有給休暇は2年で消滅する?起算日や残日数の計算方法をわかりやすく解説

労働基準法
有給休暇は2年で消滅する?起算日や残日数の計算方法をわかりやすく解説

目次

  1. 有給休暇は付与されてから「2年」で消滅する
  2. 消滅する有給休暇の起算日と日数の計算方法
  3. 繰り越しによる有給休暇の最大保有日数は「40日」
  4. 消滅前の有給休暇を会社に買い取ってもらうことは可能か?
  5. 消滅を防ぐための「年5日の有給休暇取得義務」への対応
  6. まとめ

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自分の有給休暇がいつ消滅するのか、有給休暇の消滅時効の計算方法が分からず悩んでいる方に向けて、この記事では有給休暇の取得期限と残日数の計算ルールを解説します。
読み終わると、ご自身の有給休暇がいつまでに何日消滅するのかを正確に把握し、損をせずに計画的な取得ができるようになります。結論からお伝えしますと、有給休暇は労働基準法により「付与された日から2年」で消滅します。

有給休暇は付与されてから「2年」で消滅する

有給休暇には法律で定められた有効期限があり、いつまでも保有しておけるわけではありません。適切に管理しないと、気づかないうちに消滅してしまう可能性があります。ここでは、有給休暇の消滅時効や、会社の独自ルールが適用されるのかについて解説します。

項目 内容
関連する法律 労働基準法第115条
有給休暇の消滅時効 付与された日から2年間
消滅した有給の取り扱い 権利が消滅し、取得不可となる
会社の独自ルールの適用 法定を下回る、労働者に不利なルールは無効

労働基準法で定められた「2年の消滅時効」とは

有給休暇が消滅するまでの期間は、労働基準法第115条によって「2年」と定められています。有給休暇は従業員の心身の疲労を回復させるための制度なので、取得せずに長期間にわたって保有することを前提としていません。
厚生労働省の公式資料にも「年次有給休暇は、発生の日から2年間で時効により消滅します」と明記されています。つまり、付与された日から2年が経過した時点で、その有給休暇を利用する権利は自動的に失われるのです。権利が失われるまでの期間を消滅時効と呼びます。
なお、2020年の法改正で賃金請求権などの時効は延長されましたが、年次有給休暇の消滅時効は2年のまま据え置かれています。定期的に自分の有休残日数と付与日を確認し、消滅時効以前に消化する計画を立てることが重要です。
放置していると、気づかないうちに大切な権利を失うことになります。

参考:e-Gov法令検索「労働基準法(115条)」

参考:厚生労働省「年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています」(リーフレット内「年次有給休暇に関するQ&A」A1)

「1年で消滅する」という会社の独自ルールは違法

企業によっては、「年度末に未消化の有給休暇はすべてリセットされる」「1年で消滅する」といった就業規則を設けていることがあります。しかし、労働基準法で定められた2年の消滅時効を短縮するような会社のルールは違法とみなされます。
労働基準法は労働条件の最低基準を定めた法律であり、この基準を下回って労働者に不利になる独自の規定は無効となります。そのため、会社側が「1年で消滅する」と主張しても、法律上は2年間有効に保有することが可能です。
万が一、勤務先でそのような案内を受けた場合は、人事部や労働基準監督署に相談して正しい権利を主張することが推奨されます。正しい知識を持つことで、自分の権利を守ることができます。

消滅した有給休暇を復活させることはできない

2年の時効を迎えて一度消滅してしまった有給休暇の権利を、後から復活させることは原則としてできません。「多忙で有休を取得できなかった」等の特別な理由があったとしても、法律で定められた期間が経過すれば権利は失われます。
だからこそ、消滅する前に計画的に休みを取ることが求められます。直前になって慌てて休もうとしても、業務の都合で休めない可能性が考えられます。早めの段階から上司や同僚と相談し、業務に支障が生じないタイミングで有給休暇を取得していく工夫が重要といえるでしょう。
職場全体で休暇を取得しやすい環境を作りながら、従業員各人が無理のない範囲で休暇取得の計画を立てられるのが理想です。

消滅する有給休暇の起算日と日数の計算方法

有給休暇が消滅するタイミングを正確に知るためには、「起算日」と「基準日」、そして付与日数を理解しておく必要があります。有休が付与されるタイミングは入社日によって異なるため、自分自身のスケジュールに当てはめて計算することが大切です。ここでは、起算日と基準日の考え方と具体的な計算例を解説します。

入社時期(起算日) 初回の有給付与日(基準日) 有給休暇が消滅する日(消滅時効成立日) 備考
2024年4月1日入社 2024年10月1日(10日付与) 2026年9月30日の翌日 入社から半年後に初回付与
2024年10月1日入社 2025年4月1日(10日付与) 2027年3月31日の翌日 翌年度の同じ時期に消滅
2025年4月1日入社 2025年10月1日(10日付与) 2027年9月30日の経過後  

基準日は「有給休暇が付与された日」

有給休暇の消滅時効を計算するための基準日は、「有給休暇が付与された日」となります。労働基準法では、入社日から6ヶ月間継続勤務し、その間の全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、初回の有給休暇が付与されます。
この初回付与日を基準として、その後は1年ごとに新たな有給休暇が追加されていきます。たとえば、4月1日に入社した場合は、半年後の10月1日が基準日です。この10月1日からぴったり2年後が消滅のタイミングとなります。
基準日を正しく把握しておくことが、有給休暇を無駄にしないための第一歩となります。自身の入社日をカレンダーと照らし合わせて確認してみてください。

具体的な有給休暇の消滅時期の計算例

具体的な数字を用いて、有給休暇の消滅時期を計算してみましょう。2024年4月1日に入社した従業員の場合、半年後の2024年10月1日に最初の10日分が付与されます。この10日分を一切取得しなかった場合、2年後の2026年9月30日を過ぎた時点で消滅します。
次に、1年後の2025年10月1日には新たに11日分が付与されますが、この11日分は2027年9月30日まで有効です。保有している有給休暇の取得順序については、実は労働基準法に明確な定めがありません。
特段定めのない会社では古いもの(繰り越し分)から取得されるという考え方が原則ですが、就業規則で「当年度分から先に消化する」と定めている会社もあります。いずれにしても、時効による失効を防ぐには、自社の就業規則を確認しておくと確実です。
なお、入社時期によって付与日と消滅日はずれます。たとえば2024年10月1日入社の方は2025年4月1日に初回付与され、2027年3月31日の翌日に消滅します。上の表でご自身の入社時期に近いケースを確認してみてください。

有給休暇の残日数を正確に把握する方法

自分の有給休暇が何日残っているのかを把握する身近な方法として、給与明細の確認があります。企業によっては給与明細に「有給残日数」が記載されていることがあります(ただし記載は法律上の義務ではなく、載っていない場合もあります)。
また、勤怠管理システムを導入している会社であれば、パソコンやスマートフォンからリアルタイムの残日数を照会できます。ご自身の有休残日数を確認する方法が不明な場合は、人事部や労務担当者に問い合わせましょう。
なお、会社には従業員ごとの「年次有給休暇管理簿」を作成・保存する義務があるため、正確な記録は必ず存在します。

監修者コメント
年次有給休暇管理簿は、年次有給休暇を取得するすべての従業員を対象に作成・保存する必要があります。年次有給休暇管理簿の作成・保存は、有休年5日取得義務の施行と併せて義務化されたため、しばしば「年5日取得義務の対象労働者のみについて管理簿を作成すればよい」と誤解されているケースを散見します。しかしながら、労働基準法上、「労働基準法第39条第5項から第7項の定めにより年次有給休暇を取得したすべての従業員について作成義務が生じる」と規定され、労基法第39条第7項の「使用者の時季指定義務(年5日取得義務)」の対象者のみに限定されていません。(同法同条条第5項は「労働者の時季指定権と使用者の時季変更権」、第6項は「計画的付与制度」についての規定です)

繰り越しによる有給休暇の最大保有日数は「40日」

有給休暇は、付与された年に使い切れなかった分を翌年に繰り越すことができます。しかし、無限に繰り越せるわけではなく、法律の範囲内で最大保有日数という上限が存在します。ここでは、有給休暇の繰り越しの仕組みと、最大で何日まで保有できるのかについて解説します。

勤続年数 新たに付与される日数 繰り越せる最大日数(前年分) 最大保持日数(合計)
0.5年(半年) 10日 0日 10日
1.5年 11日 10日 21日
2.5年 12日 11日 23日
3.5年 14日 12日 26日
4.5年 16日 14日 30日
5.5年 18日 16日 34日
6.5年以上 20日 20日 40日

毎年付与される日数と繰り越し上限の仕組み

有給休暇は勤続年数に応じて毎年付与される日数が増えていきます。入社後半年で10日が付与された後、1年ごとに11日、12日と増えていきます。勤続6年半を超えると法定上限である年間20日が毎年付与されるようになります。

その年に使い切れなかった有給休暇は、2年の消滅時効との兼ね合いから、翌年に1回だけ繰り越すことができます。つまり、従業員が同時に保有できるのは「今年付与された分」と「昨年付与された日数のうち取得せずに繰り越された分」の2年分だけです。
勤続6年半以上の従業員が、前年の20日分を全く使わずに繰り越し、今年の20日分を新たに付与された場合、合計で40日となります。これが、有給休暇の最大保有日数が40日と言われる理由です。
ただし、最大保有日数が40日というのは、あくまで労働基準法で定められた法定の年次有給休暇に限った上限です。
会社が独自に法定を上回る休暇(リフレッシュ休暇など)を設けている場合は、40日の年次有給休暇とは別に、会社独自の有給休暇分として繰り越し分を保有できることがあります。

時効を迎えた古い有給休暇は自動的に消滅する

法定の有給休暇は、繰り越しても2年で時効を迎えます。たとえば40日(当年20日+繰越20日)を保有している人が1年間まったく休まず翌年を迎えると、2年前に付与された20日分は時効により消滅します。
そして新たに今年の20日分が付与されるため、手持ちは結局40日のまま変わりません。これは40日という上限で切り捨てられるのではなく、付与から2年の時効が成立するためです。

消滅前の有給休暇を会社に買い取ってもらうことは可能か?

有給休暇が消滅してしまいそうな時に、「現金で買い取ってほしい」と考える方は少なくありません。しかし、有給休暇の買い取りには厳格なルールが存在し、いつでも誰でも利用できるわけではありません。ここでは、買い取りの原則と例外について解説します。

買い取りの可否 条件と状況の例 法律上の取り扱い
原則禁止 通常の勤務期間中に未消化分を買い取る行為 労働基準法違反となる
例外として可能 退職時に残っている有給休暇の買い取り 労使間の合意及び会社の就業規則の定めに基づき可能
例外として可能 法定の付与日数(勤続年数に応じ10〜20日)を超えて会社が独自に付与した分 労使間の合意及び会社の就業規則の定めに基づき可能
例外として可能 2年の時効を迎えてすでに消滅してしまった分 労使間の合意及び会社の就業規則に基づき可能

原則として有給休暇の買い取りは法律で禁止されている

有給休暇を会社が買い取ることは、原則として労働基準法で禁止されています。有給休暇制度の本来の目的は、労働者に心身の休息を与えて疲労を回復させることです。
もし会社がお金で有給休暇を買い取ることを認めてしまうと、従業員は休む代わりにお金をもらうことを選びやすくなり、結果として過労や健康被害を招く恐れがあります。
労働者は、有給休暇本来の趣旨を踏まえ、休暇の現金化を期待するのではなく、しっかりと休んで身体を休めることを優先すべきです。それが、自分自身の健康を守る最善の選択となります。

例外的に買い取りが認められる3つのケース

原則として禁止されている有休買い取りですが、特定の状況下では、例外的に買い取りが認められる場合があります。一つ目は、退職時までに取得し切れなかった有給休暇です。
退職後は、有休を使って休むという権利を行使できなくなるため、未消化分を会社が買い取っても違法にはなりません。二つ目は、会社が法定の付与日数を超えて独自に付与した有給休暇分です。
例えば法律では20日付与のところ、会社が25日付与している場合、法定超となる5日分は会社の裁量で買い取ることができます。三つ目は、すでに2年の時効を迎えて消滅してしまった有給休暇です。
これらはもはや休む権利として存在していないため、会社が福利厚生の一環として恩恵的に金銭で補填することは問題ありません。ただし、いずれのケースも会社側に買い取りの義務はないため、就業規則をよく確認する必要があります。

監修者コメント
上記の「①退職時に消化しきれない有休」「②2年の時効で消滅した有休」「法定日数を超える会社独自の有休」について買い取りを可能とするためには、「就業規則への記載」と「労使間の合意」が必要です。社内ルールに例外的な有休買い取りに関する定めがない場合や、労使間のいずれかの一方的な要望による場合、買い取りは適法に認められません。

消滅を防ぐための「年5日の有給休暇取得義務」への対応

有給休暇の消滅を防ぐためには、労働者個人の努力だけでなく、会社側の積極的な管理も不可欠です。近年では労働基準法の改正により、有給休暇の取得が一部義務化されています。ここでは、会社と従業員がそれぞれ対応すべきポイントについて解説します。

対象者・実施主体 対応事項の内容 目的と効果
年10日以上付与される労働者 1年以内に必ず5日以上の有給休暇を取得する 過労防止と計画的な休息の確保
事業主(会社側) 労働者の意見を聴取し、取得時季を指定する 有休の取得漏れ防止と法令遵守
事業主(会社側) 年次有給休暇管理簿を作成して管理する。管理簿は3年間保存する 有休の付与と消化状況の正確な把握

【関連記事】有休年5日取得義務違反で送検!「年5日の年次有給休暇の確実な取得」への対応は万全ですか?-労務ジャーナル

会社には年5日の取得をさせる義務がある

2019年4月の労働基準法改正により、年に10日以上の有給休暇が付与されるすべての労働者に対して、会社は年間5日の有給休暇を確実に取得させることが義務付けられています。このルールは正社員だけでなく、条件を満たすパートタイムやアルバイトの従業員にも適用されます。
厚生労働省の規定によれば、従業員が自発的に有給を取得しない場合、会社側が従業員の意見を聴取した上で、取得日を指定して取得させなければなりません。もしこの義務に違反して対象従業員に年5日の有給を取らせなかった場合、会社には罰則が科される可能性があります。

【関連記事】ゼロから始める労務管理!「年次有給休暇」をパート・アルバイトに付与していますか?-労務ジャーナル

従業員側も自分の付与日と計画的な取得を意識することが大切

有給休暇の年5日取得義務が会社側に課されているからといって、すべてを会社任せにして良いわけではありません。従業員自身も、自分にいつ有給休暇が付与され、いつまでに何日取得する必要があるのか、保有する有給休暇がいつ消滅するのかを把握する姿勢が求められます。
有休取得申請は、業務の閑散期を見計らったり、プライベートの予定と組み合わせたりして、計画的に行うことが周囲への配慮にもつながります。
年5日取得義務の期限ギリギリになってから慌てて5日間連続で休もうとすると、業務の引き継ぎが間に合わず、同僚に負担をかけてしまうことも考えられます。
毎年の初めに自分の有休残日数を確認し、四半期ごとに1~2日ずつ消化するなど、自分なりのルールを作ることが効果的です。年間を通して無理なく有休を消化していく工夫を講じながら、ご自身のワークライフバランスを整えてみてください。

まとめ

この記事で解説した有給休暇の消滅時効と計算ルールの要点をまとめます。

  • 労働基準法により有給休暇は基準日から2年で消滅する
  • 基準日は付与日であり未消化分は原則として古いものから消化される
  • 繰り越して保有できる有給休暇の最大日数は40日となる
  • 有給休暇の買い取りは原則違法だが退職時など一部例外的に認められることがある
  • 会社には年5日の有休取得義務があり、会社がこれを遵守することはもちろん、従業員にも計画的な取得が求められる

ご自身の有休残日数を正しく把握し、消滅時効が到来する前に有効に活用して、仕事と生活のバランスのとれた充実した働き方を実現しましょう。

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HM人事労務コンサルティング 代表 社会保険労務士 丸山博美

編集者

HM人事労務コンサルティング 代表 社会保険労務士 丸山博美

起業したての小さな会社支援を得意とする社労士事務所、HM人事労務コンサルティング代表・丸山と申します。 創業当初の事業主様に不足しがちな「経験」「人脈」「知識」を、 社会保険労務士という立場からサポートいたします。
労務関連の手続きやご相談、就業規則作成、助成金申請・・・等々、どんなことでもお気軽にご相談ください!東京はもちろん、日本全国からのご依頼に対応させていただきます。

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