経費精算書とは?種類と記載項目、スムーズに処理する方法を解説
2026.10.23


この記事のポイント
- 経費精算書は、従業員の立替費用や仮払金の差額を会社へ申請・精算するための書類。
- 代表的な種類には、立替経費・交通費・出張旅費・仮払経費があり、用途に応じて必要項目が異なる。
- 統一フォーマットや証憑管理のルールを整えると、記載漏れや差し戻しを減らしやすい。
経費精算書は、業務上発生した費用を会社へ申請し、立替金の払い戻しや仮払金の精算、会計処理につなげるための書類です。適切に処理するには、支払日や支払先、金額、利用目的などを記載し、領収書などの証憑と合わせて管理する必要があります。
一方で、経費精算書には複数の種類があり、用途に応じた使い分けや必要な記載項目に迷うこともあるでしょう。
本記事では、経費精算書の種類や記載項目、処理をスムーズにする方法、領収書を紛失した場合の対応まで詳しく解説します。
1.経費精算書とは、業務上の支出を精算するための書類
経費精算書とは、従業員などが業務のために立て替えた費用の内容を会社へ申請し、金額を精算するための書類です。他にも、事前に受け取った仮払金と実際の支出額との差額を精算する場合にも使用します。経理担当者にとっては、支出内容を確認して適切に会計処理を行うための資料にもなります。
経費精算書と混同されやすいものに領収書がありますが、両者は役割・作成者・扱い方が異なるため、違いを確認しておきましょう。
| 項目 | 経費精算書 | 領収書 |
|---|---|---|
| 役割 | 支出内容や利用目的を会社へ報告するための書類 | 支払いの事実や取引内容を確認するための証憑書類 |
| 作成者 | 経費を申請・精算する従業員 | 代金を受け取った店舗やサービスの提供元 |
| 扱い方 | 社内処理用として会社に提出する | 経費精算書とあわせて提出・保存する |
2.経費精算書の種類とそれぞれの用途
経費精算書には、支出内容や精算方法に応じて複数の形式があります。代表的なものは、立替経費精算書、交通費精算書、出張旅費精算書、仮払経費精算書の4つです。
用途別に分けて管理すると、申請者が必要事項を記入しやすくなり、承認や経理処理も進めやすくなります。
- 立替経費精算書
- 交通費精算書
- 出張旅費精算書
- 仮払経費精算書
1. 立替経費精算書
立替経費精算書は、従業員が業務に必要な費用を自分のお金で支払った場合に、会社から払い戻しを受けるための書類です。たとえば、次のような支出を個人が一時的に負担した場合に使用します。
- 文房具や事務用品などの購入費
- 取引先との会食費
- 業務上発生した通信費
主な記載内容は、支払日や支払先、金額、購入内容などです。領収書やレシートなど、支払いの事実を確認できる証憑も、社内ルールや税務上の保存要件に沿って保存します。
2. 交通費精算書
交通費精算書は、営業活動や取引先への訪問など、業務上の移動で発生した交通費を精算するための書類です。利用日や移動にかかった金額に加え、経路、交通手段などを記載することが一般的です。
交通費精算書をチェックする際には、申請された経路の中に、定期区間と重複する交通費が含まれていないかに注意する必要があります。通勤定期代と交通費の二重支給を防ぐためにも、従業員の定期区間も合わせて把握しておくことが大切です。
3. 出張旅費精算書
出張旅費精算書は、出張に伴って発生した費用をまとめて精算するための書類です。出張日程や出張先、訪問目的に加え、交通費や宿泊費などを記載し、会社の旅費規程に沿って申請します。
企業によっては、交通費や宿泊費のほかに日当を支給する場合があります。領収書などの証憑をもとに実費精算する費用と、旅費規程に基づいて支給する費用を区別して記載すると、承認者が確認しやすくなります。
4. 仮払経費精算書
仮払経費精算書とは、出張や接待、備品購入などのために会社から事前に仮払いを受けた従業員が、実際に使った金額を報告し、差額を精算するための書類です。使用額が仮払額より少なければ差額を返金し、多ければ不足分の支給を受けられます。
仮払額、実際の支出額、支出日、使途を記載し、領収書などの証憑を添えて、上長の承認を経て経理へ提出される流れが一般的です。この精算により、仮払金として計上されていた金額が、旅費交通費などの適切な勘定科目へ振り替えられ、会計処理が完了します。
3.経費精算書の記載項目
経費精算書には、誰が、いつ、どこで、何のために、いくら支払ったのかを確認できる情報を記載します。会社ごとに書式は異なりますが、申請・承認・会計処理に必要な情報を漏れなく記録できる項目を設けることが重要です。
主な記載項目は以下の通りです。
- 申請日・支払日
- 申請者の氏名・所属部署
- 支払先の名称
- 支払金額
- 購入した商品や利用したサービスの内容
- 支出の目的・利用目的
- 費目(勘定科目)
- 税率や消費税に関する情報
- 承認者・承認状況
- 領収書やレシートなどの証憑
経費の内容としては、たとえば交通費であれば利用区間、取引先との会食であれば、社内ルールに応じて会食の目的や参加者なども記載することが一般的です。
立替経費、交通費、出張旅費、仮払経費など、精算書の種類ごとに必要な記載項目をあらかじめ定めておくと、申請者は書き漏れを防げ、確認する側も見るべき点が明確になるため、双方の作業がスムーズになります。
4.経費精算書の管理と処理をスムーズにする4つの方法
経費精算を効率化するには、申請者だけでなく、承認者や経理担当者も迷わず処理できる仕組みが必要です。社内ルール、フォーマット、証憑管理、システムの4つを整備すると、不備や差し戻しを減らしやすくなります。
- 経費として認められる条件や社内ルールを明文化する
- 統一したフォーマットを作る
- 領収書などの証憑を法令・社内ルールに沿って管理する
- 経費精算システムを導入する
1. 経費として認められる条件や社内ルールを明文化する
経費精算の判断基準は、社内規程やマニュアルに明文化しておくと、申請者と承認者で判断が分かれにくくなります。主に、次の項目を定めておきましょう。
- 精算対象とする支出の範囲
- 申請期限や金額の上限
- 事前承認が必要となる条件
- 領収書などの証憑の提出方法
- 個人のクレジットカードを利用した場合の扱い
- 私物と会社用品を一緒に購入した場合の扱い
個人のクレジットカード利用や私物との同時購入など、判断に迷いやすいケースまで社内ルールに盛り込むと、差し戻しを減らしやすくなります。
2. 統一したフォーマットを作る
経費精算書は、必要な項目を盛り込んだ統一フォーマットを用意すると処理しやすくなります。書き方が申請者ごとに異なると、記載漏れや入力位置のばらつきが生じ、確認や差し戻しが増えてしまいます。
申請日、利用日、支払先、金額、支出内容、利用目的、勘定科目、税区分などの入力欄をあらかじめ設けておくようにしましょう。支出内容は「品代」のような曖昧な記載を避け、具体的に書くよう注記しておくと確認しやすくなります。立替経費、交通費、出張旅費など用途別にフォーマットを分けることで、申請者も必要事項を判断しやすくなります。
3. 領収書などの証憑を法令・社内ルールに沿って管理する
領収書やレシートなどの証憑は、税務上の保存要件と社内ルールに沿って管理することが重要です。インボイス制度では、仕入税額控除を受けるために、原則として帳簿と適格請求書等を保存します。
ただし、税込価額が3万円未満の公共交通機関による旅客の運送や、従業員などに支給する通常必要と認められる出張旅費等、一定の取引では帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる特例があります。
また、メールやWebサイトなどで電子的に受け取った領収書・請求書は、電子帳簿保存法により電子データのまま保存する必要があり、紙に印刷しただけでは原則として要件を満たしません。紙と電子データの管理方法を社内で整理し、必要な証憑を後から確認できる状態にしておきましょう。
4. 経費精算システムを導入する
経費精算の件数が多い企業では、経費精算システムを導入すると、申請・承認・経理処理を効率化しやすくなります。システムによっては、次のような機能を利用できます。
- 領収書を読み取るOCR機能
- 交通系ICカードやクレジットカード明細の取込み
- 承認フローの設定
- 規定違反や二重申請などのチェック
- 会計システムへのデータ連携
手入力や転記を減らせれば、入力ミスの防止や経理担当者の確認作業の軽減につながります。導入時は機能の多さだけで判断せず、自社の申請フローや社内規程に対応できるか、電子帳簿保存法やインボイス制度への対応状況はどうかを確認しましょう。
5.経費精算書に関するよくある質問
経費精算書を作成・運用する際は、言葉の違いや領収書を紛失した場合の対応、フォーマットの決まりなどで迷う場合があります。
経費精算でよくある3つの疑問について、基本的な考え方を解説します。
- Q1. 「精算書」と「清算書」は何が違いますか?
- Q2. 経費精算に必要な領収書を紛失した場合はどうすれば良いですか?
- Q3. 経費精算書に決まったフォーマットはありますか?
Q1. 「精算書」と「清算書」は何が違いますか?
A.「精算」と「清算」はどちらも「せいさん」と読みますが、意味が異なります。経費の払い戻しや金額の過不足を調整する書類では、一般的に「精算書」を使用します。「精算」は、金額を細かく計算して過不足を調整する場面で使われる言葉です。
一方、「清算」は、債権・債務などの関係を整理して決着させる意味で使われます。会社の解散に伴う「清算」も代表例です。経費に関する社内書類では、一般に「清算書」は使わず、「経費精算書」「立替経費精算書」などと表記すると用途を明確にできます。
Q2. 経費精算に必要な領収書を紛失した場合はどうすれば良いですか?
A.まずは、従業員に発行元へ再発行できるか確認してもらいます。ただし、発行元から再発行に応じてもらえない場合もあります。再発行が難しい場合は、クレジットカードの利用明細、購入履歴、交通系ICカードの利用履歴などの代替資料で、支払いの事実と内容を確認できるか判断します。
このとき、社内で精算を認めるかどうかと、消費税の仕入税額控除を受けられるかどうかは分けて考えます。
代替資料は適格請求書等の代わりになるとは限らず、3万円未満の公共交通機関による旅客の運送や、通常必要と認められる出張旅費等の特例に該当しない取引では、仕入税額控除を受けられない可能性があります。その取引が帳簿のみの保存で仕入税額控除を受けられる特例に該当するかを確認し、処理方法を決めましょう。
Q3. 経費精算書に決まったフォーマットはありますか?
A.経費精算書そのものに、全企業共通の決まった様式はありません。Excelなどの表計算ソフトでテンプレートを作成したり、経費精算システムの申請フォームを利用したりできます。
ただし、形式が自由でも、申請や会計処理に必要な情報を省略してよいわけではありません。主な記載項目を踏まえ、自社の経理処理と証憑確認に必要な項目を過不足なく設定しましょう。
6.まとめ|経費精算書の基本を押さえて、正しく管理・処理しよう
経費精算書は、業務上発生した支出の内容を会社へ申請し、払い戻しや仮払金の精算、会計処理につなげるための書類です。立替経費、交通費、出張旅費、仮払金など、支出の内容や精算方法に応じた書類を使い分けましょう。
適切な運用には、必要事項を正確に記載するだけでなく、領収書などの証憑を適切に管理する仕組みも欠かせません。申請期限や承認方法、経費として認める範囲を社内で統一すると、申請者の迷いや経理担当者による差し戻しを減らしやすくなります。手作業の負担が大きい場合は、経費精算システムを活用して業務フローを見直す方法も有効です。
7.経費精算業務を仕組み化する「ハーモス経費」
経費精算の入力や確認、差し戻しに時間がかかっている場合は、経費精算システムによる仕組み化が効果的です。「ハーモス経費」には、申請者・承認者・経理担当者の作業を効率化するための機能が用意されています。
社内ルールの運用を支える、ハーモス経費の強み
ハーモス経費は、経費精算に伴う手入力や確認作業を減らすための機能を備えている点が特徴です。
- スマートフォンからの経費申請
- 領収書を読み取るAI-OCR
- 交通系ICカードや法人カードとの連携
- 事前申請額の超過を自動検出する規定違反アラート
- 仕訳データや振込データの作成
- 会計システムとの連携
- 電子帳簿保存法・インボイス制度への対応
交通費や領収書の情報を取り込み、申請から会計処理までの手入力を減らせるため、申請者だけでなく承認者や経理担当者の負担軽減にもつながります。自社の社内規程に沿った経費精算フローを構築したい場合にも活用できます。
8.【無料ダウンロード】ハーモス経費がわかる基本資料3点セット
ハーモス経費の機能や導入イメージを詳しく確認したい方は、「ハーモス経費がわかる基本の資料3点セット」をご活用ください。経費精算システムを比較する際は、現在の業務で負担となっている作業を整理したうえで、自社に必要な機能を確認することが重要です。
申請方法、承認フロー、会計システムとの連携などを確認し、自社の経費精算業務に適しているか検討しましょう。

※本記事は、法令・実務上の一般的な情報提供を目的としており、個別の税務・法律的アドバイスを提供するものではありません。実際の経費精算運用や税務処理にあたっては、自社の経費精算規程や最新の法令・公的情報を確認し、必要に応じて税理士等の専門家へご相談ください。
監修:橋爪 祐典(税理士)
2018年より都内の税理士法人へ勤務し、個人や法人の決算や税務申告まで幅広く従事。
その他、相続税の申告や財務デューデリジェンス等の高度な会計分析まで幅広く対応可能。
会計や税務に関するテーマ全般を得意とする。

















