人倍率は高止まりの傾向です。
売り手市場が継続しており、企業間の人材獲得競争は激化しました。

そのため、従来の求人広告に頼るだけでは、応募を集めることが困難になっています。ダイレクトリクルーティングやリファラル採用など多様な採用手法を導入する企業が増えてきています。
しかし、多様な採用手法に取り組むにはコストが必要です。採用コストの増加も課題となっています。
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2.従業員の定着率低下と離職問題
若手社員の早期離職は、多くの企業が抱える深刻な課題です。
厚生労働省の調査によると、新卒入社から3年以内に離職する割合は大卒で約3割であり、採用が難しい中小企業ではさらに高い傾向にあります。
離職の要因のひとつとして挙げられるのが、入社前の期待と入社後の現実とのギャップです。加えて、職場の人間関係や評価に対する不満も、離職を後押しする原因となります。
若手社員が早期離職に至ってしまった場合、採用にかけた時間と費用が無駄になるだけでなく、組織の年齢構成に歪みが生じます。
従業員が長く定着して活躍できる、働きがいのある職場環境を構築することが求められています。
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3.テレワークとオフィス回帰の流れ
コロナ禍で浸透した働き方として「テレワーク」が挙げられます。感染症対策を契機に普及したテレワークは、場所にとらわれない働き方を定着させました。
しかし、テレワークには労務管理の負担増やコミュニケーション不足などの課題があり、テレワークとオフィス出社のバランスを見直す企業が増えてきました。
一方で、完全なオフィス回帰への動きに対する反発の声も存在します。従業員は柔軟な働き方を求めており、一律の出社義務化は離職の引き金になりかねません。
多様な働き方を許容しつつ、業務の性質や個人の状況に合わせたハイブリッドな働き方を設計することも人事課題のひとつです。
4.従業員エンゲージメントの低下
ギャラップ社の調査によると、日本企業の従業員エンゲージメントは7%と、国際的に見ても低い水準にとどまっています。
従業員エンゲージメントとは、従業員が会社のビジョンや理念に共感し、自発的に貢献しようとする意欲を示す指標です。
従業員エンゲージメントが低い状態を放置すると、従業員が受け身の姿勢になり、生産性の低下や離職率の上昇を招きます。
エンゲージメントを高めるためには、経営理念の浸透や公正な評価が欠かせません。従業員の声に耳を傾け、働きがいを感じられる職場環境を構築する必要があります。
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5.人材育成・スキル開発の遅れ
事業環境が急激に変化する現代において、人材育成やスキル開発の遅れは企業の存続に関わる課題です。
しかし、近年ではITやAIが進歩する一方、DX人材やAI人材の不足が深刻化しているのが実態です。
IPA(情報処理推進機構)の調査でも、DXの取り組みを担う人材の不足を課題として挙げています。
DXの導入やAIの活用トレンドに対応するため、注目を集めているのが、新しい知識やスキルを習得する「リスキリング」です。
社内での計画的なスキル開発により、外部からの採用に頼らずに高度な人材を確保できます。国も助成金や講座を通じて、企業のリスキリング支援を強化しており、その重要性がみてとれます。
一方で、日々の業務に追われ、教育体制の構築に手が回らない企業も少なくありません。外部の支援制度を有効に活用しながら、未来の事業を担う人材の育成計画を策定する必要があります。
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6.評価制度の形骸化と不公平感
パーソル総合研究所の調査によると、「自社の人事評価制度に納得できない」という不満の声が約4割に上ることが明らかになりました。
納得感のある人事評価制度の構築は、従業員の意欲を引き出す土台です。しかし、多くの企業で過去に導入された人事評価制度が形骸化し、実態に合わなくなってきました。
不公平な評価は、従業員のモチベーションを著しく低下させます。部署や人によって異なる目標難度や、評価者である管理職のスキル不足も、評価のばらつきを生む要因です。
自社の現状に合わせて評価基準を見直し、透明性の高い制度へ刷新することが求められています。
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7.ダイバーシティ&インクルージョン推進の課題
近年では、労働力人口の不足への対策として、多様な人材を活用するダイバーシティ&インクルージョンが注目を集めています。
同質性の高い組織では、多様な価値観が組織に反映されず、変化の激しい市場環境に適応できません。
経済産業省も、ダイバーシティ2.0行動ガイドラインを改訂し、具体的なアクションを提示しています。
しかし、その推進は、多くの企業で道半ばといえる状況です。女性管理職やシニア人材、外国人、障がい者など、多様な人材が活躍できる環境を整備することが重要です。
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8.後継者育成と人材パイプラインの構築
計画的な後継者育成は、企業の持続可能性を高めます。しかし、東京商工リサーチの調査によると、後継者不在率は6割を超えていました。
中小企業においては、後継者不足の問題は極めて顕著であり、黒字倒産も話題になっています。
人的資本経営の観点から、次世代リーダーを育成するサクセッションプランの策定と、候補者を育成・獲得・配置する仕組みである人材パイプラインの構築が重要視されています。
将来のリーダー候補を早期に特定し育成することにより、経営トップの交代時にも混乱を防げるでしょう。
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9.労働時間管理とワークライフバランス
適切な労働時間管理とワークライフバランスの実現は、従業員の心身の健康を保つ土台となります。
長時間労働が常態化した職場は、疲労の蓄積から業務効率が著しく低下するだけでなく、従業員の心身に悪影響を及ぼします。
日本生産性本部の調査によると「心の病」は増加傾向にあることが明らかになりました。メンタルヘルス不調による休職者の増加は、企業にとって重大な損失です。
過労による精神的な不調を防ぐためにも、メンタルヘルス対策の強化が急務となっています。
また、近年では心身の健康だけでなく、社会的な幸福度も含めたウェルビーイングの向上が求められています。
柔軟な勤務制度の導入や、有給休暇の取得促進など、多様な働き方を支援する制度を導入し、長く健康に働ける環境を整備しましょう。
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10.コンプライアンス対応とハラスメント防止
コンプライアンス違反やハラスメントの発生は、企業に深刻な被害をもたらす問題です。
近年は従業員の権利意識が高まっており、厚生労働省の調査でも、ハラスメントに関する相談件数は増加傾向にあることが明らかになりました。
また、企業内で不祥事が起きた場合、法的な賠償責任を問われるだけでなく、取引先からの契約打ち切りや業績悪化につながる恐れがあります。
企業イメージに与えるダメージも小さくないでしょう。問題の発生を未然に防ぐためには、全社的なコンプライアンス教育の徹底が不可欠です。
通報窓口の設置や管理職向けの研修を充実させ、風通しのよい組織文化を醸成する必要があります。
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11.人事データ活用と戦略的人事の実現
組織の活性化や生産性向上には、勘や経験に頼るのではなく、人事データを活用した戦略的人事の実現が必要です。
しかし、多くの企業でDX人材の不足が壁となり、データ活用に遅れが目立っている状態です。タレントマネジメントシステムをはじめとしたツールを導入せず、情報が分散している企業も少なくありません。
従業員のスキルや経歴を可視化することは、人的資本を把握し、戦略的に活用する土台づくりにも役立ちます。
人事データを有効に活用するためにも、散在する人事情報を一元管理し、客観的なデータに基づいて人材を配置する仕組みが必要です。
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煩雑な仕組みは、評価基準を不明瞭にし従業員の納得感を低下させる可能性があります。
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効果的な人事課題の解決アプローチ
複雑化する人事課題を解消するためには、場当たり的ではない対策が必要です。
組織の現状を正確に把握した上で、中長期的な視点に基づく計画的なステップを踏む行動が求められます。
1.課題の洗い出しと優先順位の設定
感覚や勘に頼った施策の実行は、再現性がありません。根拠となる指標がないため、期待する成果を得られない可能性もあるでしょう。
客観的なデータに基づいて課題を特定・分析し、対策を講じることが重要です。企業理念や経営計画をもとに現状を把握し、課題を特定しましょう。
ただし、すべての課題に同時に対処することは困難です。影響度と緊急度を基準として優先順位をつけた上で取り組むことがポイントです。
優先的に取り組むべきテーマが明確になれば、限られたリソースを適切な施策に分配できます。
2.経営層と人事部門の連携強化
企業が目指す方向性と人事施策にズレが生じた場合、たとえ施策が成功しても事業の成長につながらない可能性があります。
経営戦略と連動した施策を展開するには、経営層と人事部門の連携強化が欠かせません。
経営層が人事課題を自らの問題として捉え、強いコミットメントを示すことにより、従業員の理解と協力も得やすくなります。
また、経営陣のパートナーとして機能するHRBPの導入も有効です。人事部門単独で取り組むのではなく、経営層や現場の従業員を巻き込みましょう。
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3.データドリブンな意思決定
過去の成功体験に依存した人事施策では、多様化する現代の課題に対応するのは困難です。従業員の価値観も変化しており、定性的な判断だけでは施策の妥当性を証明できません。
客観的な裏付けがないまま制度を変更した場合、現場の反発を招いて定着しないケースも考えられます。
また、施策の効果測定が曖昧な状態では、改善に向けた適切なアクションを設計できません。
客観的な分析をするためには、従業員の属性や業務行動をもとに人事課題を解決する「ピープルアナリティクス」や、KPI(Key Performance Indicator)の設定による効果測定など、データドリブンな意思決定が不可欠です。
収集した人事データを多角的に分析し、客観的な根拠に基づく改善策を実行しましょう。
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4.従業員の声を生かす仕組み
企業側から一方的に制度を押し付けるだけでは、現場の実態と乖離した実効性の低い施策になりかねません。
従業員の不満や要望を把握し、それを踏まえて施策を実行することで、根本的な課題解決につながります。
従業員が「現場の意見が反映されている」と感じることにより、組織全体のエンゲージメント向上も期待できるでしょう。
従業員の不満や要望を把握する方法には、アンケートやヒアリングが挙げられます。双方向のコミュニケーションを活性化させ、風通しのよい職場環境を構築しましょう。
人事課題解決のための手法・フレームワーク
人事課題の解決策をゼロから考えると、時間がかかるうえに方向性を見失うおそれがあります。
既存の手法やフレームワークを活用すれば、課題の原因を整理しやすくなり、改善のスピードも高めやすくなります。
もっとも、手法ごとに適した場面は異なるため、組織の状況や課題の性質に応じて選ぶことが重要です。ここでは、人事課題の解決に役立つ代表的な手法・フレームワークを紹介します。
1.タレントマネジメント
タレントマネジメントの導入は、従業員の能力を十分に引き出し、組織の目標達成を促進する手段のひとつです。
従業員のスキルや経験、キャリア志向の一元管理により、適材適所の配置ができます。
特に、社内版ビズリーチのようなシステムを活用すれば、自社内に埋もれた人材を発掘し、新たなポジションへ抜擢する柔軟な人事異動も可能です。
適材適所の配置は、従業員の納得感を高め、人材流出の抑制にもつながる可能性があります。
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2.PDCAサイクル
PDCAサイクルは、継続的な改善を進めるための基本的なフレームワークです。
Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Act(改善)の4段階を繰り返し、施策の精度を高めていきます。
人事課題は一度の対策で解決しないことも多いため、効果を検証しながら柔軟に見直していくことが重要です。
3.7S分析
7S分析は、マッキンゼーが提唱した組織分析のフレームワークです。
Strategy、Structure、Systems、Shared Values、Style、Staff、Skills の7要素を整理し、相互の整合性を確認します。
ハードの3S
- Strategy(戦略): 目標達成に必要な取り組み
- Structure(組織構造): 指揮命令系統や部門構造
- System(制度): 人事評価や報酬制度、業務フローなどのルール
ソフトの4S
- Shared Value(共通の価値観): 企業理念やビジョン、文化
- Style(組織風土): リーダーシップのスタイルや社内の雰囲気
- Staff(人材): 従業員の能力や意欲、マインドセット
- Skill(スキル): 組織全体が持つノウハウや技術、強み
ひとつの視点から捉えるだけでは、組織課題の根本的な原因を見つけるのは困難です。
例えば、人事制度だけを変更しても、社内の価値観や従業員のスキルが追いついていなければ機能しません。
組織を構成する要素は複雑に絡み合っており、一部の修正が他の部分に悪影響を及ぼす事態も起こり得ます。
7S分析を活用すれば、組織全体を俯瞰して分析でき、組織課題の根本的な原因を見つけられます。
4.SWOT分析
SWOT分析は、強みや弱みという「内部環境」と、機会や脅威という「外部環境」を整理するフレームワークです。
人事戦略に応用することにより、自社の人材や組織の立ち位置を多角的に把握できます。
- 強み:優秀な人材や専門スキルなど
- 弱み:スキル不足や高い離職率、コストなど
- 機会:労働市場の動きや新しい働き方の普及、法改正など
- 脅威:人材獲得競争や原材料の高騰など
内部要因と外部要因を掛け合わせることにより、人材マネジメント上の課題や可能性を整理し、自社が取るべき具体的な人事施策を設計できます。
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5.3C分析
3C分析とは、以下の3つの視点から、自社の経営環境を把握し、戦略立案に活用するフレームワークです。マーケティング由来の手法ですが、人材獲得・維持の戦略立案にも活用できます。
- Customer:市場・顧客
- Competitor:経済・競合他社
- Company:自社
採用市場における顧客を求職者に見立てることにより、ターゲットが求める条件や価値観を浮き彫りにした上で、競合他社の採用施策や労働条件、市場の動向を分析します。
SWOT分析と組み合わせれば、相乗効果が期待できます。
6.エンゲージメントサーベイ
エンゲージメントサーベイとは、職場環境や理念浸透度、人間関係などを定量的に測定する調査です。
従業員満足度や理念浸透度などを可視化することにより、生産性向上や職場環境の改善、定着率向上につなげます。
ただし、毎月のようなスパンで実施した場合、従業員の負担が増加し、回答の質が低下する恐れがあります。回答に対する動きやフィードバックがない場合も、不信感を抱かれるかもしれません。
サーベイの目的を説明し、理解を得た上で3か月や半年に1回程度の実施にするとともに、調査結果をフィードバックすることがポイントです。
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7.バランススコアカード
バランススコアカードとは、以下の4つの視点から企業業績を多面的に分析するフレームワークです。
- 財務指標
- 顧客
- 内部プロセス
- 学習と成長
従来の財務指標中心の業績評価では、過去の業績の延長線上の将来予測しかできませんでした。近年の企業を取り巻く環境は、変化が激しく「VUCA時代」といわれています。
VUCA時代に対し、多角的に業績を分析・評価する手法として注目されたのがバランススコアカードです。
バランススコアカードを活用すれば、人事部門の取り組みが、どのように企業の業績向上に貢献しているのかを論理的に説明できます。
人材育成や組織開発の目標を経営目標と結びつけられるため、施策の妥当性を証明する効果が期待できます。
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8.ピープルアナリティクス
ピープルアナリティクスとは、従業員の属性や行動などの多様なデータを収集・分析し、客観的な事実に基づいて人事施策や配置、組織の課題解決を行う手法です。
目的によって対象となるデータは変わりますが、主に以下のようなデータを収集し、分析します。
- 人材に関するデータ:年齢・スキル・勤怠・給与・性格・評価履歴など
- オフィス機器や設備の使用状態に関するデータ:パソコン・メール・電話・会議室など
- 行動データ:在席時間・外出時の社用携帯の位置情報など
退職のリスクが高い従業員の傾向の予測や、ハイパフォーマーに共通する行動特性の抽出が可能です。
それにより、感覚に頼っていた採用基準や配置計画を、客観的な数値の裏付けがあるものに見直せます。
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9.1on1ミーティング
1on1ミーティングとは、上司と部下が1対1で定期的に行う面談です。人事考課や進捗確認が目的ではなく、部下の成長と組織力向上のために実施されます。
日常の業務連絡にとどまる会話だけでは、部下のキャリアに対する不安や悩みをすくい上げることは困難です。サポート不足の状態が続いた場合、休職や離職につながる可能性もあります。
定期的に1on1ミーティングを実施することにより、部下の不安や悩みをすくい上げ、対策を講じられます。
ただし、上司側のスキル不足や準備不足の状態で実施した場合、効果が出ません。そればかりか、部下の負担が増えるだけとなり、不信感を招く恐れがあります。
1on1ミーティングを効果のあるものにするためには、事前に上司に対する研修を実施した上で取り組むことがポイントです。
適切に機能すれば、従業員エンゲージメントの向上や人材開発の促進など、多岐にわたる人事課題の解決につながります。
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異動履歴や資格など従業員情報を一元管理し、スキルを可視化。データに基づく人材配置で組織の生産性向上につながります。
まとめ
採用難や定着率の低下、エンゲージメントの不足など、人事部門が取り組むべきテーマは多岐にわたります。
課題を放置すると、企業の競争力の低下や業績悪化を招くおそれがあります。現状をデータに基づいて把握し、経営層と連携しながら対策を進めることが重要です。
本記事で紹介した解決アプローチやフレームワークを参考に、人事課題の解決に向けて動き出しましょう。
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人事課題を把握し、対策を講じるには、従業員情報のデータ化と一元管理が欠かせません。
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社員の経歴や専門スキルをデータベース化して検索する体制が整うことで、自社に眠る優秀な人材を発掘し、定着率の向上につなげることも可能です。
社内公募や抜擢人事を通じて、意欲のある人材に新たな挑戦の機会を提供できるでしょう。
人事課題への取り組みを戦略的に進めたい企業の担当者は、ぜひ社内版ビズリーチをご覧ください。


