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オフィスに溜まった古いタイムカードの処分にお困りの方に向けた記事です。
法律で定められた保存期間がわからず、いつ捨ててよいか迷う方は多いと考えられます。
この記事では、タイムカードの正しい保存期間と起算日の考え方を詳しく解説します。
読み終わると、法律を遵守しつつ不要なタイムカードを安心して破棄し、管理業務の無駄を省けるようになります。
タイムカードの保存期間は原則5年
タイムカードは従業員の労働時間を客観的に記録する書類であり、一定期間の保存が法律で義務付けられています。
どれくらいの期間残しておけばよいのか、迷った経験をお持ちではないでしょうか。
現在のルールでは、タイムカードの保存期間は原則として5年です。
ここでは、法律の改正内容や例外的なケースを含めて、正確な保存期間を解説します。
| 保存期間の目安 | 適用される具体的なケース | 根拠となる主な法律 |
| 原則5年間 | すべての企業で記録されるタイムカード、出勤簿、賃金台帳等 | 労働基準法第109条 |
| 当面の間は3年間 | 労働基準法上5年間保存とされる書類について、法律の経過措置として現在実務上認められている保存期間 | 労働基準法第143条 |
| 7年間 | 賃金台帳を税法上の源泉徴収簿として兼用している場合 | 法人税法など |
法改正により5年へ延長された
タイムカードや出勤簿といった労働関係の重要な書類は、かつては3年間の保管が義務付けられていました。
しかし、労働基準法の改正が行われ、2020年4月1日以降の記録については保管期間が5年に延長された背景があります。
この変更には、未払い賃金などの請求権の時効が延長されたことが深く関係しています。
使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない。
もし従業員から過去の残業代を請求された際に、企業側に記録が残っていなければ事実関係を確認できません。
そのため、給与計算の基礎となるタイムカードを5年間保管することで、企業は万が一の際、適切に対応できるようになります。
古いルールである3年のままで認識が止まっていないか、いま一度確認しておくことをおすすめします。
監修者コメント
混同されがちですが、タイムカードと出勤簿は別物です。
・タイムカード:従業員の出退勤時刻の記録
・出勤簿:会社が従業員の勤怠を把握・管理するための記録
タイムカードが出勤簿として認められるためには、氏名、始業・終業時刻、労働日数、労働時間、休日、休憩時間等の所定項目が記載されている必要があります。クラウド勤怠システムを導入すると、従業員の登録情報や日々の打刻から出勤簿が自動的に生成されるのでお勧めです。
経過措置として当面の間は3年となる
法律上の原則は5年に延長されましたが、実務上は当面の間3年間の保存でも問題ありません。
企業がいきなり5年分の記録を管理するのは負担が大きいため、法律の付則によって経過措置が設けられているからです。
第百九条の規定の適用については、当分の間、同条中「五年間」とあるのは、「三年間」とする。
つまり、今すぐ5年分をさかのぼって用意できなくても、直近3年分が適切に保存されていれば労働基準法違反には問われない仕組みです。
とはいえ、この経過措置はいずれ終了し、正式に5年間の運用へと一本化される見込みとなっています。
将来的な変更を見据えて、今のうちから5年間保存できる体制や保管スペースの確保を進めておくのが安心と言えるでしょう。
税法上の帳簿と兼ねる場合は7年になる
労働基準法だけでなく、税法の観点からも保存期間に気を配る必要があります。
状況によっては、タイムカードを7年間保存しなければならないケースが存在するからです。
具体的には、企業が源泉徴収簿を単独で作成せず、賃金台帳と兼用している場合がこれに該当します。
源泉徴収簿などの税務関係の書類は、法人税法や所得税法によって7年間の保存が求められるルールです。
そのため、賃金台帳を作成するための基礎資料であるタイムカードも、実質的に7年間の保存が必要になると解釈されることがあります。
税務調査が入った際、根拠となる書類が不足していると指導を受ける可能性が高まります。
自社がどのような帳簿の運用をしているかによって必要な期間が変わるため、不安な方は顧問税理士などに確認してみてください。
タイムカードを長期間保存する理由
そもそも、なぜこれほど長期間にわたってタイムカードを保存する必要があるのでしょうか。
主な理由は法的義務とトラブル防止にあります。
労働基準法で義務付けられている
大きな理由は、法律で定められた企業の義務だからです。
労働者の権利を守るため、正確な労働時間の把握が求められます。
企業は従業員の「健康確保」と「賃金の適正支払」対する責任を負っており、その根拠となるのがタイムカードの記録です。
法律の定めに従い記録を残すことは、健全な労務管理の土台となります。
労基署の立ち入り調査に対応する
労働基準監督署の調査が入った際、従業員の労働時間を証明する客観的な資料としてタイムカードの提示を求められます。
日頃から整理して保存していないと、調査に協力的ではないとみなされます。
たとえば、長時間労働の疑いで調査が入ったときに記録がないと、企業の管理体制が厳しく問われることになります。
速やかに正しい記録を提示できるように準備しておくことが、労基署の立ち入り調査に対する企業の基本姿勢となります。
監修者コメント
労働基準監督署の立ち入り調査を「臨検」と言います。臨検には、従業員等からの通報による「申告監督」や労災事故発生に際して行われる「災害時監督」の他、管轄企業を対象に定期に実施される「定期監督」があり、いずれの企業も対象となる可能性があります。
従業員との労務トラブルを防ぐ
未払い残業代の請求などがあった場合に、企業側が適正な支払いをしていることを証明する証拠となります。
記憶や証言だけでは、裁判や交渉の場で説得力がありません。
もし従業員が個人的につけていたメモを証拠として提出してきた場合、企業側に客観的なタイムカードや出勤簿がなければ従業員の主張が通りやすくなります。
労使トラブルの迅速な解決を図るためにも記録の保存は欠かせません。
【関連記事】突然の未払い残業代請求!?賃金台帳やタイムカードの保存期間の起算日とは? - 労務ジャーナル
タイムカードの保存期間の数え方
保存期間の年数がわかっても、いつから数え始めるのかを間違えると法令違反になるリスクがあります。
起算日の正しい数え方を、従業員の働き方ごとに確認しておきましょう。
| 従業員の状況 | 起算日(いつから数え始めるか) | 具体的なタイミングの例 |
| 一般的な従業員 | 記録の基礎となった最後の給与支払日 | 5月分の給与が6月25日に支払われる場合は「6月25日」 |
| 派遣社員 | 労働者派遣の終了日 | 派遣契約が終了し、最後に就業した日 |
最後の給与支払日から起算する
労働基準法施行規則により、タイムカードの起算日は最後の給与支払日とされています。
毎月の締め日ではなく、実際に給与が支払われた日が保存期間の開始日となります。
記録の基礎となつた最後の支払の期日
出典:e-Gov法令検索「労働基準法施行規則第56条」
たとえば、月末締めの翌月25日払いの会社で、5月分のタイムカードを保存するとします。
この場合、起算日は5月31日ではなく、給与が支払われる6月25日になるというわけです。
起算日を誤ると、本来破棄してはいけない期間のカードを捨ててしまう可能性があるため注意してください。
派遣社員は契約終了日とする
派遣社員の場合は、給与支払日ではなく派遣契約が終了した日から起算します。
派遣先企業は直接給与を支払っているわけではないため、起算日の考え方が異なります。
たとえば、半年間の派遣契約が9月30日に満了したとします。
このケースでは、9月30日を起算日として3年間(原則5年間)の保存義務が生じます。
自社の直接雇用の従業員とは考え方が違うため、管理を混同しないようにすることが大切です。
タイムカードの保存ルールを破った場合の罰則
もし保存期間を守らずにタイムカードを破棄してしまった場合、企業にはどのようなリスクがあるのでしょうか。
単なる書類の紛失では済まされない重大な影響があります。
| ルール違反によるリスク | 発生する可能性のあるペナルティ | 企業への影響 |
| 罰則の適用 | 30万円以下の罰金 | 刑事罰の対象となり、企業名が公表される恐れがある |
| 民事上の不利益 | 未払い残業代の支払い命令 | 従業員側の一方的な計算根拠に基づいた額の支払いが命じられれば、本来支払う必要のない金額まで負担するリスクがある |
30万円以下の罰金が科される
労働基準法第120条の規定により、保存義務に違反した場合は罰則が適用される可能性があります。
悪質な隠蔽や意図的な破棄とみなされた場合、30万円以下の罰金が科される他、是正勧告を無視するなど特に悪質と判断された場合には、企業名が公表されることもあります。
次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。(中略)第百九条の規定に違反した者
金額としては大きく見えないかもしれませんが、労働基準法違反による罰則は刑事罰に該当します。
企業の社会的信用を大きく損なう原因となるため、安易な破棄は避けるべきです。
未払い残業代請求で不利になる
従業員から残業代を請求された際、企業側にタイムカードがないと非常に不利な立場に立たされます。
反証する材料がないため、従業員の主張が全面的に認められやすくなるからです。
たとえば、従業員が「毎日3時間の残業をしていた」と主張した場合、それを否定する客観的な証拠が存在しません。
結果として、企業は高額な残業代を一括で支払う事態に陥るリスクが高まります。
【動画で確認】勤怠打刻データの保管で労働基準法違反に?!
以下にて、勤怠打刻データの保管において、労働基準法違反になった例について動画で解説いたします。
タイムカードの保存方法
タイムカードを確実に保存するためには、ルールに基づいた整理や管理環境の整備が求められます。
紙で保存する場合とデータで保存する場合の、それぞれの具体的な方法を解説します。
紙の場合は廃棄時期別に整理する
紙のタイムカードを保存する際は、年度ごとではなく廃棄時期ごとにまとめて箱に入れる方法が効果的です。
5年保存のものと7年保存のものが同じ箱に入っていると、廃棄のタイミングで中身を再度確認する手間が発生します。
たとえば、箱の表に「2030年一括廃棄予定」と大きく記載しておくことで、期限が来たときにそのまま処理業者へ渡すことができます。
必要な書類を誤って捨ててしまうリスクも減らせるため、管理部門の負担を大きく軽減できます。
専用のケースで劣化や紛失を防ぐ
紙媒体は湿気や紫外線に弱いため、そのまま放置せず専用のケースやダンボールに入れて保存します。
長期間むき出しのまま置いておくと、印字が薄れて読めなくなる可能性があります。
また、タイムカードを束ねる際に輪ゴムや金属製のクリップを使用することは避けてください。
数年経つとゴムが溶けて紙に張り付いたり、クリップが錆びて書類を傷めたりする原因になるからです。
きれいな状態でいつでも確認できるように、保存環境に気を配ることが大切です。
データ化して検索性を向上させる
紙の管理にかかる手間を省きたい場合は、勤怠管理システムなどを活用したデータ保存が推奨されます。
従業員名や日付を指定するだけで、必要な情報へ即座にアクセスできるようになります。
雇用契約や勤怠記録を電子化してクラウド上に保存しておけば、物理的な保管スペースも必要ありません。
労働基準監督署からの急な開示請求などに対しても、慌てることなく迅速に対応できるようになります。
タイムカードをシステムで保存するメリット
紙での管理に限界を感じる場合、勤怠管理システムを導入して電子データで保存する方法が効果的です。多くの企業がペーパーレス化を進めている理由を見ていきましょう。
データ保存で場所が不要になる
すべての勤怠記録をクラウド上やサーバー内に保存できるため、物理的な保管スペースがまったく不要になります。
パソコンやタブレットの中だけで、何十年分もの記録を安全に保存できます。
段ボールを置くために借りていた外部のトランクルームを解約できれば、毎月の経費削減にもつながります。
スペースの問題から解放されることは、システム化の大きな恩恵です。
過去の勤怠記録を即座に探せる
検索機能を使えば、数年前の特定の従業員の記録であっても数秒で探し出すことが可能です。
システム上で名前や期間を指定するだけで、必要な画面がすぐに表示されます。
労働基準監督署の担当者が来訪した際にも、その場でパソコンの画面を見せながらスマートに対応できます。
探すという無駄な時間をなくすことで、担当者は落ち着いて立ち入り調査に対応できるようになります。
法律の改正に自動で対応できる
クラウド型のシステムであれば、法改正によって保存期間が変わった場合でも自動でアップデートされます。
企業側で難しい設定を変更する手間が省けます。
システムの提供会社が自動で法要件を満たすように調整してくれるため、安心して管理を任せることができます。
不正打刻やデータ改ざんを防ぐ
システムによる打刻は修正履歴が正確に残るため、不正な打刻やデータの改ざんを防ぐことができます。
誰が、いつ、どのように時刻を修正したかがすべて記録されます。
紙のタイムカードでは、手書きで時間を書き直したり、他人が代わりに打刻したりする不正が起きやすいという弱点がありました。
システム化によって客観性が担保されるため、企業としての信頼性向上につながります。
【関連記事】いまさら聞けない?「打刻」をする意味とは - 労務ジャーナル
タイムカードの保存期間を正しく管理してリスクを防ごう
この記事の要点をまとめます。
- タイムカードの労働基準法による保存期間は原則5年です
- 破棄のタイミングを間違えないよう最後の給与支払日から起算します
- 紙の保存による負担を減らすには勤怠管理システムの導入が効果的です
正しい法律の知識を身につけ、適切な勤怠管理で企業のコンプライアンスを高めていきましょう。
また、保存の手間や保管場所を心配しなくてもよくなるように、これを機にぜひクラウド勤怠システムの導入を検討されてはいかがでしょうか?
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