経費精算の領収書、紛失時の対処法3選と不備時の注意点

2026.10.01

経費精算の領収書、紛失時の対処法3選と不備時の注意点

経費精算をしようとして、「領収書を紛失した」「宛名がない」「レシートしか受け取っていない」と気づき、精算できるのか不安になることもあるでしょう。

領収書を紛失しても、支払先への再発行依頼や、請求書・決済履歴などの代替書類によって経費精算できる場合があります。また、宛名などに不備がある領収書やレシートでも、状況に応じた対応が可能です。

本記事では、経費精算で領収書を紛失した場合の3つの対処法を解説します。さらに、領収書・レシートの要件や不備がある場合の対応、支払方法別に必要な証憑、電子帳簿保存法に基づく保存ルールも紹介します。

1.経費精算に領収書は必要?

領収書は、支払いの事実や取引内容を確認するための重要な証憑です。ただし、すべての経費精算で領収書そのものが必要になるわけではなく、取引内容や社内規程によっては代替書類で対応できる場合もあります。

ここでは、経費精算における領収書の必要性について、以下の3つのポイントから解説します。

  • 経費精算で領収書が必要とされる理由
  • 領収書がなくても代替書類で精算できる場合がある
  • 税務上の要件と社内規程を分けて確認する

経費精算で領収書が必要とされる理由

経費精算で領収書が必要とされる主な理由は、支払いの事実と取引内容を客観的に確認するためです。

会社が従業員の立て替えた費用を精算する際には、その支出が実際に発生したものか、業務に必要な支出だったかなどを確認する必要があります。領収書には支払先や日付、金額、取引内容などが記載されているため、経費精算の根拠となる証憑として利用できます。

また、領収書などの証憑を適切に管理することは、経理処理の正確性を保ち、架空申請や二重申請などの不正を防ぐうえでも重要です。そのため、多くの企業では経費精算規程などで領収書の提出ルールを定めています。

領収書がなくても代替書類で精算できる場合がある

領収書を紛失した場合や、そもそも領収書が発行されない取引でも、支払いの事実や取引内容を確認できる別の資料があれば、経費精算できる場合があります。

代替書類としては、以下のようなものが考えられます。

  • クレジットカードの利用明細
  • 請求書
  • 決済履歴
  • 予約サイトの利用・決済履歴
  • 社内規程で認められた支払証明書

ただし、どの書類を代替証憑として認めるかは、企業によって異なります。領収書がない場合は自己判断で申請せず、自社の経費精算規程を確認したうえで、必要に応じて経理担当者へ相談しましょう。

税務上の要件と社内規程を分けて確認する

領収書の取り扱いを判断する際は、税務上のルールと会社の社内規程を分けて確認する必要があります。

税務上のルールと社内規程では、領収書などの証憑を確認する目的やルールが異なります。

確認するルール主な内容
法人税法等法人が作成・受領した帳簿書類について、一定期間の保存が求められる
消費税法仕入税額控除を受けるため、原則として一定の要件を満たす帳簿・請求書等の保存が求められる
社内規程従業員の立替経費を精算する際に必要な証憑や申請方法、申請期限などを定める

社内規程上は経費精算が認められても、消費税の仕入税額控除などに必要な要件を満たすとは限りません。そのため、「従業員へ経費を精算できるか」と「税務上どのように取り扱うか」を分けて確認することが大切です。

経費精算に必要な証憑や申請期限などを社内規程に定める際のポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:経費精算ルールとは?社内規程に盛り込みたい7項目と形骸化を防ぐ運用のコツ

2.経費精算に使える領収書・レシートの要件

経費精算で領収書やレシートを提出する際は、支払いの事実や取引内容を確認できるかチェックすることが大切です。また、消費税の仕入税額控除を受ける場合は、インボイス制度の要件も確認する必要があります。

ここでは、以下の2つに分けて確認ポイントを解説します。

  • 発行者・取引日・金額・取引内容などを確認する
  • 仕入税額控除を受ける場合はインボイスの要件も確認する

発行者・取引日・金額・取引内容などを確認する

経費精算に領収書やレシートを使用する際は、支払いの事実と業務との関連性を確認できる情報が記載されているかチェックしましょう。

主な確認項目は以下のとおりです。

確認項目確認する内容
発行者店舗名や事業者名など、支払先が分かるか
取引日いつ支払ったのか確認できるか
金額支払った金額が正しく記載されているか
取引内容商品・サービスなど、何に支払ったのか確認できるか

これらの情報が不足していると、経費精算の際に支払いの事実や業務との関連性を確認できず、追加の証憑や説明を求められる場合があります。

なお、レシートでも必要な情報を確認できれば、経費精算の証憑として使用できる場合があります。領収書かレシートかという書類の名称だけで判断せず、必要な情報が記載されているか、自社の経費精算規程で認められているかを確認しましょう。

仕入税額控除を受ける場合はインボイスの要件も確認する

消費税の仕入税額控除を受ける場合は、経費精算に必要な情報だけでなく、インボイス制度上の要件も確認する必要があります。

適格請求書(インボイス)には、発行事業者の登録番号や取引年月日、取引内容、税率ごとの対価の額・適用税率・消費税額などの記載が必要です。ただし、小売業や飲食店業、タクシー業などが発行する簡易インボイスでは、宛名を省略できる場合があります。

また、登録番号がない領収書でも、一定の要件を満たせば仕入税額控除の経過措置を適用できる場合があります。領収書の記載内容だけで判断せず、インボイス制度上の要件を確認しましょう。

3.不備がある領収書は経費精算に使える?

領収書に宛名がない、日付や金額が間違っているなどのケースでは、不備の内容によって対応方法が異なります。また、宛名がない領収書でも、税務上は必ずしも不備になるとは限りません。

ここでは、以下の3つのケースに分けて対応方法を解説します。

  • 宛名なし・上様・個人名で発行されている
  • 日付・金額・但し書きに不備がある
  • 受領者による追記・書き換えが必要になった

宛名なし・上様・個人名は社内規程に沿って判断する

宛名がない領収書や「上様」、従業員の個人名で発行された領収書を経費精算に使えるかは、まず自社の経費精算規程を確認しましょう。

また、税務上も宛名がないからといって必ず不備になるわけではなく、簡易インボイスのように宛名を省略できるケースがあります。そのため、「宛名がない=経費精算や仕入税額控除に使えない」と一律に判断するのではなく、以下を分けて確認することが大切です。

  • 経費精算できるか:自社の経費精算規程で認められているか
  • 仕入税額控除に使えるか:適格請求書・適格簡易請求書などの要件を満たしているか

宛名が「上様」や個人名になっている場合も、自己判断せず、自社の経費精算規程や領収書の記載内容を確認したうえで対応しましょう。

日付・金額・但し書きの不備は発行元へ訂正を依頼する

領収書の日付や金額、但し書きなどに誤りや記載漏れがある場合は、受領者が自分で修正せず、発行元へ訂正や再発行を依頼しましょう。

たとえば、以下のようなケースが考えられます。

不備の例対応例
取引日が間違っている発行元へ正しい日付への訂正・再発行を依頼する
支払金額が間違っている実際の支払額を確認し、発行元へ訂正・再発行を依頼する
但し書きが実際の取引内容と異なる発行元へ正しい取引内容への訂正・再発行を依頼する
必要な情報が不足している発行元へ確認し、必要に応じて訂正・再発行を依頼する

発行元による訂正や再発行が難しい場合は、請求書や利用明細など、取引内容を確認できるほかの証憑を併用できないか経理担当者へ確認しましょう。

受領者が領収書へ追記・書き換えをするのは避ける

領収書を受け取った本人が、日付や金額、但し書きなどを自己判断で追記・書き換えることは避けましょう。

領収書は支払いの事実や取引内容を示す証憑であり、受領者側で内容を変更すると、発行元が記載した情報との区別がつかなくなり、証憑としての信頼性を損なうおそれがあります。

不備を見つけた場合は、原則として発行元へ訂正・再発行を依頼します。対応が難しい場合は自分で書き換えず、経理担当者へ相談し、自社のルールに沿った方法で対応しましょう。

4.領収書を紛失した場合・発行されない場合の3つの対処法

領収書を紛失した場合でも、すぐに経費精算を諦める必要はありません。再発行や代替書類によって支払いの事実や取引内容を確認できれば、経費精算できる場合があります。

領収書がない場合は、以下の順番で対応を検討しましょう。

  • 支払先へ再発行を依頼する
  • 請求書・決済履歴などで支払いを証明する
  • 社内規程で認められていれば支払証明書などで例外申請する

1. 支払先へ再発行を依頼する

領収書を紛失した場合は、まず支払先に再発行できるか確認しましょう。店舗や取引先に購入履歴や取引記録が残っていれば、領収書を再発行してもらえる場合があります。

問い合わせる際は、スムーズに手続きを進めるためにも、以下の情報を伝えられるようにしておきましょう。

  • 取引日
  • 支払金額
  • 購入した商品・利用したサービス
  • 支払方法
  • 利用した店舗やサービス

ただし、支払先によっては領収書の再発行に対応していない場合があります。再発行できないときは、請求書や決済履歴など、取引を確認できるほかの書類がないか確認しましょう。

2. 請求書・決済履歴などを組み合わせて支払いを証明する

領収書を再発行できない場合は、請求書や決済履歴などを代替証憑として利用できないか確認します。

たとえば、以下のような書類・データが考えられます。

代替証憑の例確認できる主な情報
請求書支払先・取引内容・請求金額など
クレジットカードの利用明細利用日・利用先・支払金額など
銀行の振込記録振込日・振込先・金額など
オンライン決済の履歴決済日・利用先・金額など
注文・予約履歴商品やサービスの内容・利用日・金額など

領収書だけで必要な情報を確認できなくても、複数の書類を組み合わせることで、支払先・日付・金額・取引内容などを確認できる場合があります。

ただし、どの書類を代替証憑として認めるかは自社の経費精算規程によって異なるため、申請前に経理担当者へ確認しましょう。

3. 社内規程で認められる場合は支払証明書・出金伝票で例外申請する

領収書の再発行ができず、ほかの書類でも取引を十分に確認できない場合は、社内規程によって、支払証明書や出金伝票などを使って例外的に申請できる可能性があります。

支払証明書は、領収書を提出できない場合に、申請者が支払いの事実や内容を申告するための書類です。一方、出金伝票は、現金による支出などを社内で記録するための帳票として使用されます。

項目支払証明書出金伝票
主な役割領収書がない場合に支払内容を申告する現金による支出などを社内で記録する
記載する情報支払日・支払先・金額・支払内容・領収書がない理由など支払日・支払先・金額・勘定科目・摘要など
領収書紛失時の利用社内規程で認められていれば利用できる場合がある社内規程や運用方法によっては利用できる場合がある

いずれも支払先が発行した領収書そのものではないため、作成すれば必ず経費精算できるわけではありません。企業によっては、利用できるケースを限定したり、上長や経理担当者の承認を必要としたりする場合があります。

支払証明書や出金伝票を利用する際は、自己判断で作成・提出せず、自社の経費精算規程や経理担当者の指示に従って手続きを進めましょう。

5.支払方法・利用先別に必要な領収書・証憑

経費精算に必要な領収書や証憑は、支払方法や利用したサービスによって異なります。とくに、カード・キャッシュレス決済やオンライン購入では電子データの保存が必要になるケースがあるほか、公共交通機関にはインボイス制度上の特例があります。

ここでは、以下3つのケース別にポイントを確認しましょう。

  • カード・キャッシュレス決済を利用した場合
  • オンラインで購入・決済した場合
  • 電車・バスなどの公共交通機関を利用した場合

カード・キャッシュレス決済では利用明細と領収書・レシート等を確認する

クレジットカードやキャッシュレス決済を利用した場合は、カード会社や決済サービスの利用明細だけでなく、店舗などが発行する領収書・レシート等も確認しましょう。

カード会社の利用明細には、利用日・利用先・金額などが記載されていても、購入した商品・サービスの詳細や、インボイスとして必要な情報を確認できない場合があります。そのため、経費精算や仕入税額控除に必要な情報を確認する際は、店舗などが発行した領収書・レシート等もあわせて確認することが大切です。

また、スマートフォンの決済アプリから利用明細等を電子データで受け取った場合は、電子帳簿保存法上の「電子取引」に該当します。電子的に受け取った取引データは、電子帳簿保存法の要件に沿って保存しましょう。

なお、経費精算時にどの証憑の提出を求めるかは企業によって異なるため、自社の経費精算規程も確認してください。

参考:国税庁「Ⅰ通則【制度の概要等】」

オンラインで購入・決済した場合は電子領収書を取得する

ECサイトや予約サイトなど、オンラインで商品・サービスを購入した場合は、サイト上で発行される領収書や請求書などの電子データを保存します。

たとえば、以下のようなデータが該当します。

  • メールで受け取ったPDF形式の領収書
  • ECサイトからダウンロードした領収書
  • Webサイト上に表示される領収書
  • クラウドサービスを通じて受け取った領収書・請求書

これらは電子帳簿保存法上の「電子取引」に該当するため、電子データのまま所定の方法で保存することが必要です。

オンラインサービスによっては、領収書を購入履歴や利用履歴から取得できる期間が限られている場合もあります。経費精算に必要な証憑は早めに取得し、自社で定められた方法で保存しておきましょう。

公共交通機関は利用区間・運賃を記録し、領収書の要否を確認する

電車やバスなどの公共交通機関を利用した場合は、インボイス制度の「公共交通機関特例」が適用される場合があります。

1回の取引の税込価額が3万円未満となる船舶・バス・鉄道による旅客の運送は、適格請求書の交付義務が免除されています。この場合、一定の事項を記載した帳簿を保存することで、インボイスを保存しなくても仕入税額控除を受けることが可能です。

公共交通機関特例の主なポイントは以下のとおりです。

確認項目内容
金額1回の取引の税込価額が3万円未満
対象一定の船舶・バス・鉄道による旅客運送
インボイス保存不要
仕入税額控除一定事項を記載した帳簿の保存により適用可能
対象外の例タクシー・航空機

なお、「3万円未満」は切符1枚ごとの金額ではなく、1回の取引の税込価額で判定します。たとえば、1人13,000円の新幹線を4人分まとめて購入した場合、1回の取引額は52,000円となるため、公共交通機関特例の「3万円未満」には該当しません。

また、税務上インボイスの保存が不要な場合でも、会社の経費精算に必要な証憑や記録まで不要になるわけではありません。利用日・利用区間・運賃・利用目的など、自社の経費精算規程で求められる情報を記録して申請しましょう。

タクシーや航空機による旅客運送は公共交通機関特例の対象ではないため、同じ交通費でも分けて考える必要があります。

参考:国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」

6.領収書の保存期間と電子帳簿保存法(電帳法)のルール

領収書は、受け取った後も法律で定められた期間にわたって保存する必要があります。また、紙で受け取った領収書と、PDFやメールなど電子データで受け取った領収書では、電子帳簿保存法上の取り扱いが異なります。

まずは、法人における基本的な保存方法を確認しましょう。

領収書の種類基本的な保存方法
紙で受け取った領収書紙の原本を保存する、または電帳法の要件を満たしてスキャナ保存する
PDFで受け取った領収書電子データのまま保存する
メールで受け取った領収書電子データのまま保存する
Webサイトからダウンロードした領収書電子データのまま保存する

法人は領収書を原則7年間保存する

法人が取引に関して作成、または受け取った領収書などの帳簿書類は、原則として7年間保存しなければいけません。

保存期間は、領収書を受け取った日から単純に7年間ではなく、原則としてその事業年度の確定申告書の提出期限の翌日が起点日となります。

また、青色申告書を提出した事業年度で欠損金額が生じた場合は、10年間の保存が必要になるケースもあります。そのため、自社の事業年度や申告状況に応じて、必要な保存期間を確認しておくことが大切です。

参考:国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」

紙の領収書は原本で保存するか、電帳法の要件を満たしてスキャナ保存する

紙で受け取った領収書は、そのまま原本を保存するほか、電子帳簿保存法の要件を満たせば、スキャンやスマートフォンで撮影した電子データを保存する「スキャナ保存」も可能です。

スキャナ保存を利用する場合は、一定期間内のデータ化や改ざん防止、検索機能など、電子帳簿保存法で定められた要件を満たす必要があります。改ざん防止については、タイムスタンプを付与するほか、データの訂正・削除を確認できるなど一定の要件を満たすシステムを利用することも可能です。

スキャナ保存の要件を確認せずに紙の原本を破棄すると、適切な保存ができていない状態になる可能性があります。原本を廃棄する場合は、自社の保存方法が電子帳簿保存法の要件を満たしているか確認しておきましょう。

PDF・メールの領収書は電子データで保存する

PDFやメール、Webサイトなどを通じて電子データで受け取った領収書は、電子帳簿保存法の「電子取引」に該当するため、原則として電子データのまま保存する必要があります。

たとえば、以下のような領収書が該当します。

  • メールにPDFで添付された領収書
  • ECサイトからダウンロードした領収書
  • クラウドサービス上で発行された領収書
  • Webサイトの購入履歴から取得した領収書

これらを紙に印刷して保管するだけでは、電子取引データの保存要件を満たせません。電子取引データを保存する際は、データの改ざんを防止するための措置や、必要な情報を確認できる状態での保存など、電子帳簿保存法の要件に沿った管理が求められます。

紙の領収書と電子領収書が混在する企業では、それぞれの保存方法を社内ルールとして定めておくとよいでしょう。

7.経費精算の領収書に関するよくある質問(FAQ)

経費精算では、領収書を紛失した場合や登録番号が記載されていない場合、申請期限を過ぎた場合など、判断に迷うケースがあるでしょう。

ここでは、領収書に関するよくある4つの質問に回答します。

  • Q1. 領収書を紛失したら自腹になりますか?
  • Q2. 適格請求書発行事業者登録番号がない領収書でも精算できますか?
  • Q3. 申請期限を過ぎた領収書でも経費精算できますか?
  • Q4. 業務用と私用の支払いが1枚の領収書に含まれている場合はどうすればよいですか?

Q1. 領収書を紛失したら自腹になりますか?

A.領収書を紛失しても、必ずしも自腹になるとは限りません。
支払先への再発行依頼や、請求書・決済履歴などの代替書類によって支払いを証明できれば、経費精算が認められる場合があります。また、社内規程で認められていれば、支払証明書などを使って申請できる可能性もあります。
領収書の紛失に気づいたら、まず経理担当者へ相談し、自社で認められている方法に沿って対応しましょう。

Q2. 適格請求書発行事業者登録番号がない領収書でも精算できますか?

A.適格請求書発行事業者登録番号がない領収書でも、社内規程で認められていれば経費精算できる場合があります。
また、登録番号がないからといって、消費税の仕入税額控除が直ちに全額受けられなくなるわけではありません。インボイス発行事業者以外からの課税仕入れには経過措置が設けられており、一定の要件を満たす場合は、以下の割合で仕入税額相当額を控除できます。

期間控除できる割合
2026年9月30日まで80%
2026年10月1日~2028年9月30日70%
2028年10月1日~2030年9月30日50%
2030年10月1日~2031年9月30日30%
参考:国税庁「令和8年度税制改正特集」
つまり、「会社から従業員へ経費を精算できるか」と「会社が消費税の仕入税額控除を受けられるか」は別の問題です。登録番号がない領収書を受け取った場合は、この2つを分けて確認しましょう。

Q3. 申請期限を過ぎた領収書でも経費精算できますか?

A.申請期限を過ぎても経費精算できるかどうかは、自社の経費精算規程によって異なります。
期限後も上長や経理担当者の承認を得れば受け付ける企業もあれば、原則として期限後の申請を認めていない企業もあります。
期限を過ぎたことに気づいたら放置せず、できるだけ早く経理担当者へ相談し、必要な手続きや提出書類を確認しましょう。

Q4. 業務用と私用の支払いが1枚の領収書に含まれている場合はどうすればよいですか?

A.業務用と私用の支払いが1枚の領収書に含まれている場合は、業務に使用した金額だけを区分して申請します。
たとえば、業務用品と私物を同時に購入し、以下の領収書を受け取ったケースで考えてみましょう。

購入したもの金額経費精算
コピー用紙(業務用)800円対象
文房具(業務用)1,200円対象
日用品(私用)1,000円対象外
合計3,000円申請額は2,000円
この場合、領収書の合計金額は3,000円ですが、経費として申請するのは業務で使用した2,000円です。購入内容とそれぞれの金額が分かるレシートや明細を添付し、業務分と私用分を区別できるようにしておきましょう。
可能であれば、購入時点で業務用と私用の会計を分けておくと、申請時の確認や経理処理がしやすくなります。具体的な申請方法は、自社の経費精算規程に従ってください。

8.まとめ|経費精算の領収書は税務上の要件と社内規程を分けて確認しましょう

経費精算に必要な領収書を紛失しても、必ずしも精算できなくなるわけではありません。まずは、支払先へ再発行を依頼し、難しい場合は請求書や決済履歴など、支払いを確認できる代替書類がないか確認しましょう。

自社で認められていれば、支払証明書などを使って申請できる場合もあります。また、領収書に宛名や日付、金額などの不備がある場合は、自分で書き換えると証憑の信頼性を損なうおそれがあるため、発行元への訂正・再発行を依頼することが大切です。

領収書の紛失や不備が発覚した場合は、税務上必要な証憑と自社の経費精算規程をそれぞれ確認し、早めに経理担当者へ相談しましょう。

9.領収書の申請・確認を効率化する「ハーモス経費」

領収書を使った経費精算では、申請者による日付や金額の入力、経理担当者による記載内容・重複申請の確認、領収書の保存など、さまざまな業務が発生します。申請件数が増えるほど、入力ミスや確認漏れが起こりやすくなり、申請者・経理担当者双方の負担も大きくなります。

「ハーモス経費」は、領収書AI-OCRによる入力の自動化や、重複申請・規定違反のチェック、電子帳簿保存法に対応した証憑保存などが可能です。さらに、領収書の申請から確認・保存までを効率化する機能を備えています。

社内ルールの運用を支える、ハーモス経費の強み

ハーモス経費は、スマートフォンなどで撮影した領収書から、日付・金額・発行元・適格請求書発行事業者登録番号などをAI-OCRで読み取り、申請内容へ自動反映できます。適格請求書発行事業者登録番号は、国税庁のデータベースと自動照合できるため、インボイスの確認作業の効率化にもつながります。

また、過去の申請データとの照合によって重複申請や同じ領収書の使い回しを検知する機能に加え、社内規程に沿った申請内容のチェックが可能です。申請者の入力ミスやルール違反を申請段階で確認しやすくなるため、経理担当者による目視確認や差し戻しの負担軽減が期待できます。

さらに、電子帳簿保存法のスキャナ保存・電子取引にも対応しており、紙で受け取った領収書を電子化したデータや、PDFなどで受領した電子領収書をシステム上で管理できます。

同じ領収書を紙と電子データの両方で申請するなど、証憑の重複による二重申請を防ぐ仕組みについては、以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:電帳法対応の盲点を防ぐ!「証票重複チェック機能」による領収書の使い回し自動検知

領収書の入力・確認・保存にかかる業務を効率化しながら、社内ルールに沿った経費精算の運用体制を整えたい方は、ハーモス経費の導入をご検討ください。

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※本記事は、法令・実務上の一般的な情報提供を目的としており、個別の税務・法律的アドバイスを提供するものではありません。実際の経費精算運用や税務処理にあたっては、自社の経費精算規程や最新の法令・公的情報を確認し、必要に応じて税理士等の専門家へご相談ください。

監修:橋爪 祐典(税理士)

2018年より都内の税理士法人へ勤務し、個人や法人の決算や税務申告まで幅広く従事。
その他、相続税の申告や財務デューデリジェンス等の高度な会計分析まで幅広く対応可能。
会計や税務に関するテーマ全般を得意とする。