法定休日と法定外休日の違いとは?割増賃金のルールと実務のポイント

労働基準法 残業
法定休日と法定外休日の違いとは?割増賃金のルールと実務のポイント

目次

  1. 法定休日と法定外休日の違いとは
  2. 法定休日と法定外休日で異なる割増賃金のルール
  3. 振替休日と代休の扱いの違い
  4. 休日出勤のトラブルを防ぐ!実務における3つのポイント
  5. 法定休日・法定外休日に関するよくある質問
  6. まとめ

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休日出勤の手当を計算する際、法定休日と法定外休日のどちらに該当するのか迷っている人事労務の担当者は多いのではないでしょうか。この記事では、労働基準法に基づく休日の正しい定義から、割増賃金の計算ルールについて詳しく解説します。最後までお読みいただくことで、複雑な休日労働の取り扱いを正確に理解でき、給与計算のミスや労使トラブルを未然に防ぐことができるようになります。

法定休日と法定外休日の違いとは

法定休日と法定外休日は、法律上の定義や割増賃金の取り扱いにおいて明確な違いが存在します。人事労務担当者として適切な給与計算を行うためには、この二つの休日の違いを正確に把握しておくことが重要です。ここでは、それぞれの基本的な定義と位置づけについて解説します。以下の表にそれぞれの違いをまとめていますので、参考にしてください。

休日の種類 法的な位置づけ 根拠となる法律や規則
法定休日 企業が労働者に必ず与えなければならない最低限の休日 労働基準法第35条
法定外休日 企業が法定休日とは別に独自で設定する休日 会社の就業規則など

労働基準法における法定休日の定義

法定休日とは、労働基準法で企業に付与が義務付けられている最低限の休日のことです。労働基準法第35条において、使用者は労働者に対して毎週少なくとも1回の休日を与えることと定められています。あるいは、4週間を通じて4日以上の休日を与える変形休日制という形式をとることも可能です。

法律によって保障された「毎週少なくとも1回」、または「4週間を通じて4日以上」の休日を法定休日と呼び、従業員の心身の疲労を回復させるための重要な権利として扱われます。法定休日に労働させる場合は、事前に労働基準監督署へ「時間外・休日労働に関する協定届(いわゆる36協定届)」を届け出る必要がある点に注意しましょう。

参考:労働基準法 | e-Gov 法令検索
参考:厚生労働省「36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針(PDF)」

会社が独自に定める法定外休日とは

法定外休日とは、労働基準法で定められた法定休日とは別に、企業が任意で設定する休日のことを指します。所定休日と呼ばれることもあり、週休2日制を採用している企業の多くは、週のうち1日を法定休日とし、もう1日を法定外休日として扱っています。たとえば土日休みの会社の場合、日曜日を法定休日と定めたのであれば、土曜日は法定外休日となります。

法定外休日は法律で義務付けられたものではないため、この日に出勤しても法定休日の割増賃金率は適用されません。このように、同じ休日であっても法的な位置づけが異なるということを理解しておきましょう。

法定休日と法定外休日で異なる割増賃金のルール

従業員が休日に出勤した場合、その日が法定休日なのか法定外休日なのかによって、割増賃金の計算率が大きく変わります。この区別を曖昧にしたまま一律で割増賃金を計算してしまうと、賃金の未払いや過払いを引き起こす原因となります。ここでは、法定休日と法定外休日それぞれに労働した際の割増賃金について詳しく説明します。以下の表で、割増率の違いを確認してください。

出勤した休日の種類 労働の扱い 割増賃金率の目安
法定休日 休日労働 35パーセント以上
法定外休日 時間外労働(法定労働時間を超えた場合) 25パーセント以上(週40時間の法定労働時間を超えた部分のみ)

法定休日に出勤した場合の割増賃金

法定休日に従業員を働かせた場合は、労働基準法に基づく休日労働となり、通常の賃金に対して35パーセント以上の割増賃金を支払う必要があります。たとえば、時給換算で1000円の従業員が法定休日に出勤したとすると、1時間あたり1350円以上の賃金が発生する計算になります。

また、法定休日の労働時間は時間外労働の計算枠には含まれないため、週40時間の法定労働時間とは切り離して考えるのが基本です。厚生労働省の規定でも、法定休日の労働は35パーセント増しと定められているため、正しく計算できるよう設定を見直しておくことが求められます。

参考:残業、早出や休日出勤による割増賃金のチェック方法を教えてください。|Q&A|確かめよう労働条件|厚生労働省
参考:時間外・休日労働と割増賃金|しっかり学ぼう!働くときの基礎知識|確かめよう労働条件|厚生労働省

法定外休日に出勤した場合の割増賃金

法定外休日に出勤した場合、その労働は休日労働ではなく通常の労働時間として加算されます。そのため、法定外休日に労働することにより、その週の総労働時間が週40時間の法定労働時間を超えた部分についてのみ、時間外労働として25パーセント以上の割増賃金が適用される仕組みです。

もし週の労働時間が40時間に満たない状態での法定外休日出勤であれば、割増のない通常の賃金を支払うことになります。このように、法定外休日の労働に対する割増賃金は、週の累計労働時間によって変動するという点に気をつけましょう。

参考:時間外・休日労働と割増賃金|しっかり学ぼう!働くときの基礎知識|確かめよう労働条件|厚生労働省

振替休日と代休の扱いの違い

休日に出勤する際の対応として、振替休日や代休という制度を耳にすることがあるのではないでしょうか。この二つの制度は似ているように思われがちですが、法律上の扱いや割増賃金の発生条件が異なります。それぞれの特徴を正しく理解し、適切な手続きを行うことが人事労務管理において大切です。
以下の表で、振替休日と代休の主な違いを整理しました。

制度の名称 休みの変更タイミング 割増賃金の取り扱い(法定休日出勤時)
振替休日 事前(休日出勤前)に別の労働日を休日に指定する 休日労働の割増(35パーセント)は不要
代休 事後(休日出勤後)に別の労働日を休みにする 休日労働の割増(35パーセント)が必要

事前に休日を変更する振替休日

振替休日とは、休日出勤を行う以前の段階で、予定されていた休日を労働日とし、その代わりに別の労働日を休日へと変更しておく制度のことです。事前に休日を振り替えているため、もともと休日だった日に出勤しても通常の労働日として扱われます。したがって、振替休日は休日労働にはならず、35パーセントの割増賃金は発生しません。

ただし、振替によって特定の週の労働時間が40時間の法定労働時間を超えてしまった場合は、超えた時間分に対して25パーセントの時間外割増が必要になります。

【関連記事】休日出勤した場合の振替休日を半日ずつ取得させることはできるのか? - 労務ジャーナル

事後に休みを与える代休

代休とは、休日に従業員を働かせた後で、その代償として別の労働日を休みにするという事後対応の方法です。休日労働が行われたという事実は消えないため、法定休日に出勤させて後から代休を与えたとしても、休日労働に対する35パーセントの割増賃金は支払わなければなりません。代休を取得した日の賃金からは通常勤務分の給与を控除できますが、割増部分の支払いは義務として残ります。

給与計算が複雑になりやすいこと、さらに確実な休日確保の観点からも、可能であれば振替休日を活用することをおすすめします。

監修者コメント
代休の給与計算は原則として「割増賃金のみの支払い」となりますが、例外もあります。具体的には、休日労働日と休日(代休)が別の給与計算期間になる場合、休日労働日に対して「割増賃金のみを支払えばよい」という取り扱いはできませんので注意しましょう。この場合、休日出勤した月に「基本給の1日分+割増賃金」を支払い、翌月以降に代休を取得した際、「基本給の1日分を控除(ノーワーク・ノーペイ)」して精算します。
なお、休日労働をした月と代休を取得する月とで期間が空いてしまうと、実務上管理が煩雑になる上、代休本来の趣旨に反する取り扱いとなります。就業規則で、「休日出勤から1ヶ月以内」などの代休取得期限を設定しておかれることをお勧めします。

参考:振替休日と代休の違いは何か。|厚生労働省
【関連記事】間違った運用で労基法違反に!混同されがちな「振替休日」と「代休」を正しく知る - 労務ジャーナル

休日出勤のトラブルを防ぐ!実務における3つのポイント

ここまで解説したルールを踏まえ、企業が休日出勤に関連するトラブルを防ぐための具体的な対策をお伝えします。法律の解釈を誤って運用していると、労働基準監督署からの指導を受けたり、従業員との間で未払い賃金の請求問題に発展したりするリスクがあります。安全な労務管理を実現するために、実務で押さえておくべきポイントを確認していきましょう。以下に、企業が取り組むべき3つの実務対策を表で示します。

対策のポイント 具体的なアクション 期待できる効果
就業規則の整備 曜日を指定して法定休日を明確に規定する 割増賃金の計算ミスを防ぐ
労使協定の締結 36協定を締結し労働基準監督署へ届け出る 休日出勤を適法に命じることができる
勤怠管理の徹底 勤怠管理システムを導入し休日区分を設定する 複雑な集計作業を自動化し負担を減らす

就業規則で法定休日の曜日を特定する

トラブルを防ぐための第一歩は、就業規則や労働条件通知書において法定休日がいつであるかを明確に定めておくことです。たとえば、週休2日のうち日曜日を法定休日とし土曜日を法定外休日とするように曜日を特定しておくと、給与計算の際に迷うことがなくなります。

労働基準法上、法定休日の特定は義務ではありませんが、特定していないと週の最後に位置する休日が自動的に法定休日として扱われてしまいます。管理が煩雑になることを避けるためにも、自社のルールとして事前に曜日を決めておくことが望ましいと言えるでしょう。

監修者コメント
現状では法定休日の事前特定は法律上の義務ではありませんが(2026年7月時点)、予定されている労働基準法改正では、就業規則等であらかじめ「法定休日は何曜日」と特定することが義務付けられる見通しです。
また、「休日」は就業規則の絶対的必要記載事項であるため、振替休日や代休を導入する場合、就業規則に運用ルールを明記しましょう。

36協定の締結と労働基準監督署への届出を忘れない

企業が従業員に対して法定休日に労働を命じるためには、労使間で時間外や休日労働に関する協定である36協定を締結し、管轄の労働基準監督署に届け出る必要があります。この手続きを経ずに法定休日に出勤させた場合は労働基準法違反となり、罰則の対象となるおそれがあります。

36協定には、休日労働を行わせる具体的な理由や、休日労働させる日数などをあらかじめ定めておかなければなりません。36協定の有効期限は、厚生労働省の行政指導により「最長でも1年間」とされているため、実務上毎年の更新が必要です。確実な届け出のためには、更新に向けたスケジュール管理が欠かせません。

参考:厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説(PDF)」
参考:厚生労働省「36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針(PDF)」

【関連記事】36協定の落とし穴「土曜出勤」に注意!あなたの会社は大丈夫? - 労務ジャーナル

勤怠管理システムで正確に把握する

法定休日と法定外休日の複雑な割増賃金計算を手作業で行うのは、担当者にとって大きな負担となり、ヒューマンエラーのリスクも高まります。

そこで、休日区分を自動で判別し、正しい割増率で計算してくれる勤怠管理システムの導入が有効です。システムを利用すれば、出勤した日がどちらの休日に該当するのかを自動で判定し、振替休日や代休の取得状況も一元管理できます。給与計算ソフトとの連携も容易になるため、バックオフィス業務全体の効率化を図ることが可能になります。

【関連記事】「勤怠管理」とは?|勤怠管理の基本や勤怠管理の方法を徹底解説 - 労務ジャーナル

法定休日・法定外休日に関するよくある質問

労務管理の現場では、基本ルールを理解していてもイレギュラーなケースに直面することが少なくありません。ここでは、人事労務の担当者からよく寄せられる法定休日と法定外休日に関する疑問について回答します。自社の状況と照らし合わせて、正しい運用ができているかの確認材料としてお役立てください。よくある質問とその回答の要約を以下の表にまとめました。

よくある質問 回答の要約
特定していない場合はどうなるか 週の最後(暦週の末日)の休日が法定休日として扱われる
パートにも適用されるのか 雇用形態に関係なく法定休日のルールは適用される

法定休日を特定していない場合はどうなる?

就業規則などで法定休日を特定していない場合、労働基準法の解釈により、その週の最後に位置する休日が法定休日として扱われます。一般的なカレンダー通りに日曜日を週の始まりとする企業であれば、土曜日が暦週の末日となるため、土曜日の労働が法定休日労働に該当するというわけです。

ただし、この運用では出勤状況によって法定休日が毎週変動する可能性があり、給与計算が非常に複雑になってしまいます。こうした未特定の運用はトラブルを招きやすいため、早急に就業規則を改定することをおすすめします。

参考:厚生労働省「改正労働基準法に係る質疑応答(PDF)」

パートやアルバイトにも法定休日はある?

法定休日のルールは、正社員だけでなくパートやアルバイトといったすべての労働者に対して適用されます。労働基準法第35条の規定は労働者の雇用形態を問わないため、週に数日しか勤務しない短時間労働者であっても、決められた休日を確保する義務があります。

たとえば、週3日勤務のアルバイト従業員であっても、休日のうち1日は法定休日として扱われます。パート従業員が休日にシフトへ入る際も、法定休日にあたる場合は35パーセントの割増賃金が必要になるため、シフト管理には十分注意してください。

参考:厚生労働省 東京労働局「労働基準法 パート・アルバイト編(PDF)」

まとめ

この記事の要点をまとめます。

  • 法定休日は法律で義務付けられた休日であり出勤時は35パーセント以上の割増賃金が必要である
  • 法定外休日は企業が独自に定める休日であり時間外労働に該当する場合のみ25パーセント以上の割増賃金が必要である
  • 休日出勤後の代休は割増賃金の支払い義務が残ること、さらには確実な休日確保の観点から、事前変更の振替休日を活用することが推奨される
  • 労使トラブルを防ぐために就業規則で法定休日の曜日を明確に特定しておくことが重要である
  • 法定休日の労働を命じる際は事前の36協定の締結と労働基準監督署への届出が求められる

適切な休日管理と正しい割増賃金計算を実践することで、コンプライアンスの徹底、会社と従業員の良好な信頼関係構築に努めましょう。

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HM人事労務コンサルティング 代表 社会保険労務士 丸山博美

監修者

HM人事労務コンサルティング 代表 社会保険労務士 丸山博美

起業したての小さな会社支援を得意とする社労士事務所、HM人事労務コンサルティング代表・丸山と申します。 創業当初の事業主様に不足しがちな「経験」「人脈」「知識」を、 社会保険労務士という立場からサポートいたします。
労務関連の手続きやご相談、就業規則作成、助成金申請・・・等々、どんなことでもお気軽にご相談ください!東京はもちろん、日本全国からのご依頼に対応させていただきます。

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