タレントマネジメントシステムによる人材育成とは|注目される背景・効果・導入の流れ・企業事例などを解説

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労働力の不足やビジネススピードの加速などを背景に、企業として従業員のパフォーマンスを最大限に発揮させる必要性が高まっています。そこで注目されているのがタレントマネジメントという手法と、その支援ツールであるタレントマネジメントシステムです。この記事は人事や採用担当者のために、タレントマネジメントの概要や注目される背景、タレントマネジメントシステムの機能や効果、導入の流れ、導入事例などを解説します。

タレントマネジメントとは何か

はじめにタレントマネジメントの概要と目的、経営上の位置付けを解説します。

タレントマネジメントの意味・定義

タレントマネジメントとは、従業員のスキル、経験などのデータを一元的に評価・管理し、人事戦略に反映させる手法です。タレントマネジメントは「talent-management」を略してTRと呼ばれる場合もあります。タレントマネジメントの定義は企業によって違っており、学術的にも実務的にもさまざまな解釈があるのが現状です。しかし、一般的にタレントマネジメントは、採用活動や人材開発、キャリア開発、後継者育成計画などの人事労務管理を指します。また、成果に応じて従業員をランク分けするような人事評価も、タレントマネジメントの一環に含まれる施策です。
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タレントマネジメントの目的

タレントマネジメントの目的は、適材適所の人材配置を実現することです。タレントマネジメントによって個々の従業員の能力や個性などを的確に把握できていれば、そのパフォーマンスを最大限に発揮できるポジションを割り当てられるようになります。個々のパフォーマンス向上によって、組織としてのパフォーマンスおよび業績の最大化を目指すことがタレントマネジメントの目的です。
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タレントマネジメントの経営戦略における位置付け

先に述べたようにタレントマネジメントは、経営戦略との連携が強く意識されるのが特徴です。タレントマネジメントと経営戦略の位置付けは、「経営目標―経営戦略―人事戦略―タレントマネジメント」という流れでつながっています。つまり、経営目標の達成のために経営戦略があり、その経営戦略に沿った人事戦略の施策の一つがタレントマネジメントです。タレントマネジメントの具体策としては採用活動、人材育成、人材配置などが挙げられます。
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タレントマネジメントの歴史

タレントマネジメントの概念は、マッキンゼー&カンパニーが1997年に刊行した「ウォー・フォー・タレント(人材育成競争)」によって広がりました。この本では、企業の業績は優秀なマネジメント人材をいかに確保・育成するかによって大きく左右されるという、タレントマネジメントのベースになる考え方が示されています。この本の影響もあり、欧米では1990年代ごろからタレントマネジメントを導入する企業が大手企業を中心に増えたのです。一方、日本でタレントマネジメントが注目されるようになったのは2010年ごろからです。この背景については、後ほど詳しく説明します。

タレントマネジメントシステムとは

タレントマネジメントシステムとは、タレントマネジメントを効率化して、人間の作業負担を減らすITツールです。タレントマネジメントを実行する際は、従業員の年齢・性別・勤続年数・職務経歴などの基本情報だけでなく、その他のたくさんの情報を管理しなければなりません。例えば、能力・資質・取得している資格、本人のキャリア形成の希望、人材育成の研修履歴なども一元管理し、部署を横断して情報を共有するのです。

また、一部の情報はA・B・Cのようにランク付け、スコア化して人材同士を比較検討できるよう管理しなければなりません。このような作業を紙媒体や表計算ソフトなどで行うと非効率で、作業工数も増えてしまいがちです。そこで、タレントマネジメントシステムと呼ばれるITツールを用いて作業を効率化します。
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タレントマネジメントシステムの主な機能

タレントマネジメントシステムの機能は導入するツールによって異なりますが、多くのツールに搭載されている機能は次のとおりです。

従業員の情報データベース

従業員のIDにひも付けて、キャリアや実績などあらゆるデータを記録、管理できます。利用者が情報を識別しやすいように顔写真と一緒に登録できるツールが主流です。これらの情報はタレントマネジメントシステムの検索機能と連携できるため、特定のスキルを持った人材をリストアップするような作業が、短時間で完了します。

育成計画の管理機能

タレントマネジメントは人事戦略・経営戦略に基づいて人材育成を実施していく施策です。そのため、タレントマネジメントシステムには、すべての部署の人材育成の進捗情報や成果を管理する機能も備わっています。また、ツールによっては、タレントマネジメントシステム上で育成計画の作成機能もあるため、どの人材にどのようなスキルをセットするかの計画立案がスムーズになるでしょう。また、部署ごとや事業所ごと、企業全体などでの管理も可能です。例えば、DX推進の一環として全社員を対象にITリテラシー研修を実施した際に、全体の進捗状況を自動的に集計して、「全従業員の90%完了」などと進捗状況を可視化できます。

配属管理機能、組織図の作成機能

各部署に所属する人員の数や、個々の人員の職能ランク、残業時間などを視覚化するツールです。人事担当者が人材配置する際や、経営陣が組織状態を検討する際に役立つでしょう。一部のツールは後継管理として、特定のリーダー候補層を管理できます。これらの機能を使うと人材の欠員や役割の重複などを発見しやすくなるため、採用活動や人材配置をする際に便利です。また、一部のタレントマネジメントシステムは、配属後の組織状態をシミュレーションできたり、組織図を作成したりする機能を備えています。

アンケート機能

従業員やマネジメント層に対してアンケートを実施できます。アンケートの内容は自由に作成できるため、例えば研修実施後のアンケートや従業員エンゲージメントの調査などに幅広く利用できるでしょう。

データ分析機能

資格所持者の割合や全社員の勤続年数など、従業員の各種データを分析できます。データ分析をすれば、特定の従業員にあてはまるパターンをみつけだしたり、将来不足する人員数を予測したりと、有益な結果を得られるでしょう。

タレントマネジメントシステムと人事システムの違い

タレントマネジメントシステムは、適切な人材配置やリーダー候補のピックアップなどのために使われるシステムです。つまり、人事戦略や経営戦略に直結するような機能を備えています。一方、人事システムは主に労務や人事の管理業務のためのもので、具体的には勤怠管理や給与計算、人事評価などの機能などを備えたツールです。したがって、タレントマネジメントシステムと人事管理システムは、扱うデータと目的が異なります。ただし、統合型人事マネジメントシステムと呼ばれる一部のツールは、人事システムとタレントマネジメントツールが一体型になっているシステムです。
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タレントマネジメントが注目される背景

タレントマネジメントを取り入れる日本企業が増えてきています。背景には、どのような事情があるのでしょうか。

少子高齢化による労働力減少

日本では少子高齢化によって労働力が減少しています。それにともない、慢性的な人手不足に悩んでいる企業も少なくありません。また、優秀な人材を巡る競争が激しくなった結果、新規採用のコストは高くなる傾向にあります。そのため、現在所属する従業員のパフォーマンスを最大限有効に活用するため、タレントマネジメントに取り組む企業が出てきました。また、タレントマネジメントによる適材適所の人材配置を実現すれば、従業員は仕事のやりがいや働きやすさを感じる可能性が高まるため、長期定着が期待できます。

従業員の価値観の多様化

従業員の価値観が多様化したことも、タレントマネジメントが注目される理由です。現在の従業員は仕事のやりがいや社会的な貢献意識を満たせるかなど、給与・待遇面以外の価値を重視する人が増えました。また、仕事よりも家庭やプライベートを大切にする従業員も多くなっています。このように従業員が自分の価値観を重んじている状況では、新卒一括採用・終身雇用制の日本企業でよくみられるように、組織の歯車として働いてもらうのは困難です。タレントマネジメントによって、できるだけ従業員の希望に合わせる形で人材配置することが求められています。
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ビジネス環境の変化が早くなった

経済のグローバル化やICTの進化などによって、ビジネススピードが速くなってきています。企業としては、ビジネス環境の変化に応じて事業を柔軟に軌道修正したり、新たな事業に取り組んだりしなければならなくなりました。また、新規部門の設立や新たなプロジェクトチームの構築にあたっては、できるだけ迅速に適任者を割り当てたいものです。この際にタレントマネジメントで蓄積していたデータが役立ちます。適性を持った人材をすばやくリストアップすれば、自社のビジネススピードを上げられるでしょう。

例えば、第4次産業革命にともない、AIやIoT、ビッグデータ、ロボットなどの活用やDX推進が進んでいるのが現代のビジネス環境です。このような流れにともないビジネスモデルや業態が急速に変化しており、従業員に対してリスキリング(職業能力の再開発)を実施する企業が増えています。リスキリングの際に重要になるのは、従業員の経験、長所を活用することです。例えば、事務職の従業員がExcelでプログラムを組んでおり、数的な処理が得意だとします。この場合、タレントマネジメントで情報が把握できていれば「プログラマーへのリスキリングが向くのではないか」などと検討できるでしょう。
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タレントマネジメント・タレントマネジメントシステムを導入するメリット・効果

タレントマネジメントおよびタレントマネジメントシステムを導入するメリットとは何でしょうか。ここでは企業側の視点から、人材配置の精度向上、経営戦略と人事の連携強化、従業員エンゲージメント向上の3つのメリットを解説します。
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人材配置の精度向上

タレントマネジメントシステムを導入すると、従業員の能力や経験などのデータを一元的に集めて可視化できるようになります。タレントマネジメントシステムのデータベースには、キャリアや実績だけでなく、特技やキャリア志向などさまざまなデータが登録されており閲覧可能です。しかも、現在のデータだけでなく過去のデータを含めて蓄積されています。人事担当者としては、判断材料が豊富にあるため、人材配置の精度向上を図れるでしょう。

また、タレントマネジメントシステムは継続的に実施する施策のため、新たに従業員のスキルに関するデータを集めたり、上司に適任者をヒアリングしたりする時間を少なくできます。そのため、新たなプロジェクトを発足した際に、スピーディーな人材配置にもつなげられるでしょう。

経営戦略と人事を連携させやすくなる

タレントマネジメントシステムを導入すると、「ヒト・モノ・カネ・情報」の4大経営資源の一つである「ヒト」をよりよく把握できるようになります。例えば、事業戦略として、イノベーションを起こせるようなIT人材を30人確保・育成しなければならないという目標があったとしましょう。この場合、タレントマネジメントシステムのデータ分析機能を用いれば、戦略実現のための人材が確保できているかを一目で確認可能です。

つまり、タレントマネジメントシステムはさまざまなデータを分析・見える化して、経営陣や人事の責任者が判断を下しやすいように、サポートしてくれます。分析の結果、改善するべき点があれば、それをタレントマネジメントシステムの育成計画に反映することが可能です。このように、タレントマネジメントシステムを導入すれば、経営戦略と人事をより緊密に連携できるでしょう。
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従業員エンゲージメントの向上につながる

タレントマネジメントの結果、適材適所の人材配置ができると、多くの場合、従業員は仕事のやりがいや働きやすさを感じます。従業員は自分の苦手な業務より、強みが生きる業務や性格にあった業務を望むものであるからです。自分にフィットするポジションを与えられた従業員は従業員満足度が上がる傾向があり、その結果、日本語で愛社精神や会社への愛着感などと訳される従業員エンゲージメントの向上につながります。したがって、タレントマネジメントは組織としてのパフォーマンス向上と、従業員エンゲージメントの向上を両立できる施策といえるでしょう。

また、タレントマネジメントシステムを導入した際のメリットとしては、人材配置の公平性の確保が挙げられます。タレントマネジメントシステムは、スキルのランク付けや取得資格に応じたスコアリングなど、人材を見える化する機能が豊富です。システムが一定の基準の元に評価を下すため、評価者の主観的な判断要素が入りにくくなり、公平性の高い人事評価と配置につながります。納得感のある人材配置ができれば、従業員エンゲージメントの向上にもつながるでしょう。
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タレントマネジメント・タレントマネジメントシステムの導入時に注意するポイント

タレントマネジメントやタレントマネジメントシステムの導入によって、ネガティブな影響が出るリスクもあることに注意が必要です。ここではタレントマネジメントシステム導入後に顕在化しやすい2つの課題を解説します。

部署間でタレントマネジメントの情報を共有できない

タレントマネジメントは組織全体でデータ共有できて初めて効果を発揮します。例えば、社内ヘルプデスクがITシステムを構築する際に、新たにIT人材が必要であるとしましょう。この場合、社内ヘルプデスク部門の責任者がタレントマネジメントのデータを閲覧できれば、システム情報部門やIT部門などに適切な人材がみつかる可能性があります。しかし、実際には、タレントマネジメントを使いこなしているのが人事部だけであり、データ共有が十分できていないようなケースが珍しくありません。

結果として、従来どおり、部署ごとに隔離された人材マネジメントになってしまいます。特に年功序列で流動的な人事異動が乏しい企業や、人事部主導で人材配置が決定されてきた企業などでは、タレントマネジメントという新たな考え方が浸透しないリスクを想定しておくべきでしょう。リスクを減らすには、関係部署が必要なデータにいつでもアクセスできる環境を整え、必要に応じて使い方もレクチャーしておくことが大切です。また、各部署で担当者を決めて定期的に情報を更新するように依頼しておく必要もあります。

従業員から協力が得られない

従業員に対して、スキルやキャリア志向などの各種の情報を入力するように求めた際、非協力的な人が出てくることを想定しておきましょう。理由としては、本業が忙しくシステムへの記入やアンケートへの回答が負担になっているケースがあります。また、「人事評価の参考にされ、給与・待遇に影響が出るのではないか」「リストラの対象者を探しているのではないか」などの不信感が生じているような場合もあるでしょう。

従業員と良好な協力関係を築くには、タレントマネジメントやタレントマネジメントシステムのメリットをしっかり伝えることが大切です。先にも説明しましたが、タレントマネジメントは従業員がパフォーマンスを発揮しやすい職場、職務を得るために役立ちます。結果として、報酬アップや昇進につながる可能性も高くなるでしょう。また、人によっては、「定時で帰れる日が多くなる」「テレワークによる在宅勤務で働ける」など、自分の希望の働き方を実現できます。

このようにタレントマネジメントは企業の業績を高めるだけでなく、従業員のためにもなるメリットがあると伝えることが大切です。従業員がメリットを理解したならば、積極的に自分の情報を発信してもらえます。結果として質のよいデータがタレントマネジメントシステムに蓄積されていき、さらに質のよい人事戦略を展開していけるでしょう。
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タレントマネジメント・タレントマネジメントシステムを導入する流れ

ここではタレントマネジメントおよびタレントマネジメントシステムの導入計画から実施、成果測定までの流れを6つのプロセスに分けて解説します。おおまかな全体の流れを知っておくと、導入計画を立てやすくなるでしょう。

1.目的・目標の設定

はじめに決めておかなければならないのは、何のためにタレントマネジメントをするのかという目的です。目的は企業によって異なりますが、全社的な取り組みとなるタレントマネジメントでは、一般的に以下のような中長期的な目標を掲げます。

  • 適材適所の人事配置による業績向上
  • 従業員エンゲージメントの向上による定着率アップ
  • リーダーシップの強化
  • 従業員の希望をくみ取り、多様な働き方を推進する
  • 大規模なリスキリングの準備としてタレントを把握する

目標を設定する際は、経営目標・経営戦略・人事戦略としっかりリンクしているかどうか確認しましょう。逆にいえば、経営目標・経営戦略・人事戦略が定まっていなければ、タレントマネジメントの目標を立てることはできません。タレントマネジメントに関する目標、戦略が明確でない場合は、経営陣の意向を確認し、意見をすり合わせておきましょう。

2.タレントマネジメントシステムの選定・導入

自社に合ったタレントマネジメントシステムを選定します。タレントマネジメントシステムは大きく分けると、以下の2種類に分けられるため、まずはどちらにするか方針を決めておくとよいでしょう。
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・統合型人事マネジメントシステム

タレントマネジメントシステムと人事システムが一体になったタイプです。1つのデータベースで人材関連の情報を一括して扱えるため効率的な運用が可能ですが、導入コストは大きくなります。

・タレントマネジメントシステム

タレントマネジメントシステムのみの機能を備えたツールです。既存の人事システムとはAPIと呼ばれるインターフェースを介して連携できますが、システムによっては連携できない可能性があります。

タレントマネジメントシステムに搭載されている機能は製品・サービスによって異なり、得意な業務領域や料金、セキュリティーレベル、サポートの有無なども違います。自社の目的を達成できるか、運用の負担は少ないか、費用対効果を見込めるかなどを総合的に検討しましょう。

3.従業員のタレントの把握

タレントマネジメントシステムを導入したら、既存データを移行し、新たなデータを収集して従業員のタレントを把握します。このプロセスでは、各部署の責任者や従業員にデータを提出してもらう作業が必要です。積極的に協力してもらうために、「どのような目的でタレントマネジメントを実施しているか」「データをどのように活用するか」などを周知しておきましょう。また、従業員データは常に最新情報に保たなければならないため、まとめ役となる人事担当者と各部署の担当者を決めて、体制を整えます。

4.人材配置・育成・採用の計画

タレントの把握が終わったら、人材配置・育成の計画に移ります。タレントマネジメントは既存社員のパフォーマンスを最大限発揮させるのが基本です。既存の従業員の配置転換や育成によってパフォーマンスを上げる方法をまず検討します。一部のタレントマネジメントシステムは、配属後の組織状態をシミュレーションできたり、組織図を作成したりする機能を備えているので、計画作成に役立てるとよいでしょう。また、人材育成の目標管理機能を利用すると、人材育成とタレントマネジメントを緊密に連動させられます。

現段階で人材が不足している場合は、人材採用の計画を立てます。人事戦略上で必要な人材と現状とのギャップを把握して、求める人物像や採用人数などを検討しましょう。
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5.計画の実行

計画を立て終わったら、人材配置や採用、育成などの計画を実施していきます。このうち人材配置の実行後に関しては、各部署の現場対応に任せる部分が多くなります。したがって、各部署の関係者と連絡を密にとりましょう。具体的には、計画段階で期待したようなパフォーマンスを発揮できているか、従業員のモチベーションは維持できているかなどをヒアリングする必要があります。ヒアリングの際には、お互いの負担を減らせるように、タレントマネジメントシステムのアンケートや評価機能を適時活用すると便利です。

また、人材育成をOJTで行うような場合は、そのまま放置するとタレントマネジメントシステムに最新のデータが反映されなくなるため、成果や意見の記入を依頼する必要があります。

6.成果測定・改善

人材配置や採用、育成など施策を実施したら、その後の成果を測定します。そして、問題があれば改善点を抽出して、追加施策の実施や目標修正などを行います。このようにタレントマネジメントは計画を立てて実行すれば終わりというわけでなく、評価と改善をセットで実施するのが基本です。タレントマネジメント自体がブラッシュアップされていけば、より高い水準で目的を達成できるようになるでしょう。

タレントマネジメントシステムを導入した企業の成功事例

滋慶学園グループは、医療・福祉・スポーツなど幅広い専門教育を全国展開しています。滋慶学園グループでは、チームとしての評価だけではなく、従業員一人ひとりを正しく評価できる体制の構築が課題でした。しかし、現状のシステムでは評価項目が600以上あるうえ経年で管理することから、Excelによる運用では情報管理が煩雑で、生きたデータとして活用できていなかったといいます。

そこで導入したのが「HRMOSタレントマネジメント」です。HRMOSタレントマネジメントの導入によって、個人の目標・評価が効率的に蓄積でき、なおかつ履歴を適切に管理できるようになりました。例えば、各専門学校で活躍できそうな人材・今は埋もれている人材を抽出して経営陣で話し合うミーティングを、定期的に実施できるようになっています。従業員データベースでは、「この階級のこのスキルを持った人物」といったように抽出条件をカスタマイズできるため、準備に費やす時間が削減できるようになりました。

また、特定の従業員層の傾向を分析するのも容易になったといいます。この結果、タイムリーで的確な現状分析や未来の活躍人材の発掘などができるようになり、適材適所の人材活用が進んでいるということです。

参考:HRMOS「目標評価ツールを刷新し、未来の活躍人材を発掘する環境を構築。適材適所の実現へ」
https://hrmos.co/info/customers/jikeigroup/

まとめ

タレントマネジメントシステムの活用で従業員と組織のパフォーマンスを高めよう

タレントマネジメントは適材適所の人材配置を実現し、組織としてのパフォーマンスを高めるために効果的な手法です。タレントマネジメントでは細かなデータを収集・分析する必要があるため、多くの場合、タレントマネジメントシステムの導入が欠かせません。自社に合ったツールを導入して、人事戦略を高いレベルに引き上げていきましょう。