目次
企業が人事評価制度を導入しても、評価者ごとに評価にばらつきが生じてしまうことがあります。
人事評価の公平性を高め、従業員の納得感や企業に対する信頼感を高めるためには、評価者研修を実施して評価の基準や方法を統一することが重要です。
本記事では、評価者研修とは何か、実施する目的や内容、実施形式について解説します。評価者研修を成功させるためのポイントも紹介するので、人事評価制度について課題を抱えている企業の経営者や人事担当者は参考にしてください。
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評価者研修とは、人事評価制度において従業員や部下を評価する立場にある人を対象に実施する研修です。
評価者研修では、人事評価の仕組みや評価制度への理解を深め、評価者に求められるスキルや知識を習得します。
人事評価制度を適切に運用するうえで重要になるのが評価者研修です。評価者向けの研修を行わないと、評価者ごとに評価の方法や内容にばらつきが生じるなど、人事評価制度が適切に運用できないことがあるからです。
評価者研修を実施すれば、評価の仕方やフィードバックの方法などを評価者が理解しやすくなり、公平性や納得感のある評価制度の運用につなげられます。
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評価者研修の対象者
評価者研修の主な対象者は以下のとおりです。
| 管理職・マネージャー 人事担当者 経営層 |
主任やチームリーダーのようなマネージャークラスや管理職は、部下の育成から指導、評価までを担う立場です。研修に参加して評価者に必要なスキルを習得する必要があります。
人事評価制度の運用を担う人事担当者も、評価者研修に参加することで、人事評価制度を運用するうえで必要な知見が身に付きます。
人事評価制度が適切に運用されているか、評価者による評価に偏りがないかを確認するためには、評価者に求められるスキルや考え方を理解しておくことが重要です。
経営層は直接的に人事評価を行う立場ではない場合もありますが、研修に参加して自社の評価制度の内容や活用の実態を理解すれば事業経営に役立ちます。
また、評価者研修は、管理職やマネージャーになったばかりの人など、評価者としてのスキルの習得が特に必要な人を対象に実施する企業も見られます。
評価者研修の目的
評価者研修はさまざまな目的で実施され、多くの企業で活用されています。
特に、「人事評価制度の公平性の確保」「人事評価エラーの防止」「人材育成の促進」を図るうえで、評価者研修の導入が効果的です。
人事評価制度の公平性や人材育成への活用に課題を感じている経営者や人事担当者は、評価者研修を導入すると課題解決につながる可能性があります。
評価基準の統一による公平性の確保
評価者研修を通じて評価者が評価基準を理解することで、社内で評価基準をそろえやすくなり、人事評価制度の公平性を高めやすくなります。
評価者が各々の価値観や主観で評価をしてしまうと、評価者ごとに評価の内容にばらつきが生じる恐れがあるため、評価者研修によって評価基準の統一を図ることが重要です。
評価基準が統一されれば、評価される従業員の納得感や企業への信頼感が高まります。
従業員エンゲージメントが向上し、労働意欲の向上や労働生産性アップなどの効果を期待できるでしょう。
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評価エラーの防止
人事評価で注意が必要になるのが「人事評価エラー」です。人事評価エラーとは、評価者が自身の価値観や感情、思い込みなどに左右されて偏った評価をすることです。
ハロー効果や中心化傾向など、人事評価エラーにはさまざまな種類があります。
人事評価でよく見られるエラーやバイアスを回避するためには、そのようなエラーやバイアスがあることを評価者が認識しておくことが重要です。
評価者研修を通じて人事評価エラーの存在を評価者が自覚し、意識的に回避して客観的な評価に努めることで、評価の偏りを抑えやすくなります。
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フィードバック力の向上と部下育成
人事評価では、単に評価して終わるのではなく、評価者が被評価者に対して適切にフィードバックを行うことが大切です。
実際、Googleをはじめとする世界的なテクノロジー企業の調査や、近年の組織開発やパフォーマンスマネジメントにおいて、共通して重視されているのは、『完璧な評価制度は存在しない。本質は、評価者が日々の1on1や対話を通じて目の前の部下の成長に真摯に向き合い、制度を形骸化させず、現場で定着させていくこと』という考え方です。
どれだけ時間をかけて緻密な評価表や制度設計を行っても、評価者が部下に適切なフィードバックを行う力がなければ制度はたちまち形骸化してしまいます。
研修によって評価者のフィードバック力を高め、日々の対話に生かすことこそが、部下の育成や組織力の強化につながります。
なぜそのような評価になったのか、理由も含めて上司が部下に説明すれば部下は評価に納得できます。
反省点や改善すべき点を伝えれば、部下は自身の伸びしろを自覚できて成長意欲を持って業務に臨むことができ、よかった点を具体的に伝えれば、モチベーションの向上が見込めます。
評価者研修によって評価者のフィードバック力が向上し、管理職のマネジメント力が高まることで、部下育成や組織力の強化につながります。
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評価者研修が不十分な場合に生じるリスク
2025年版中小企業白書によれば、人事評価制度を導入している中小企業の割合は40.6%、従業員数100名超の中小企業では78.9%です。
人事評価制度が多くの企業で導入されるなか、公平な制度運用を実現するための評価者研修の重要性が高まっている状況です。評価者研修がなぜ必要なのか、研修が不十分な場合に生じるリスクについて、経営者や人事担当者は理解しておく必要があります。
評価のばらつきによる従業員の不満
評価者研修を十分に行わないと、人事評価エラーを防げず評価に偏りが出る可能性があります。評価者ごとに評価にばらつきが生じると従業員が不満を抱くことになります。
「成果を出しても正しく評価してもらえない」「上司が自分の好みや主観で評価をしていて不公平」と従業員が感じれば、モチベーションが下がることになりかねません。
仕事を頑張っても評価されず、自分より頑張っていない人が評価されるようでは、従業員の労働意欲が低下して生産性が低下します。業績が悪化したり企業活動全体が停滞したりしないように、人事評価制度では評価者研修を通じて評価基準を明確化し、評価方法を統一することが重要です。
評価にばらつきが生じる原因としては、評価基準の曖昧さだけでなく、「過去の評価データや1on1の記録が、複数のファイルやシートに分散し、十分に活用されていないこと」も挙げられます。
過去の成長プロセスが可視化されていないと、評価者は直近の印象に偏って判断しやすくなり、結果として評価に対する不公平感につながる可能性があります。
離職率の上昇とエンゲージメント低下
評価に偏りがあるなどの理由で従業員の不満が高まると、企業に対する従業員の信頼は低下します。「この会社で働くことに誇りを感じる」「会社のために働きたい」と思う従業員が減れば、転職を考える従業員が増えてしまいます。
従業員エンゲージメントの低下は離職率の上昇につながり、優秀な人材の流出や労働生産性の低下を招きかねない点で、企業にとって重大な問題です。退職者が出るたびに追加で人材の採用が必要になると採用コストが上がり、定着率が下がると中長期的な視点での人材育成ができず社内で人材が育ちません。
「人がやめない、育つ会社」を作るには、納得感のある社内制度を整備することが重要です。人事評価制度の公平性確保のためには評価者研修が重要な役割を果たします。
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組織内のコミュニケーション不全
評価者研修が十分に行われず、評価者が客観的な評価を行えていない場合や適切なフィードバックができていない場合、部下は上司に対して不信感を抱く可能性があります。上司と部下の間で信頼関係を築けていないと、日々の業務でやり取りがスムーズにできず支障が出ることになりかねません。
また、評価基準が曖昧で従業員が不公平だと感じれば、よい評価を受けた他の従業員に対して嫌悪感を抱く恐れがあります。部署内や職場内で互いを信頼できなければ、コミュニケーション不足によって組織内の活動自体が滞るリスクもあるため注意が必要です。
職場の心理的安全性が下がると個々のパフォーマンスが低下する場合があるため、評価者研修を通じて人事評価制度の公平性を確保することが重要といえるでしょう。
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評価者研修の主な内容
評価者研修では、評価者が評価実務を行ううえで必要になるスキルや評価者として知っておくべき知識を扱います。
評価者研修をはじめとした研修制度は、必要な内容を漏れなく研修で扱ってこそ、参加者のスキルアップにつながり効果を発揮します。以下では、評価者研修で扱う項目や具体的な研修内容を紹介します。
人事評価制度の理解と評価者の役割
評価者研修では、人事評価制度の意義や導入する目的・メリットなど、制度に対する理解を深めるための内容を扱います。評価者など制度に関わる人が制度の趣旨を正しく理解していないと、人事評価制度が適切に運用されず効果を発揮しないからです。
企業への貢献を適切に評価することが労働意欲向上につながる点や、個々の能力を把握・評価すれば人材育成に活用できる点など、制度への理解を研修を通じて深めます。
また、評価者として人事評価制度に関わる際、自身は何をすべきなのか、評価者が果たすべき役割を理解することも重要です。人事評価制度における評価者の立ち位置や役割について研修で扱えば、評価者は自覚と責任感を持って部下のマネジメントや育成に取り組めます。
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評価基準・評価項目の正しい解釈
人事評価制度における評価体系は企業によってさまざまです。
自社ではどのような基準で評価を行い、どの評価項目を重視しているのか、評価基準・評価項目について評価者研修で扱います。
評価者が評価制度の内容を正しく理解することで、評価者ごとの評価のばらつきがなくなり、客観的で一貫性のある評価制度の運用が可能になります。
また、実際に評価者が部下を評価する際には、部下の現状が評価基準に達しているといえるのか、判断に迷うケースが少なくありません。そのため、評価者研修では、実務上のポイントも織り交ぜて研修を実施すると評価者の理解が促進されて効果的です。
例えば、従業員の成果や業務の状況など具体例を挙げて、評価基準のどのレベルに該当するのか示せば、評価者は実際に部下を評価する際のイメージを掴むことができます。
陥りやすい評価エラーの種類と対策
人事評価エラーを防止するため、評価者研修では代表的な人事評価エラーの種類や内容、防止策について学びます。
| 【代表的な人事評価エラー】 ハロー効果・中心化傾向・極端化傾向・寛大化傾向・厳格化傾向・逆算化傾向・対比誤差・論理誤差・期末誤差 |
例えば、部下ごとに評価に差を付けることを意識し過ぎると、評価が極端になる「極端化傾向」が見られる場合があります。
しかし、人事評価で重要なのは、他者と差を付けることではなく、被評価者の成果や貢献を評価基準に基づいて客観的に評価することです。
その人のポジションや職制に求められる水準の職責を果たしているか、事実に基づいて評価基準に即して評価する意識を持つことで、極端化傾向を抑えやすくなります。
人事評価エラーの種類だけでなく対策まで評価者研修で扱うと、評価制度の精度を高められます。
目標設定の指導方法
人事評価制度では、期首などに部下が定めた目標の達成状況も上司が確認・評価する項目のひとつです。
部下が適切な水準・内容の目標を設定するためには、上司によるサポートやマネジメントが重要であり、評価者研修では目標設定の指導方法を学びます。
評価者研修では目標設定の考え方や方法について扱い、MBOやOKRなど、目標の設定・管理で活用できるフレームワークについて学習します。実践的な手法やフレームワークを学べば実際のマネジメントで生かせるため効果的です。
また、個人目標と組織目標を連動させることの重要性を評価者が学んで理解することで、個人の目標達成が組織の成長につながる組織体制を構築できます。
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評価面談・フィードバック面談のロールプレイング
評価の内容が同じ場合でも、フィードバックの仕方や部下への伝え方次第で評価される側の受け取り方が変わります。評価や振り返りの内容を部下が聞いて今後の成長につなげられるように、評価者研修では評価面談・フィードバック面談をする際のポイントを学びます。
評価面談・フィードバック面談では、評価内容や今後取り組むべき課題を部下が理解できるように、反省点やよかった点を具体的に伝えることが重要です。
また、悪かった点を指摘するだけでは部下のモチベーションが下がってしまうので、被評価者が前向きな気持ちになり、今後の業務に意欲的に取り組めるような伝え方も学びます。
研修の参加者でペアを組んでロールプレイングを実施すれば、被評価者に対して適切なフィードバックができるか確認でき、研修がより実践的なものになります。
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評価者研修の実施形式を比較
評価者研修には複数の実施形式があり、特徴やメリット・デメリットが異なります。主な実施形式は「集合研修」「eラーニング」「ブレンディッドラーニング」の3つです。以下では、各実施形式の特徴や違いを紹介します。
集合研修
集合研修は、参加者がひとつの会場に集まって実施する研修方法です。講師による講義を直接聞くなど対面型の実施形式であり、参加者が一堂に集まるためグループディスカッションやグループワークを実施できます。
参加者は疑問点があれば講師に質問しやすく、参加者同士で交流を深められる点もメリットです。他の部署の評価者との意見交換により、悩みを解決できたり刺激を得られたりすることで、モチベーション向上などの効果も期待できます。
ただし、会場の準備や日程調整の手間がかかる点がデメリットです。参加者が多いと全員が一堂に会する日程の調整が難しい場合があります。また、参加者は会場までの往復で時間や手間を取られるため、他の実施形式に比べて参加者に負担がかかりやすい研修方法です。
eラーニング
eラーニングとは、パソコンやタブレットなどを使い、インターネット経由で実施する研修方法です。ライブ型のオンライン研修やオンライン上の学習教材を使って実施する形式などが該当します。
録画動画や学習コンテンツを使った研修形式は、パソコンなどの端末さえあれば受講者はいつでもどこでも研修を受けられる点がメリットです。自身のスケジュールに合わせて、日々の忙しい業務の合間に研修を受講できます。
ただし、集合研修のようにグループディスカッションやグループワークは実施できません。アウトプット型の研修内容は盛り込みにくく、インプット型の研修が中心になるため、受講者は受け身になりがちでモチベーションを維持しにくい点がデメリットです。
ブレンディッドラーニング
ブレンディッドラーニング(Blended Learning)とは、eラーニングなどのオンライン研修と集合研修などの対面型研修を組み合わせて実施する研修方法です。
オンライン研修と対面型研修にはメリット・デメリットがあるため、両者を併用することで互いのデメリットを補い、効率的に研修を実施することを目的としています。
例えば、知識の習得などインプットがメインの研修はオンラインで行い、スキルの向上を図るための研修は対面で実施します。
参加者が一堂に集まる必要のない研修内容は、オンラインで実施すれば時間を有効に活用できて効率的です。一方で、実践的なスキル習得を目的とした内容の研修は、集合型で実施してロールプレイングなどを行うと評価者の能力の向上を期待できます。
評価者研修を成功させる5つのポイント
評価者研修では、以下で紹介する5つのポイントを意識して実施すると、研修の効果や精度が高まります。
評価者研修は単に参加者を集めて開催すればよいわけではなく、評価者のスキル向上や人材育成への活用につなげるための取り組みや工夫をしながら実施することが重要です。
①自社・評価者に合わせたカスタマイズ
評価者研修において、人事評価制度への理解や評価方法などの内容を扱う際、ただ一般論を伝えるだけでは実際の評価作業で生かせるスキルは身に付きません。
人事評価制度が社内で果たしている役割や評価基準などは企業ごとに異なるので、自社の状況に合わせた内容で研修を実施する必要があります。また、評価者の職種やスキルレベルによっても必要な研修の種類や内容は変わります。
例えば、営業職と事務職で評価基準や評価項目が異なる場合、評価者が評価業務をする際のポイントも異なります。また、管理職に登用された人など、評価者になったばかりの人を対象に研修を実施する場合は、評価者としての視点や心得など基本的な事項に重点を置いて研修を行います。
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②実践的なスキルの習得
座学で評価方法やフィードバック面談のやり方などを学ぶことも大切ですが、研修で身に付けるべきなのは、単なる知識ではなく実践で生かせるスキルです。
インプット型の研修を実施したら、グループワークやロールプレイングなど実践型の研修も実施しましょう。
ロールプレイングによって実践的な訓練を行えば、評価者は自身の評価傾向や心理的なバイアスに気付くことができます。研修時点で自分の癖や注意すべき点を認識しておくと、実際の評価業務で人事評価エラーの影響を抑え、客観的な評価に近づけやすくなります。
また、座学で過去の評価事例を扱い、具体的な事例に当てはめて評価基準のどのレベルに該当するのか、解説することも有益です。評価者の理解が深まりスキル向上につながります。
③定期的な実施とフォローアップ
評価者研修を一度開催するだけでは、評価者は研修の内容を忘れてしまい、実際の評価業務で生かされない可能性があります。評価者研修が効果を発揮し、人事評価制度の精度向上につなげるためには、評価者研修の定期的な実施とフォローアップが重要です。
例えば、研修を実施した後、ある程度の期間が経ったタイミングで評価者向けの資料を再度配信すれば、評価者研修で習得した知識が薄れずに済みます。評価者に求められる知識やスキルなどを問うテストを定期的に行うことも、研修内容の振り返りや知識の定着を促進するうえで効果的です。
また、評価実務で悩みを抱えている評価者のための相談窓口を設けるとよいでしょう。評価者のサポート体制を整えれば個々の評価者の課題を解決でき、評価制度の質の向上につながります。
④研修後の効果測定と改善
研修制度を導入しても最初からうまくいくとは限りません。また、時代や自社の状況が変化するなかで、今まで機能していた研修制度が効果を発揮しなくなることもあります。研修実施後に効果測定を行い、課題が見つかれば原因を特定して改善策を講じることが大切です。
評価者研修後には参加者にアンケート調査を実施し、研修内容を十分に理解できているかどうかや、研修の運営面で問題がなかったか、確認しましょう。課題が見つかった場合は、実施形式や研修内容の変更などを検討します。
また、評価者が実際に部下を評価した内容を分析することも、人事評価制度全体の精度を高めるうえで有益です。評価に偏りが見られる場合、評価者研修で人事評価エラーやバイアスについて重点的に扱うようにするなど、研修制度に反映させると課題解決につながります。
⑤タレントマネジメントで評価を支援
評価者研修は、評価のばらつきを防ぎ、納得感のある人事評価を実現するために重要です。
しかし、評価者研修を実施しても、評価基準が統一されて評価制度の公平性が確保できているのか、確認できなければ実際に研修が効果を発揮しているか判別できません。
HRMOSタレントマネジメントを活用すれば、評価プロセスと進捗を可視化でき、目標設定から評価入力までの進捗管理をシステム内で完結できます。
評価制度の設計や運用だけでなく、評価者が適切に評価・フィードバックを行う際に必要な情報を確認しやすくなります。評価結果を蓄積・可視化することで、評価者ごとの甘辛傾向や評価のばらつきを把握しやすくなり、評価制度の改善にもつなげられます。
タレントマネジメントの効果・メリットについては、以下の記事で詳しく解説しているのであわせて参考にしてください。
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・タレントマネジメントとは?目的やシステムの導入、比較、活用方法を徹底解説
評価者研修に取り入れたい近年のテーマ
AI活用や人的資本経営など、人事労務領域ではさまざまなテーマが注目されています。評価者研修でも、近年注目のテーマを取り入れると研修の効果を高めることができます。
以下では、企業の経営者や人事担当者が評価者研修を実施するうえで押さえておきたいテーマを紹介します。
生成AIを活用した評価業務の高度化
AIは現在多くの業界・業種で導入されて活用されていますが、人事評価業務でも活用が可能です。
例えば、対話型の生成AIを評価者研修で導入すれば、研修参加者はAIと対話しながら学習できます。
座学で資料を見たり講義を聞いたりするだけでは受け身になりがちですが、対話型の研修スタイルであれば参加者は主体的に取り組めて知識習得速度が上がります。また、目標設定から進捗管理、評価まで一連の評価業務でもAIを活用できる場面があります。
たとえば、評価コメントの要約や表現の確認、評価傾向の分析などに活用すれば、評価者の業務負担を軽減しやすくなります。
ただし、人事評価業務をAI任せにすると、評価者が部下の状況を自ら観察し、判断する機会が減る可能性があります。
さらに、上司が部下と向き合う機会が減れば、コミュニケーション不足や信頼関係の低下につながるおそれもあります。
AIを活用すれば、人による評価のばらつきを一定程度抑えられる可能性がありますが、AI自体も学習データに起因する偏りを持つ場合があるため、AIに任せきりにするのではなく、評価者が最終的な判断に責任を持つ姿勢も重要です。
アンコンシャス・バイアス研修との統合
アンコンシャス・バイアスとは、無意識のうちに持ってしまう思い込みやものの見方、捉え方のことです。
育った環境や影響を受けた人などの違いから特定の見方をしてしまうケースなど、アンコンシャス・バイアスは必ずしも悪いわけではありません。しかし、アンコンシャス・バイアスが問題を引き起こすこともあり、企業内で放置すると悪影響を及ぼすケースもあります。
例えば、上司が偏見を持って部下に接したり評価したりして、ハラスメントとして問題になるケースや、部下の労働意欲が低下して企業の生産性低下を招くケースです。
アンコンシャス・バイアス研修とは、アンコンシャス・バイアスについて理解し、偏見や先入観に気づき、適切に対処するための研修です。評価者研修とも関連性が高いため、評価者研修と同時に実施するとよいでしょう。
人的資本経営と連動した研修制度の役割
人的資本経営とは、従業員が持つ知識やスキル、経験などを「未来の成果を生み出す資産」として捉える経営の考え方です。
以前の日本企業では、人材をコストと捉える考え方が主流でしたが、人的資本の考え方のもとでは、人材は「投資すれば成長を生み出す資産」に位置づけられます。
人材をコストと捉える考え方の場合、少しでもコストを削減したいと経営者が考え、研修費用を含むコストは削減されがちです。しかし、人的資本経営の考え方では、研修費用のような人材育成関連の費用はコストではなく価値ある投資と見なされます。
この考え方に基づけば、評価者研修をはじめとした人材育成のための研修も、未来の成果につなげるための必要な投資です。
昨今注目されている人的資本経営の実践のためには、人材育成に注力することの重要性を認識し、人的資本経営において研修制度が果たす役割を理解することが重要になっています。
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・研修も評価制度も生かす──人事が成果を出す人的資本経営
よくある質問
最後に、評価者研修に関してよくある質問と回答を紹介します。
評価者研修はどのくらいの頻度で実施すべきか
評価者研修は、実施形式によって1回あたりの研修にかかる時間や日数が異なります。集合研修形式で1日や2日で全プログラムを終えるタイプもあれば、eラーニングを使って数ヶ月間にわたって継続的に学習を進めるタイプなど、期間や形式はさまざまです。
数時間や数日で完結する形式の評価者研修であれば、比較的すぐに終わるため、年1回を目安に実施して評価者の質の維持・向上を図るとよいでしょう。
一方で、日数がかかる研修の場合は参加者の負担が大きくなります。年1回や半年に1回、評価者全員を対象に実施すると研修参加者の負担が大きい場合は、評価者になったばかりの人だけを対象に登用初年度のみ実施するなど、工夫が必要です。次年度以降は所要時間が短い他の形式で研修を行えば、参加者の負担軽減と知識・スキルの向上を両立できます。
eラーニングだけで評価者研修は完結できますか
eラーニングだけでも研修内容は充実したものになりますが、研修参加者が実践的なスキルを習得するためには、グループワークやロールプレイングなども実施すべきです。
eラーニングであれば集合研修を開催する手間がかからず、研修対象者は業務の合間に自身のパソコンからインターネット経由で研修に参加できるなど、メリットがあります。
しかし、eラーニングでは知識のインプットが中心になり、実践的なスキルの習得には適していません。研修に参加した評価者が実際の評価業務で使えるスキルを身に付けるには、ロールプレイングなどを実施できる集合研修を開催するほうがよいでしょう。
評価者研修の効果はどのように測定すればよいか
研修効果の測定方法として、「カークパトリックモデル」が挙げられます。
カークパトリックモデルとは、「①反応(Reaction)」「②学習(Learning)」「③行動(Behavior)」「④結果(Result)」の4段階に分けて研修の効果を評価する手法です。
受講者の感想や意見などの反応を確認して満足度を調査し、テストの実施やレポート提出によって研修内容を受講者が理解できているか、学習状況や習熟度合いを測定します。
また、評価実務において研修内容を生かせているか、行動変容につながっているかを、ヒアリングやアンケートによって確認します。
さらに、研修が離職率の低下や生産性向上など、組織にどのような結果をもたらしたのかを測定します。
必要に応じて、投資対効果を測る指標としてROI(投資利益率)を算出する方法もあります。
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まとめ
人事評価制度における評価のバラつきを防止し、公平性を確保するうえで重要な役割を果たすのが評価者研修です。研修を通じて評価者が人事評価制度への理解を深め、評価基準や項目を正しく理解することで、公平な評価が可能になります。
公平な評価は従業員の納得感を高め、従業員エンゲージメントや労働生産性の向上、離職率の低下などの効果を期待できます。評価者研修では、評価者の役割や評価基準・評価項目だけでなく、人事評価エラーやフィードバック面談の方法なども扱うことが一般的です。
自社や評価者に合わせて研修スタイルや内容をカスタマイズし、研修後に効果測定を行って改善策を講じることで、自社に適した質の高い人事評価制度を構築しましょう。
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人事評価制度を機能させるには、制度の設計だけでなく、評価に必要な情報を適切に管理し、評価者が迷わず運用できる体制を整えることが重要です。
各従業員の目標設定や評価結果、スキル情報などが分散していると、評価や人材育成に活用しにくくなります。
HRMOSタレントマネジメントでは、従業員の経歴、スキル、資格、評価結果に加え、日々の1on1の記録も時系列で蓄積・一元管理できるシステムです。
目標設定から評価入力までの進捗管理をシステム上で行えるため、評価プロセスを可視化し、評価制度の運用状況を把握しやすくなります。
また、人事評価や組織情報など、過去データも時系列で蓄積できるため、従業員の成長や組織の変化を把握しながら、根拠に基づいた人材育成や人材配置を検討しやすくなります。
評価者研修で得た知識を現場の評価運用に定着させ、納得感のある人事評価制度を運用したい場合は、HRMOSタレントマネジメントの機能をご確認ください。



