入社後すぐの健康保険傷病手当金支給申請は可能?実務上の疑問を解決

入社後すぐの健康保険傷病手当金支給申請は可能?実務上の疑問を解決

目次

  1. 入社後すぐでも健康保険傷病手当金の支給申請が可能です
  2. 従業員が休業中にそのまま退職。健康保険傷病手当金は申請できる?
  3. 実務上の「?」は、専門家へのお早目のご相談が得策です

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新年度を迎え、早2週間。今春に雇い入れた従業員は、順調に業務に従事しているでしょうか?春先は季節の変わり目であること、さらに慣れない環境下でのストレス等から、体調に変化が生じやすい時期です。ひょっとしたら、「新入社員の病欠が続き、傷病手当金の支給申請の希望が出ている」といったケースへの対応にお悩みの現場もあるのではないでしょうか?今号では、「入社直後の健康保険傷病手当金支給申請」をテーマに、実務上対応に迷いやすいポイントを解説します。

 

入社後すぐでも健康保険傷病手当金の支給申請が可能です

傷病手当金の申請にあたり、「被保険者期間」に関わる要件はありません。そのため、被保険者資格を取得した月に体調を崩したとしても、その他の要件を満たす場合には資格取得月分から支給申請ができます

 

傷病手当金の給付対象

ここで、傷病手当金の支給要件を復習しておきましょう。

 

(1)業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること

(2)仕事に就くことができないこと

(3)連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと

(4)休業した期間について給与の支払いがないこと

 

「(2)仕事に就くことができない」状態の判定は、療養担当者の意見等を基に、被保険者の仕事の内容を考慮して判断されます。また、「(3)連続する3日間を含み」とはいわゆる「待機期間」のことですが、3日間の中に出勤日を挟むと待機期間は完成しません。なお、待機期間には、有給休暇や土日・祝日等の公休日を含めても良いとされており、「従業員が欠勤した日」に限定されない点に注意が必要です。

出典:協会けんぽ「傷病手当金

 

入社後すぐの傷病手当金申請の手続き

入社直後の傷病手当金支給申請手続きであっても、何ら特別な対応を要しません。事務ご担当者様は、通常通り、所定の申請書に必要事項を記入し、保険者宛に申請しましょう。

保険者が協会けんぽの場合、以下より申請書のダウンロードや添付書類の確認が可能です。

参考:協会けんぽ「健康保険傷病手当金支給申請書

入社すぐの支給申請の場合、通常の申請書類に加えて、前職の被保険者期間を確認するための書類が必要になる場合があります。傷病手当金の支給日額は原則として「支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3」で求められますが、被保険者期間が12ヶ月未満の場合、前職の被保険者期間も含めて「支給開始日の属する月以前の直近の継続した各月の標準報酬月額の平均」が算定基礎となることがあるからです

 

参考:協会けんぽ「≪健康保険加入状況等申告書の記入例≫

 

 

従業員が休業中にそのまま退職。健康保険傷病手当金は申請できる?

ところで、従業員が欠勤からそのまま退職となってしまう事例があります。こうしたケースにおいて、初回の傷病手当金支給申請を行わないまま被保険者資格喪失の手続きを行ったものの、退職後の傷病手当金支給申請の要件に「1年以上の被保険者期間」とあるのをご確認いただいた後、慌てて社労士宛にご相談いただくことも少なくありません。

 

在職期間中の傷病手当金支給申請は、被保険者資格喪失後でも行うことができます

前述のケースでは、すでに退職して被保険者資格を喪失した後であっても、在職していた期間に係る傷病手当金の支給申請は通常通り行えます。そもそも、傷病手当金の支給申請は支給対象月の給与額確定後に行いますので、退職日以降に行うことになります。被保険者資格を喪失してしまった後でも、2年の時効にかかる以前であればお手続可能です。

 

退職後(被保険者資格喪失後)の期間に係る傷病手当金支給申請の注意点

「1年以上の被保険者期間」が要件となるのは、退職後の期間分も継続して傷病手当金を受給する際です。この場合、「退職日まで継続して1年以上の一般被保険者期間」が必要となります。退職後の期間分に係る傷病手当金の支給申請について、要件をすべて確認しておきましょう。

 

(1)資格喪失日の前日(退職日等)までに被保険者期間(任意継続被保険者期間は除く)が継続して1年以上あること

(2)被保険者資格を喪失した日の前日に傷病手当金を受けている、もしくは受けられる状態であること

(3)一旦仕事に就くことができる状態になった場合、その後更に仕事に就くことができない状態になっていないこと

 

退職後の傷病手当金は、在職中から退職後にかけて、労務不能状態が継続していることが条件となります。例えば、引継ぎ等で退職日に出勤した場合、「出勤=労務可能」となり労務不能状態の中断とみなされ、継続受給ができなくなりますのでご注意ください。また、継続受給には「被保険者資格喪失の前日までに継続して1年以上の一般被保険者期間」があることが必要です。1日でも空白(被保険者でない期間)があってはいけません。入社1年未満の場合、以前勤めていた会社での被保険者期間を合算することができ、空白なく被保険者資格を継続している場合は要件を満たします。このとき、協会けんぽと健保組合の被保険者期間は通算可能共済組合・任意継続被保険者・国民健康保険の被保険者期間及び被扶養者であって期間は通算不可となることにも注意が必要です。なお、退職後の期間分に係る支給申請は、原則として会社を通さず、ご自身で行うことになります。

 

実務上の「?」は、専門家へのお早目のご相談が得策です

何かと慌ただしい季節ですが、入社直後の健康保険傷病手当金申請等、イレギュラーな事例にも落ち着いて対応しましょう。「忙しいから」「よく分からないから」と対応を後回しにしたり、従業員に対して誤ったアナウンスをしたりすれば、思わぬ労使トラブルへ発展することになりかねません。実務上の疑問は、お早目に社会保険労務士へご相談ください

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HM人事労務コンサルティング 代表 社会保険労務士 丸山博美

編集者

HM人事労務コンサルティング 代表 社会保険労務士 丸山博美

起業したての小さな会社支援を得意とする社労士事務所、HM人事労務コンサルティング代表・丸山と申します。 創業当初の事業主様に不足しがちな「経験」「人脈」「知識」を、 社会保険労務士という立場からサポートいたします。
労務関連の手続きやご相談、就業規則作成、助成金申請・・・等々、どんなことでもお気軽にご相談ください!東京はもちろん、日本全国からのご依頼に対応させていただきます。

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