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育児のために時短勤務制度を利用していても残業を命じられてしまい、仕事と子育ての両立に悩んでいる方に向けて、正しい知識と対処法を解説します。この記事では、時短勤務中の残業に関する法律の定めや、残業代の計算方法、そして残業を免除してもらうための具体的な制度について説明しています。最後までお読みいただければ、会社に対して適切に法定制度の利用を申し出ることができるようになり、仕事と育児の両立のために無理のない働き方を実現するヒントが得られます。結論として、育児に伴う時短勤務中の従業員に対して会社が残業を命じること自体は違法ではありません。しかし、育児・介護休業法の制度を活用すれば、残業の制限や免除を請求することが可能です。
時短勤務でも残業は発生する?基本的な法律のルール
| 働き方の種類 | 1日の所定労働時間(目安) | 残業の有無に関する原則 |
| フルタイム勤務 | 8時間 | 業務の状況に応じて発生する |
| 短時間勤務(時短勤務) | 原則6時間 | 免除の請求がない限り発生する可能性がある |
時短勤務を利用しているにもかかわらず残業を命じられる背景には、法律上のルールが関係しています。会社から残業をお願いされた場合、それが法的にどのような扱いになるのかを正しく知っておくことが重要です。ここでは、制度の基本的な仕組みと、残業を指示することの適法性について説明します。
時短勤務(短時間勤務制度)とは
時短勤務とは、育児や介護と仕事を両立しやすくするために設けられた公的な制度のことです。
育児介護休業法によって定められており、一定の条件を満たす労働者が希望した場合、企業は所定労働時間を短縮する措置を講じる義務を負っています。
具体的には、3歳に満たない子どもを養育している方が対象となり、1日の労働時間を原則として6時間に短縮することができます。この制度を利用することで、従業員は保育園の送迎時間などを確保しやすくなるでしょう。
短時間勤務制度の対象は3歳未満の子を養育する従業員ですが、2025年4月の法改正により、3歳から小学校就学前の子を養育する従業員に対して、企業がテレワークやフレックスタイム、短時間勤務などの柔軟な働き方の選択肢を整える措置が義務化されました。
また、これとは別に、企業が法律の基準を超えて独自に時短勤務を継続できる仕組みを設けている場合もあります。
自分の会社がどのような両立支援制度を設けているか、就業規則をあらかじめ確認しておくことが大切です。
原則として時短勤務中の残業は違法ではない
時短勤務中の従業員であっても、法律上、無条件に残業が免除されるわけではありません。
雇用契約書や就業規則において残業を命じる旨の記載があり、36協定(時間外労働・休日労働に関する協定)が結ばれている場合は、会社側が残業を指示すること自体は適法と判断されます。
そのため、繁忙期や突発的なトラブルの発生時には、短時間勤務であっても時間外労働をお願いされる可能性があります。
どうしても残業が難しい状況にある場合は、「所定外労働の制限(残業免除)」を自ら会社に請求する必要があります。
この制度の対象範囲や申請方法については後述します。
まずは、時短勤務中でも自動的に残業がゼロになるわけではないという点を、しっかりと把握しておきましょう。
【関連記事】育児中の従業員のシフト、時短勤務や残業免除のルールを確認-労務ジャーナル
時短勤務中の残業代はどうなる?計算方法と注意点
| 残業の種類 | 労働時間の条件 | 賃金の支払いルール |
| 法定内残業 | 所定労働時間(例:6時間)を超え、法定労働時間(1日8時間、週40時間)以内 | 法律上は割増不要で、通常の1時間あたりの賃金が支払われる(就業規則で割増を定めている場合を除く) |
| 法定外残業 | 法定労働時間(1日8時間、週40時間)超 | 通常賃金の1.25倍以上の割増賃金が支払われる |
実際に残業が発生した場合、気になるのは給与の計算方法ではないでしょうか。労働時間が短縮されているため、通常のフルタイム勤務とは残業代の計算基準が少し異なります。どのようなケースで割増賃金が発生するのかを理解し、正しい報酬を受け取れるようにしておきましょう。
所定労働時間を超えた分の割増賃金について
時短勤務で1日の所定労働時間が6時間に設定されている場合、6時間を超えて働いた分が残業扱いになります。
ただし、労働基準法が定める「1日8時間」という法定労働時間を超えない範囲であれば、原則として割増賃金は発生しません。
つまり、6時間を超えてから8時間に達するまでの2時間は「法定内残業」と呼ばれ、通常の1時間あたりの賃金がそのまま支払われます。
もし、1日の労働時間が8時間を超えてしまった場合は、その超えた部分が「法定外残業」に該当する仕組みです。
この法定外残業に対しては、通常の賃金に対して25%以上の割増賃金が支払われる決まりとなっています。
ご自身の給与明細を確認する際は、法定内残業と法定外残業が正しく区別されているかをチェックしてみてください。
監修者コメント
会社によっては、所定労働時間超の部分から割増賃金支払の対象とするケースもあります。
また、法定を上回る割増賃金が設定されていることもありますので、就業規則や賃金規程を確認しましょう。
みなし残業(固定残業代)が導入されている場合
会社によっては、あらかじめ一定の時間外労働時間分の残業代を給与に含めて支給する「みなし残業(固定残業代)」制度を採用していることがあります。
フルタイムから時短勤務に切り替わる際、基本給が労働時間に応じて減額されるのが一般的です。
これに伴って、固定残業時間の設定の有無や時間数、固定残業代の額が見直されるケースが多く見られます。
固定残業代が設定されている場合でも、実際の残業時間がその設定時間を上回ったときには、会社は超過分の残業代を追加で支払わなければありません。
時短勤務になったからといって、超過分の支払いが免除されるわけではありません。
時短勤務の開始時に雇用契約を変更するタイミングで、固定残業代の取り扱いがどのようになるのかを人事担当者に詳しく確認することをおすすめします。
【関連記事】固定残業代の計算ルールを再確認!深夜・休日割増を含めても問題ない?-労務ジャーナル
時短勤務中の残業を断りたいときに使える3つの制度
| 制度の名称 | 対象となる条件 | 制度の主な内容 |
| 所定外労働の制限 | 小学校就学前の子を養育していること(2025年4月の法改正で3歳未満から拡大) | 契約上の所定労働時間を超える残業を免除する |
| 時間外労働の制限 | 小学校就学前の子を養育していること | 残業時間を月24時間・年150時間以内に制限する |
| 深夜業の制限 | 小学校就学前の子を養育していること | 午後10時から午前5時までの深夜労働を免除する |
仕事が終わらなくても、お迎えの時間や家庭の事情でどうしても帰らなければならない日があるはずです。そのような場合に備えて請求できる、育児・介護休業法上の3つの制限制度が存在します。ご自身の状況に合わせてこれらの制度を申請し、ご自身の仕事と育児の両立手段として役立ててください。
【関連記事】妊娠中のアルバイト社員の時短勤務希望は認めなくてはならない?-労務ジャーナル
所定外労働の制限(残業の免除)
小学校就学前の子どもを育てている場合、会社に申請することで残業を完全に免除してもらうことができます(2025年4月の法改正により、対象が3歳未満から小学校就学前まで拡大されました)。
これは育児・介護休業法第16条の8に基づく制度であり、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、従業員からの請求に対し、会社はこれを拒否することができません。厚生労働省の資料には、次のように明確に記されています。
「事業主は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者であって当該事業主に継続して雇用された期間が一年に満たない労働者…(中略)…以外のものが当該子を養育するために請求した場合においては、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、所定労働時間を超えて労働させてはならない。」この制度を利用すれば、たとえ1分でも所定労働時間を超える残業を断ることが法的に認められる権利です。
毎日の終業時間を確実に守りたい方に適した制度と言えます。
参考:e-Gov法令検索「育児・介護休業法第16条の8に基づく制度」
参考:e-Gov法令検索「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」
時間外労働の制限
「所定外労働の制限」が残業を完全に免除する制度であるのに対し、一定範囲の残業は許容しつつ上限を設けたい場合に利用できるのが時間外労働の制限です。
所定外労働の制限同様、小学校就学前の子どもを養育する従業員が対象で、請求があった場合、会社は1ヶ月あたり24時間、1年あたり150時間の上限を超えて残業を命じることができなくなります。
完全に残業をゼロにするのは難しいけれど、過度な長時間労働は避けたいという場合に有効な選択肢です。
深夜業の制限
夕方以降の残業だけでなく、深夜の勤務を制限するための制度も用意されています。
小学校就学前の子どもを養育している場合、午後10時から午前5時までの深夜時間帯における労働を免除するよう請求することが可能です。
シフト制の職場や、夜間の対応が発生しやすい業種で働いている方にとって重要な権利となります。
子どもの寝かしつけや夜間のケアを優先したい方は、会社に対して深夜業の制限を請求しましょう。
監修者コメント
育児・介護休業法上の「所定外労働の制限」「時間外労働の制限」「深夜業の制限」を利用するには、あらかじめ会社に対して請求を行う必要があります。
制度の利用期間を定めて、制度利用開始予定日の1ヶ月前までに会社が指定する方法で事業主に請求しましょう。
なお、「継続雇用1年未満の労働者」等、労使協定で適用除外が設定されていることがありますので、あらかじめ会社に確認しておきましょう。
時短勤務で残業になってしまう原因と具体的な対処法
| 残業が発生する原因 | 具体的な対処法 |
| 業務量が多すぎる | タスクの棚卸しを行い、上司に業務の再配分を相談する |
| 周囲の理解不足 | 自分の勤務時間と対応可能な範囲を日頃から共有する |
法律上の制度があるにもかかわらず、現場ではなかなかスムーズに退勤できないという声も少なくありません。
残業が発生してしまう根本的な原因を探り、それを解決するための具体的なアクションを起こすことが大切です。ここでは、よくある原因とその対処法について詳しく解説します。
業務量が勤務時間に見合っていない場合の相談方法
時短勤務に移行したにもかかわらず、フルタイム時代と同じ業務量を持たされているケースは比較的多く見受けられます。
働く時間が減っているのに仕事量が変わらなければ、終業時間内に業務を終わらせることが難しくなります。
このような場合は、まず自分が抱えているすべてのタスクをエクセルなどでリスト化し、「重要度」と「緊急度」で分類して可視化することが重要です。
そのリストを持参したうえで、上司に対して現状の業務量が勤務時間に収まらない事実を客観的に伝えてください。
どの業務を他のメンバーに引き継ぐべきか、あるいはどの業務の優先順位を下げるべきかを具体的に相談しましょう。
一人で抱え込まず、組織全体の課題として業務配分を見直してもらう姿勢が求められます。
周囲の理解が得られない場合のコミュニケーション
職場のメンバーが時短勤務の仕組みや、あなたの終業時間を正確に把握していないことも残業を引き起こす原因となります。
退勤時間ギリギリになってから急な仕事を頼まれてしまい、断りきれずに残業してしまうという事態を防ぐ工夫が必要です。
日頃から「今日は〇時に退勤します」と周囲に声をかけたり、社内のカレンダーやチャットツールのステータスに勤務時間を明記したりして、ご自身の勤務予定を積極的に共有しましょう。
また、引き継ぎが必要な仕事は早めの時間帯に行えるように調整して退勤時間にかからないようにする、周囲への感謝の気持ちを伝える等の工夫も、円滑な人間関係を築く上で効果的です。
時短勤務中だからと一方的にご自身の都合を周囲に押し付けるのではなく、お互いに協力し合える環境を作るためのコミュニケーションを図ることを心がけてみてください。
まとめ
この記事の要点をまとめます。
- 時短勤務中の残業命令は違法ではないが、これに対し従業員は法定の制度を活用して残業免除や制限を請求できる
- 法定内残業(1日8時間以内、週40時間以内)には原則として割増賃金が発生しない
- ご自身の都合を周囲に押し付けるのではなく、業務の見直しや周囲とのコミュニケーションによって、時短勤務や残業免除・制限に対する理解を得られるような工夫が大事である
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