海外出張の経費精算|為替レート・領収書・消費税の扱いと仕訳例を解説
2026.10.16


この記事のポイント
- 海外出張の経費精算では、業務上必要な支出かを確認し、自社の旅費規程・経費精算規程に沿って処理する。
- 外貨で支払った経費は、自社で定めた換算ルールに従い、領収書・利用明細を確認して円換算額を算出する。
- 国外取引と国内取引では消費税区分が異なるため、経理担当者は証憑や取引内容を確認して適切に処理する。
海外出張の経費精算で、どの為替レートを使うべきか、外国語の領収書をどう処理すればよいか迷う経理担当者もいるでしょう。
また、現地の交通費や宿泊費・チップ・海外利用手数料などは、支出内容によって精算方法や消費税区分が異なります。自社の旅費規程や経費精算規程に沿って処理することが重要です。
本記事では、海外出張の経費申請を確認・処理する経理・バックオフィス担当者に向けて、経費精算できる費用や為替レートと円換算の方法を解説します。領収書・証憑の扱いや消費税区分、仕訳例、差し戻しを防ぐポイントも紹介しているので、自社の経費精算にご活用ください。
1.海外出張の経費精算の基本ルール
海外出張の経費精算では、業務上必要な支出だけを対象とし、自社の旅費規程や経費精算規程に沿って申請するのが基本です。国内出張と異なり、外貨の円換算や外国語の領収書、海外で支払った費用の消費税区分なども確認する必要があります。
海外出張の経費精算では、主に以下の5つを押さえておきましょう。
- 経費にできる範囲を確認する
→航空券・宿泊費・現地交通費など、業務上必要な支出か確認する - 外貨を日本円へ換算する
→自社規程に従い、為替レートや基準日、カード会社の円換算額などを確認する - 領収書・証憑を確認する
→領収書やカード利用明細、両替計算書など、支出内容を確認できる資料がそろっているか確認する - 消費税区分・勘定科目を確認する
→国内取引・国外取引などを区別し、支出内容に応じた方法で処理する - 申請内容と自社規程を照合する
→日当やチップ、私用分、申請期限などが自社規程に沿っているか確認する
たとえば、海外のホテルで200米ドルをカード払いした場合、まず業務上必要な宿泊費であることを確認します。経理担当者はカード利用明細と領収書を照合し、日本円の請求額や支出内容も確認しましょう。あわせて、海外で受けた宿泊サービスとして適切な消費税区分で処理する必要があります。
このように、海外出張の経費精算では「経費として申請できるか」だけでなく、「いくらで申請するか」「何を証憑として残すか」も確認します。さらに、「どのように会計処理するか」まで確認することが大切です。
2.海外出張で経費精算できる費用・できない費用
海外出張で経費精算できるのは、原則として業務上必要な支出です。航空券や宿泊費、現地交通費などは業務上必要であれば精算できますが、本人の食事代やチップなどは自社の規程によって取り扱いが異なります。
一方、観光や個人的な買い物など、業務と関係のない支出は経費精算できません。主な費用の取り扱いは、以下のとおりです。
| 費用の種類 | 経費精算 | 判断のポイント |
|---|---|---|
| 航空券・宿泊費・現地交通費・通信費 | 原則対象 | 出張・業務に必要かどうか |
| ビザ取得費・海外旅行保険料などの渡航準備費 | 原則対象 | 出張に必要な取得費用か |
| 食事代・接待費・チップ・カード手数料 | 条件による | 業務上必要な支払いか |
| 海外出張の日当 | 条件による | 旅費規程の支給条件を満たしているか |
| 観光や買い物など私用にかかる費用 | 原則対象外 | 業務との関連性があるか |
実際に精算できる範囲や上限額は企業によって異なります。経理担当者は、自社の旅費規程や経費精算規程と申請内容を照合して確認しましょう。
航空券・宿泊費・現地交通費・通信費
航空券や宿泊費、現地交通費、通信費は、海外出張に必要な支出であれば原則として経費精算の対象です。
たとえば、以下のような費用が挙げられます。
- 出張先までの航空券
- 出張期間中のホテル代
- 現地の鉄道・バス・タクシー代
- 業務上必要なレンタカー代
- 海外用Wi-Fiや通信サービスの利用料
ただし、同じ交通費や宿泊費でも、私用で延泊したホテル代や観光のために利用した交通費などは対象になりません。
経理担当者は、領収書や予約明細、利用明細などを確認し、申請された費用が出張期間や業務目的と対応しているかを確認しましょう。必要な証憑については、出張前に従業員へ周知しておくと申請時の不足を防ぎやすくなります。
ビザ取得費・海外旅行保険料などの渡航準備費
海外出張に必要なビザの取得費用や海外旅行保険料なども、会社が必要と認めた範囲で経費精算の対象となります。
たとえば、以下のような費用です。
- ビザ・査証の申請料
- ビザ取得に必要な手数料
- 会社の指示で加入する海外旅行保険料
一方、会社指定の海外旅行保険に加えて、従業員の希望で補償内容を追加した場合、その追加分は経費精算の対象外となることがあります。実際の取り扱いは、自社の旅費規程や経費精算規程の確認が欠かせません。
経理担当者は、ビザ取得費や保険料のうち会社が負担する範囲を規程で明確にし、申請内容と照合して処理しましょう。
食事代・接待費・チップ・カード手数料
食事代や接待費、チップ、カード手数料は、一律に経費精算できるわけではなく、支出の目的や自社の規程に応じて判断します。
| 支出 | 経費精算の判断基準 |
|---|---|
| 本人の食事代 | 実費精算するか、日当に含めるかなど自社規程を確認する |
| 取引先との会食費 | 業務上必要な会食か確認する |
| チップ | 業務上必要な支払いか確認する |
| カード手数料 | 業務上のカード利用に伴う費用か確認する |
たとえば、取引先との会食は業務上必要であれば経費として処理できる場合がありますが、出張者本人の通常の食事代は、本人負担とする企業や日当に含める企業もあります。
チップなど領収書が発行されない支出については、支払日・金額・通貨・用途などが記録されているか確認します。カード利用明細など支払いを確認できる資料がある場合は、申請内容とあわせて確認しましょう。必要な記録項目をあらかじめ出張者へ周知しておくことも重要です。
海外出張の日当
海外出張の日当は、自社の旅費規程で定められた支給条件を満たす場合に支給されます。
日当は、出張に伴う細かな費用などを補うため、実費ではなく一定額を支給する仕組みです。そのため、交通費や宿泊費などを領収書に基づいて精算する方法とは異なります。
企業によっては、以下のような条件によって支給額を定めています。
- 出張日数
- 出張先の国・地域
- 役職
- 宿泊の有無
日当の支給条件や金額に一律の基準があるわけではありません。経理担当者は、自社の旅費規程で対象となる日数や支給額を確認し、申請された出張期間や条件と照合して処理しましょう。
観光や買い物など私用にかかる費用
観光や個人的な買い物など、業務と関係のない支出は経費精算できません。
たとえば、以下のような費用は原則として本人負担です。
- 私用による観光施設の入場料
- 観光や個人的な外出にかかった交通費
- 個人的な買い物や土産代
- 私用のために延泊した分の宿泊費
海外出張に休暇を組み合わせる場合は、業務上の支出と私用の支出を分けて管理する必要があります。出張終了後に2日間滞在して観光した場合、出張業務に必要な費用と、観光のために追加で発生した宿泊費や交通費を区分します。
経理担当者は領収書や利用明細、出張日程などを確認し、業務分と私用分が適切に区分されているかを確認しましょう。休暇を組み合わせる出張については、会社負担となる範囲をあらかじめ社内規程で定めておくと判断しやすくなります。
3.海外出張の経費精算で使う為替レートと円換算の方法
海外出張で外貨を使い、日本円で経費精算する場合は、外貨建ての支出を円換算する必要があります。従業員への精算額については、実際の両替レートやカード会社の円換算額など、自社規程で定めた方法に従って処理します。
使用する為替レートや基準日によって円換算額が変わるため、申請者がそれぞれの判断でレートを選ぶのではなく、自社で換算ルールを統一しておくことが大切です。ここでは、海外出張の経費精算で使用する為替レートの考え方と、現金・カードで支払った場合の円換算方法を具体例とともに解説します。
1. 適用する為替レートは社内規程で統一する
海外出張の経費精算では、どの為替レートを使用するかだけでなく、どの日付を基準にするかも社内規程で定めておきましょう。
たとえば、100米ドルの経費を円換算する場合、1米ドル=145円なら14,500円、150円なら15,000円です。適用するレートによって500円の差が生じます。
現金払いでは実際に両替した際のレート、カード払いではカード会社が確定した日本円の請求額を使用するなど、支払方法によって換算方法を分けることもあります。
「どのレートを使うか」「いつのレートを使うか」をあらかじめ決め、申請者と経理担当者が同じ基準で処理できるようにしておきましょう。
2. TTM・TTS・TTBの違い
外貨建取引の円換算では、税務上、原則として取引日のTTMを用いる考え方があります。一方、従業員への経費精算では、実際の両替レートやカード会社の円換算額を用いるなど、企業ごとに運用ルールを定める場合があります。
| 種類 | 意味 | 主な位置づけ |
|---|---|---|
| TTM (Telegraphic Transfer Middle Rate) | 金融機関が基準として公表する仲値 | TTS・TTBを決める基準となるレート |
| TTS (Telegraphic Transfer Selling Rate) | 金融機関が顧客に外貨を売る際のレート | 円を外貨へ交換する際などに使用 |
| TTB (Telegraphic Transfer Buying Rate) | 金融機関が顧客から外貨を買う際のレート | 外貨を円へ交換する際などに使用 |
たとえば、ある日の為替レートが以下の場合、同じ100米ドルでも、それぞれ日本円に換算した際の金額が異なります。
| 種類 | 1米ドルのレート | 100米ドルの換算額 |
|---|---|---|
| TTM | 150円 | 15,000円 |
| TTS | 151円 | 15,100円 |
| TTB | 149円 | 14,900円 |
このように、使用するレートによって精算額が変わります。経理担当者は、申請者ごとに異なるレートが使用されないよう、適用する為替レートや基準日を社内規程で定め、統一した基準で処理しましょう。
3. 現金払いを日本円へ換算する方法
海外で現金払いした経費は、実際に外貨へ両替した際のレートや、自社規程で定めた為替レートを使って日本円へ換算します。
仮に、1米ドル=150円で両替した現金から、現地のタクシー代として50米ドルを支払ったケースでは、以下のとおりです。
50米ドル×150円=7,500円
この場合、タクシー代の円換算額は7,500円です。
実際の両替レートを使用する場合は、適用されたレートを確認できる資料を保存しておきましょう。
なお、両替計算書がない場合や複数回に分けて両替した場合の換算方法は、企業によって異なるため、自社規程で定めた方法に沿って処理しましょう。
4. カード払いを日本円へ換算する方法
海外でクレジットカードを利用した場合は、カード会社の利用明細に記載された日本円の請求額を確認して精算する方法があります。
たとえば、現地のホテルで200米ドルをカード払いし、カード会社の利用明細に31,000円と記載されていた場合は、31,000円を精算額として使用します。
| 確認する資料 | 確認内容 |
|---|---|
| ホテルの領収書 | 200米ドル |
| カード利用明細 | 31,000円 |
| 経費精算に使用する金額 | 31,000円 |
カード会社による円換算では、所定の換算レートや海外利用に伴う手数料などが反映されます。そのため、支払日のTTMなどで計算した金額とは一致しない場合があります。
そのため、現地で受け取った領収書だけでなく、カード利用明細も保存しておきましょう。実際に使用する円換算額や海外利用手数料の処理は、自社の経費精算規程に沿って確認することが大切です。
4.海外出張の領収書・証憑を処理する5つの方法
海外出張では、外国語の領収書を受け取ったり、チップなど領収書が発行されない支払いが発生したりすることがあります。経費精算で支出内容を確認できるよう、領収書だけでなく、支払日・金額・通貨・支払先・用途などの情報を記録しておくことが大切です。
ここでは、海外出張で発生する領収書や証憑を適切に処理する5つの方法を解説します。
1. 外国語の領収書には支払目的や内容を記録する
外国語の領収書では支出内容を判断しにくい場合があるため、経理担当者は用途や参加者など、精算に必要な情報が申請時に補足されているか確認しましょう。
たとえば、現地のレストランで取引先と会食した場合は、領収書とあわせて以下の情報を確認してください。
| 項目 | 具体的な情報 |
|---|---|
| 支払日 | 2026年9月5日 |
| 金額・通貨 | 120米ドル |
| 支払先 | ABC Restaurant |
| 用途 | 取引先との会食 |
| 参加者 | 自社2名・取引先2名 |
必要な記録項目は自社の経費精算規程によって異なります。外国語の領収書については、用途などを利用時に記録することや、必要に応じて撮影しておくことを出張者へ周知しておくことで、帰国後の確認や申請がスムーズになります。
2. 外貨両替の計算書・ATM利用明細を保存する
現金を外貨へ両替した場合は両替計算書、海外ATMから現地通貨を引き出した場合はATM利用明細などを確認します。
これらの書類から、主に以下の情報を確認できます。
- 両替・引き出しをした日
- 外貨の金額
- 支払った日本円
- 適用された為替レート
- 手数料
実際の両替レートを使って円換算する場合は、適用されたレートを確認するための資料になります。
紙の計算書や利用明細は紛失する可能性があるため、受け取った時点で撮影しておくよう、出張者に伝えておきましょう。
3. 領収書がない場合や紛失した場合は支払記録を残す
領収書が発行されない場合や紛失した場合は、支払日・金額・通貨・支払先・用途などをチェックし、支払いの内容を確認できるようにしておきましょう。
たとえば、米国出張中にホテルのポーターへ現金で10米ドルのチップを支払い、領収書が発行されなかった場合は、以下のような情報が必要です。
| 項目 | 具体的な情報 |
|---|---|
| 支払日 | 2026年9月8日 |
| 支払場所 | 米国・ニューヨーク |
| 金額・通貨 | 10米ドル |
| 支払先 | 宿泊先ホテルのポーター |
| 支払内容 | 荷物運搬に対するチップ |
| 業務上の用途 | 海外出張に伴う宿泊時の支払い |
| 支払方法 | 現金 |
| 領収書がない理由 | チップのため発行なし |
また、ホテル代や交通費などの領収書を紛失した場合は、カード利用明細や予約履歴など、支払いを確認できる資料が残っていないか確認します。領収書がない場合の精算方法や必要な書類は企業によって異なります。
経理担当者は、自社の経費精算規程に基づき、領収書がない場合に認める代替証憑や申請方法を確認して処理しましょう。あわせて、必要な記録項目を出張者へ周知しておくことも欠かせません。
4. カード払いでは領収書と利用明細を照合する
海外でカード払いをした場合は、現地で受け取った領収書とカード会社の利用明細を照合します。それぞれ確認できる情報が異なるためです。
| 確認する資料 | チェックする内容 |
|---|---|
| 現地の領収書 | 利用内容、現地通貨での支払額など |
| カード利用明細 | 日本円の請求額、海外利用に伴う手数料など |
たとえば、領収書に「100米ドル」、カード利用明細に「15,000円」と記載されている場合は、両者が同じ支払いであることを確認しましょう。
領収書とカード利用明細を照合することで、金額の入力ミスや同じ経費の二重申請を防ぎやすくなります。利用日や店舗名の表記が異なる場合もあるため、現地で用途を記録しておくよう、出張者への周知も欠かせません。
5. 電子で受領した領収書は電子データで保存する
メールやWebサイトなどを通じて電子データで受領した領収書は、電子帳簿保存法に定められた要件に従い、電子データのまま保存する必要があります。
たとえば、以下のような証憑が該当します。
- Webサイトからダウンロードした航空券の領収書
- ホテルの予約サイトから取得した電子領収書
- メールに添付されたPDF形式の領収書
電子取引に該当する領収書は、紙に印刷して保存するだけではなく、受領した電子データを適切に保存しましょう。
海外出張では、紙の領収書と電子領収書が混在することもあります。どの証憑がどの経費申請に対応しているのか確認できるよう、自社で定めたルールに沿って管理することが大切です。
5.海外出張費の消費税区分と仕訳例
海外出張費は、支払い場所やサービスの内容によって、日本の消費税の取り扱いが異なります。また、現金やカードによる立替払い、仮払いなど、支払方法によって仕訳も変わります。
ここでは、具体的な金額を用いながら、海外出張費の消費税区分と仕訳方法をケース別に解説するので、経費精算の際の参考にしてください。
現地の宿泊費・交通費・飲食代の消費税区分
海外のホテル代や現地交通費、現地での飲食代は、原則として日本の消費税がかかる国内取引には該当しません。
たとえば、海外出張で現地のホテルに30,000円、タクシーに5,000円、飲食店に4,000円を支払った場合は、以下のように取り扱います。
| 支出の例 | 支払額 | 日本の消費税の取り扱い |
|---|---|---|
| 海外ホテルの宿泊費 | 30,000円 | 原則として国外取引 |
| 海外のタクシー代 | 5,000円 | 原則として国外取引 |
| 海外の飲食店での食事代 | 4,000円 | 原則として国外取引 |
現地で税金が加算されていても、日本の消費税ではありません。会計システムへ登録する際は、日本円への換算と消費税区分をそれぞれ確認し、自社で設定した国外取引の区分を使用しましょう。
国際線航空券・国内移動費の消費税区分
国際線航空券と国内移動費は、同じ海外出張で発生した費用でも消費税の取り扱いが異なります。
たとえば、国際線航空券に150,000円、国内の空港までの鉄道代に2,000円を支払った場合の区分は、以下のとおりです。
| 支出の例 | 支払額 | 日本の消費税の取り扱い |
|---|---|---|
| 国際線航空券 | 150,000円 | 原則として免税 |
| 国内空港までの鉄道代 | 2,000円 | 原則として課税 |
国際旅客運送は、一定の要件を満たす場合、消費税が免税となります。一方、日本国内で提供される鉄道やタクシーなどの交通サービスは、原則として課税対象です。
なお、航空券には運賃以外の料金や税金、手数料などが含まれる場合があります。予約明細の内訳を確認し、海外出張にかかった費用を一律に同じ消費税区分で処理しないようにしましょう。
海外出張の日当の消費税区分
海外出張のために従業員へ支給する日当は、原則として国内の課税仕入れには該当しません。
たとえば、自社の旅費規程に基づいて海外出張の日当を1日5,000円と定め、3日分の15,000円を支給した場合は、以下のように取り扱います。
| 支出の例 | 支給額 | 日本の消費税の取り扱い |
|---|---|---|
| 海外出張の日当(5,000円×3日) | 15,000円 | 原則として課税仕入れに該当しない |
一方、国内出張の日当は、通常必要と認められる範囲で課税仕入れとなる場合があります。国内出張と海外出張では取り扱いが異なるため、出張先を確認したうえで適切な消費税区分を使用しましょう。
※上記の5,000円は仕組みを説明するための例であり、日当の適正額や一律の基準額を示すものではありません。
現金・カードで支払った場合の仕訳例
従業員が海外出張費を現金や個人カードで立て替えた場合は、円換算した金額を旅費交通費などに計上し、従業員への支払額を未払金として処理する方法があります。
たとえば、海外出張中に従業員が個人カードでタクシーを利用し、カード会社からの請求額が5,000円だった場合は、以下のように仕訳します。
【個人カードで支払ったとき】
| 日付 | 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|---|
| 4月1日 | 旅費交通費 | 5,000円 | 未払金 | 5,000円 | 海外出張タクシー代 |
【従業員へ精算したとき】
| 日付 | 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|---|
| 4月10日 | 未払金 | 5,000円 | 普通預金 | 5,000円 | 海外出張費精算 |
個人カードで支払った場合は、カード会社の利用明細に記載された円換算額を確認します。実際に使用する勘定科目や計上するタイミングは、自社の会計ルールに沿って統一しましょう。
仮払金を支給して帰国後に精算した場合の仕訳例
出張前に現金を渡した場合は、支給時に仮払金として処理し、帰国後に実際に使用した金額を費用へ振り替えます。
たとえば、海外出張前に50,000円を仮払いし、現地交通費として45,000円を使用して、残った5,000円を会社へ返金した場合の仕訳は、以下のとおりです。
【出張前に仮払いしたとき】
| 日付 | 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|---|
| 4月1日 | 仮払金 | 50,000円 | 現金 | 50,000円 | 海外出張費仮払い |
【帰国後に精算したとき】
| 日付 | 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|---|
| 4月10日 | 旅費交通費 | 45,000円 | 仮払金 | 50,000円 | 海外出張費精算(残額5,000円返金) |
| 現金 | 5,000円 |
実際には、交通費や宿泊費など支出内容に応じて適切な勘定科目へ振り替えます。外貨で仮払いする場合は、支給時や精算時に使用する為替レートの基準もあらかじめ定めておきましょう。
チップ・カード手数料の仕訳例
業務上必要なチップや海外利用に伴うカード手数料は、支出の性質に応じた勘定科目で処理します。
たとえば、海外で利用したタクシー代4,000円とチップ500円を、いずれも旅費交通費として処理する場合は以下のとおりです。
| 日付 | 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|---|
| 4月1日 | 旅費交通費 | 4,500円 | 現金・未払金など | 4,500円 | 海外出張タクシー代・チップ(500円) |
また、海外利用に伴うカード手数料500円を支払手数料として処理する場合の仕訳は、以下のとおりです。
| 日付 | 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|---|
| 4月1日 | 支払手数料 | 500円 | 未払金 | 500円 | 海外利用カード手数料 |
チップやカード手数料に使用する勘定科目は企業によって異なります。同じ性質の支出は、自社の経理ルールに沿って継続して同じ方法で処理しましょう。
為替差損益が生じた場合の仕訳例
外貨建ての債権・債務などを円換算して計上し、決済時に為替レートが変動していた場合は、帳簿上の金額と実際の決済額との差額を為替差損益として処理します。
たとえば、4月1日から4月5日まで海外出張に行き、出張中に発生した費用を4月5日時点で100,000円の未払金として計上したとします。その後、4月30日の決済時の円換算額が102,000円になった場合は、差額2,000円を為替差損として処理します。
| 日付 | 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|---|
| 4月30日 | 未払金 | 100,000円 | 普通預金 | 102,000円 | 海外出張費(外貨建て未払金)決済 |
| 為替差損 | 2,000円 |
一方で、決済時の円換算額が帳簿上の未払金より少なくなった場合は、差額を為替差益として処理します。
なお、個人カードによる立替経費をカード会社が確定した円換算額で計上する場合など、為替差損益が生じないケースもあります。為替差損益を計上する条件や使用する為替レートは、自社の会計方針に沿って確認しましょう。
6.海外出張の経費精算で差し戻しを防ぐチェックリスト
海外出張の経費精算は、出張前・出張中・帰国後に確認する項目を分けておくと、ミスを防ぎやすくなります。状況に合わせて、以下の項目を確認しましょう。
| 【出張前】精算ルールを周知する |
|---|
|
| 【出張中】必要な証憑・支払記録を残すよう周知する |
|---|
|
| 【帰国後】申請内容と証憑を確認する |
|---|
|
経費精算の差し戻しを減らすには、出張者が確認するだけでなく、企業側で申請方法や承認フロー、証憑の取り扱いなどをあらかじめルール化しておくことも大切です。経費精算ルールに盛り込む項目や運用方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
7.海外出張の経費精算に関するよくある質問(FAQ)
海外出張の経費精算では、為替レートの選び方や海外の領収書、複数通貨の換算などで判断に迷うことがあります。
ここでは、海外出張の経費精算でよくある4つの質問にわかりやすく回答します。
- Q1. 外貨両替の計算書を紛失した場合はどのレートで精算する?
- Q2. 海外の領収書に宛名がなくても経費精算できる?
- Q3. 複数の通貨で支払った費用はどのように円換算する?
- Q4. 仮払いした外貨が余った場合はどのように精算する?
Q1. 外貨両替の計算書を紛失した場合はどのレートで精算する?
A.外貨両替の計算書を紛失した場合は、自己判断でレートを選ばず、自社で定めた換算ルールに従って精算します。
たとえば、支払日などを基準日として、会社指定の為替レートを使用する方法があります。適用するレートや基準日は企業によって異なります。
経理担当者は、自社規程で定めた代替レートや基準日に沿って処理します。ATM利用明細や口座履歴など、両替の事実を確認できる資料があれば、申請内容とあわせて確認しましょう。
Q2. 海外の領収書に宛名がなくても経費精算できる?
A.海外の領収書に宛名がなくても、支出内容や業務との関連性を確認できれば、経費精算できる場合があります。
海外では日本と領収書の様式が異なり、宛名欄がないレシートもあります。そのため、経理担当者は、支払日・金額・通貨・支払先・購入内容に加え、申請された用途から業務との関連性を確認しましょう。
カード利用明細や予約履歴などもあわせて保存し、最終的には自社の経費精算規程に沿って処理します。
Q3. 複数の通貨で支払った費用はどのように円換算する?
A.複数の通貨で支払った経費は、米ドルやユーロなど通貨ごとに、自社で定めた為替レートを適用して日本円へ換算します。
現金払いでは各通貨の両替記録や会社指定のレート、カード払いではカード会社の利用明細に記載された日本円の請求額を使用する方法があります。
換算方法を統一するため、使用する為替レートや基準日をあらかじめ社内規程で定めておきましょう。
Q4. 仮払いした外貨が余った場合はどのように精算する?
A.仮払いした外貨が余った場合は、未使用分を会社へ返却し、実際に使用した金額との差額を精算するのが一般的です。
外貨のまま返却するか、日本円へ再両替して返却するかは、企業のルールによって異なります。再両替する場合は、当初とは異なる為替レートや手数料が適用されることもあります。
経理担当者は、自社規程に沿って返却方法や換算方法を確認し、両替計算書や返金記録と照合して仮払金の残高を解消しましょう。
8.まとめ|海外出張の経費精算ルールを理解して正しく処理しましょう
海外出張の経費精算では、経費として認められる範囲だけでなく、為替レートや領収書・利用明細、消費税区分などを確認する必要があります。
外貨で支払った費用は、現金・カードなど支払方法によって円換算の方法が異なります。そのため、自社の旅費規程や経費精算規程で、適用するレートや必要な証憑、申請方法をあらかじめ定めておくことが大切です。
また、海外出張では領収書の形式や通貨が異なるため、帰国後にまとめて確認すると申請や経理処理の負担が大きくなります。経理担当者は、支払日・金額・通貨・用途などの必要な記録項目や証憑を出張前に周知しておくと、帰国後の確認や差し戻しを減らしやすくなります。
9.海外出張の経費精算を効率化するならハーモス経費
海外出張では、外貨で支払った経費の円換算や複数通貨の処理など、国内出張にはない経費精算業務が発生します。
「ハーモス経費」は、海外出張・外貨/多通貨の経費精算に対応しています。あらかじめ通貨ごとの為替レートや適用期間を設定しておけば、外貨で入力した金額を自動で円換算できるため、申請時の計算作業を減らすことが可能です。
さらに、精算書の明細ごとに異なる通貨や為替レートを設定できるため、複数の国にまたがる海外出張でも1枚の精算書で処理できます。海外出張に伴う外貨の換算や経費申請の負担を軽減したい場合は、ぜひハーモス経費の資料をご覧ください。
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※本記事は、法令・実務上の一般的な情報提供を目的としており、個別の税務・法律的アドバイスを提供するものではありません。実際の経費精算運用や税務処理にあたっては、自社の経費精算規程や最新の法令・公的情報を確認し、必要に応じて税理士等の専門家へご相談ください。
監修:橋爪 祐典(税理士)
2018年より都内の税理士法人へ勤務し、個人や法人の決算や税務申告まで幅広く従事。
その他、相続税の申告や財務デューデリジェンス等の高度な会計分析まで幅広く対応可能。
会計や税務に関するテーマ全般を得意とする。

















