有給休暇5日取得できなかった場合は?罰則と具体的な対策を解説

労働基準法
有給休暇5日取得できなかった場合は?罰則と具体的な対策を解説

目次

  1. 年次有給休暇の5日取得義務とは?
  2. 取得義務の対象となる従業員
  3. 有給休暇を5日取得できなかった場合の罰則
  4. 労働基準法第39条(年次有給休暇)違反で書類送検された事例
  5. 有給休暇を確実に取得させる方法
  6. クラウド勤怠管理システムの活用で、年5日の年次有給休暇の確実な取得への対応を
  7. まとめ

圧倒的につながる「HRMOS(ハーモス)労務給与」

ハーモス労務給与は、となり合った業務をつなげ、労務・給与業務がラクになるシステムです。勤怠データからの給与自動計算、給与通知・年末調整書類のカンタン作成など、労務給与業務がシステムで完結し、効率化につながります。

詳しく見る
圧倒的につながる「HRMOS(ハーモス)労務給与」

従業員の年次有給休暇取得日数が5日に満たないかもしれないと、対応に悩んでいる方に向けて解説します。企業には、有給休暇を年に5日取得させないと、労働基準法違反として罰則が科されるリスクがあります。この記事では、取得義務の対象者や罰則の内容、書類送検のケース、年5日の有休を確実に取得させるための対策を分かりやすく整理しました。

年次有給休暇の5日取得義務とは?

2019年4月に施行された働き方改革関連法により、企業には従業員に対する年5日の有給休暇取得義務が課せられました。ここでは、制度の目的や義務化の内容について詳しく解説します。労働基準法第39条第7項により、使用者は、法定の年次有給休暇付与日数が10日以上の全ての労働者に対し、年5日、年次有給休暇を確実に取得させる必要があります。


参考:年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説|厚生労働省
参考::労働基準法 第39条第7項 | e-Gov法令検索

項目 制度の概要
施行時期 2019年4月1日
目的 働く人の健康確保とワークライフバランスの実現
企業の義務 付与日から1年以内に5日取得させること

働き方改革の一環で義務化

有給休暇の年5日取得義務は、働き方改革に伴う労働基準法改正によって導入された制度です。かねてより、休みにくい職場の雰囲気や周囲への気兼ねから、有給休暇を自発的に取得しづらいという課題を抱える職場は多くありました。プロジェクトの繁忙期に休みを言い出せず、そのまま1年間全く休まないといった状況は、さほど珍しい事例ではありません。

このような事態を防ぎ、従業員の心身の疲労回復及びワークライフバランスの実現を促すために、企業主導で従業員に対し確実に有給休暇を取得させるための仕組みが求められるようになりました。有給休暇の年5日取得義務への対応として、使用者は、労働者ごとに、有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に5日について、取得時季を指定して年次有給休暇を取得させなければならなくなりました。

監修者コメント
年次有給休暇は、原則として、労働者が請求する時季に与えることとされています。使用者による時季指定を行う場合にも、必ず労働者の意見を聴取し、できる限り労働者の希望に沿った取得時季になるよう、聴取した意見を尊重するよう努めなければなりません。

就業規則へのルール記載が必要

企業が有給休暇の取得時季を指定する場合、事前に就業規則へルールを記載しておく手続きが必要です。休暇に関する事項は就業規則の絶対的必要記載事項と定められており、明文化せずに運用することは法律違反となります。基準日から一定期間経過しても5日取得できていない従業員に対し、会社が労働者に取得時季の意見を聴取した上で時季を指定するという内容を就業規則に規定し、従業員へ周知しておく必要があります。

参考:年次有給休暇の時季指定について就業規則に記載しましょう
【関連記事】年5日の有給休暇取得義務対応!就業規則にはどう規定する?【労働基準法改正2019】 - 労務ジャーナル

取得義務の対象となる従業員

どの従業員が有給休暇5日取得の義務対象になるのかを確認していきましょう。対象者を正しく把握することが、有休年5日取得義務への適切な対応の第一歩となります。

雇用形態・役職 対象となる条件 備考
正社員 年10日以上の有給休暇が付与されること 原則として入社半年後に該当します
パート・アルバイト 勤続年数や所定労働日数に応じた比例付与により年10日の有給休暇が付与されること 週4日勤務なら勤続3年半で該当します
管理監督者 年10日以上の有給休暇が付与されること 労働時間規制の対象外でも有休年5日取得義務の対象となります

年10日以上付与される労働者

有給休暇の年5日取得義務が発生するのは、年10日以上の有給休暇が付与される労働者です。労働基準法により、雇入れの日から6ヶ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した従業員には10日の有給休暇が与えられます。例えば、4月1日に入社した新入社員であれば、10月1日の時点で10日付与され、そこから1年以内に5日取得させる義務が生じる仕組みです。

パートやアルバイトも対象

正社員だけでなく、パートタイムやアルバイトの従業員も対象に含まれます。所定労働時間が短い働き方であっても、長く勤めていれば付与日数が段階的に増え、年間10日に達するからです。具体的には、週に4日勤務しているアルバイトの方の場合、入社から3年半が経過したタイミングで10日の有給休暇が付与されます。したがって、雇用形態だけで判断するのではなく、有休付与日数に注目して個別に管理することが求められます。

監修者コメント
有休年5日取得義務の対象となるパート・アルバイトは、「当年度に付与される年次有給休暇の日数が10日以上である労働者」です。所定労働日数が少なく、1年以内に付与する有給休暇が10日未満の労働者の場合、前年度から繰り越した日数を含めると10日以上となっていても年5日の有給休暇取得義務の対象とはなりません。


【関連記事】適切に付与できていますか?シフト勤務の場合の年次有給休暇付与日数の考え方 - 労務ジャーナル

付与日数

管理監督者も対象となる

労働基準法上の労働時間・休憩・休日の規定を適用しない管理監督者であっても、有給休暇の年5日取得義務は免除されません。部長や工場長といった経営者と一体的な立場にあっても、法律上は有給休暇を取得する権利と義務を有するからです。日々の業務やマネジメントに追われて全く休めない管理者の存在は、それ自体が法令違反であるだけでなく、休みづらい職場の雰囲気を作る原因ともなります。

役職や責任の重さにかかわらず、年間10日以上の有給休暇が付与されるすべての対象従業員に心身のリフレッシュを図る機会を設ける体制づくりが不可欠です。

有給休暇を5日取得できなかった場合の罰則

年5日の取得義務を果たせなかった場合、企業は労働基準法違反としてペナルティを受けることになります。ここでは、具体的な罰則の内容やリスクについて確認していきます。

違反の内容 罰則の規定 リスクの度合い
年5日の取得義務違反 30万円以下の罰金 従業員1人につき罰金が算定される
就業規則への記載漏れ 30万円以下の罰金 従業員とのトラブルに発展する恐れがある
労働者の請求する時季における年次有給休暇取得拒否 6ヵ月以下の拘禁刑または
30万円以下の罰金
従業員とのトラブルに発展する恐れがある

対象者1人につき30万円以下の罰金

年5日の有給休暇を取得させられなかった場合、労働基準法違反として30万円以下の罰金が科される可能性があります。この罰金は企業全体に対して一度だけ科されるものではなく、対象労働者1人につき算定される点に注意が必要です。例えば、5日取得できていない従業員が社内に10人いた場合、最大で300万円もの罰金が発生する計算になります。

日頃の管理不足が重なることで、企業経営を揺るがすほどの大きな金銭的ダメージにつながる恐れがあるわけです。

参考:年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説|厚生労働省

規定なしの時季指定も罰則対象

就業規則に有給休暇の時季指定に関する記載を行わないまま運用した場合も、同様に30万円以下の罰金が科されるリスクがあります。労働基準法第89条により、休暇に関するルールは就業規則に必ず定めなければならないと決められているからです。

有休年5日取得義務への対応には、事前の就業規則整備が欠かせません。
参考:労働基準法 | e-Gov 法令検索

労働基準法第39条(年次有給休暇)違反で書類送検された事例

労働者6人に対して年次有給休暇取得の時季指定を怠ったとして送検されたのは、愛知県内の給食管理業者(ただし10人以上規模のみ)と各事業場の責任者である店長3人。2019年4月以降、年5日の年休取得が義務化されたにもかかわらず、複数の労働者からの有休申請に対応しなかったとして労働基準法第39条(年次有給休暇)違反とされました。

参考:労働開発研究会「労働基準法違反の疑いで書類送検~年次有給休暇の取得義務不履行~」

有給休暇を確実に取得させる方法

ここまでお伝えしてきたルールを踏まえ、実際に従業員に有給休暇を確実に取得させるための工夫を見ていきましょう。自社の状況に合った方法を選び、計画的な運用を進めてみてください。

対策の手法 概要 導入のメリット
計画的付与制度 労使協定により企業が付与日をあらかじめ割り振る 計画性が高く、まとめて休ませやすい
基準日の統一 全社員の有休付与日を年度始めなどに揃える 管理の手間や計算漏れを削減できる
システム活用 勤怠システムでアラートを出す 運用を自動化し、確認漏れを防げる

計画的付与制度を導入する

計画的付与制度とは、企業があらかじめ有給休暇を取得させる日を決めて割り振る仕組みのことです。労使協定を結ぶことで、付与日数のうち5日を超える部分について、企業主導で付与日を設定できるようになります。この計画的付与を活用し、ゴールデンウィークの飛び石連休の間を有休に指定したり、夏季休暇に組み合わせて全社一斉の大型連休にしたりといった運用が多く見られます。

この制度を取り入れることで、従業員が周りの目を気にして休みを取りづらいという状況を解消し、まとまった休息を確保しやすくなるわけです。

基準日を全社で統一する

従業員ごとに入社日が異なると有休が付与される基準日もバラバラになりますが、これを全社で一つの日付に統一する方法があります。基準日が揃うことで、誰がいつまでに5日取得しなければならないのか、管理の負担が大きく下がるからです。例えば、毎年4月1日を一斉付与日とし、そこから翌年3月末までの1年間で取得状況を確認するルールへ変更するケースが考えられます。

労務担当者の認識誤りや確認漏れを防ぎ、適法な管理を効率よく行えるようになるのが大きな利点です。

監修者コメント
年次有給休暇の斉一的付与では、法定の付与条件を下回らないよう十分に注意する必要があります。また、基準日の変更にあたり、就業規則の改定手続きと従業員への事前周知を徹底しましょう。

勤怠管理システムを活用する

紙や表計算ソフトでの管理から抜け出し、専用の勤怠管理システムを導入することも有力な解決策となります。勤怠管理システムの導入により、従業員の取得状況をリアルタイムで把握できる他、期限が迫っているのに取得日数が不足している人へ自動で通知が送られます。システム上、有休の取得が5日に満たない従業員とその上司に対し、システムからメールでアラートが届くような設定が可能です。

担当者が一人ひとり声をかける手間が省け、抜け漏れのない確実な労務管理が実現するでしょう。

クラウド勤怠管理システムの活用で、年5日の年次有給休暇の確実な取得への対応を

現状、貴社ではどのように労働者各人の有給休暇日数管理をされているでしょうか?有休付与・取得等の複雑な有休管理なら、無料の勤怠管理システム「HRMOS勤怠」を活用すればぐんとスムーズです!各人の有給取得の状況、残日数の把握、自動付与設定等、クラウド管理なら漏れがありません。さらに年5日の取得義務アラートや年次有給休暇管理簿への対応も、HRMOS勤怠で完結します。
無料の勤怠管理システム「HRMOS勤怠」で、御社における有休管理の業務効率化を図りましょう!

参考記事:『【休暇管理画面の変更】有給休暇に関する項目を追加しました(時間有給の管理・有給休暇の付与日と基準日)

まとめ

この記事の要点をまとめます。

  • 年次有給休暇が年10日以上付与されるすべての労働者が5日取得の対象となる
  • 違反の場合、対象労働者1人につき30万円以下の罰金が科されるリスクがある
  • 悪質な法令違反や虚偽報告を行った場合は書類送検の対象にもなる
  • 計画的付与制度や勤怠管理システムを活用して未取得を防ぐ仕組みが重要となる

従業員が安心して休暇を取得できるよう、有休取得のルールを正しく理解し、労務環境を整えていきましょう。

圧倒的につながる「HRMOS(ハーモス)労務給与」

ハーモス労務給与は、となり合った業務をつなげ、労務・給与業務がラクになるシステムです。勤怠データからの給与自動計算、給与通知・年末調整書類のカンタン作成など、労務給与業務がシステムで完結し、効率化につながります。

詳しく見る
圧倒的につながる「HRMOS(ハーモス)労務給与」
HM人事労務コンサルティング 代表 社会保険労務士 丸山博美

監修者

HM人事労務コンサルティング 代表 社会保険労務士 丸山博美

起業したての小さな会社支援を得意とする社労士事務所、HM人事労務コンサルティング代表・丸山と申します。 創業当初の事業主様に不足しがちな「経験」「人脈」「知識」を、 社会保険労務士という立場からサポートいたします。
労務関連の手続きやご相談、就業規則作成、助成金申請・・・等々、どんなことでもお気軽にご相談ください!東京はもちろん、日本全国からのご依頼に対応させていただきます。

最近監修した記事

関連記事

法定休日と法定外休日の違いとは?割増賃金のルールと実務のポイント 労務管理

法定休日と法定外休日の違いとは?割増賃金のルールと実務のポイント

休日出勤の手当を計算する際、法定休日と法定外休日のどちらに該当するのか迷っている人事労務の担当者は多いのではないでしょうか。この記事では、労働基準法に基づく休日の正しい定義から、割増賃金の計算ルールについて詳しく解説します。最後までお読みい…

労働基準法 残業
法定の「定期健康診断」の実施義務に対応できていますか?おさえるべき法改正も解説 労務管理

法定の「定期健康診断」の実施義務に対応できていますか?おさえるべき法改正も解説

毎年、年度当初に従業員の定期健康診断実施に係る通知を行っている事業場も多いと思いますが、貴社では対応できているでしょうか?今号では、法定の健診内容や対象者、実施時期を改めて確認すると共に、おさえておきたい法改正項目についても理解を深めましょ…

ランキング