経費精算の計上日はどう決まる?商品購入・サービス利用など取引別の判断基準を解説

2026.10.23

経費精算の計上日はどう決まる?商品購入・サービス利用など取引別の判断基準を解説

経費精算では、商品の納品日やサービスの提供日、領収書の発行日、申請日、支払日など、さまざまな日付が出てきます。どの日付をもとに経費を計上すればよいのか、迷うこともあるでしょう。

経費の計上月を判断するには、それぞれの日付が何を示しているのかを区別したうえで、商品やサービスの提供時期など、実際の取引内容を確認することが大切です。

本記事では、経費精算で確認する主な日付の違いを整理し、商品購入やサービス利用、クレジットカード払いなど、取引内容ごとの計上日の考え方を解説します。月・年度をまたぐ場合の処理や、申請期限との違いもあわせて確認しましょう。

1.経費精算で迷いやすい5つの日付

経費精算では、取引の発生から申請・精算までの間に、意味の異なる複数の日付が登場します。まずは、それぞれの日付が何を示しているのか整理しましょう。

日付何を示す日付か
1. 費用の発生日商品の納品やサービスの提供など、費用を計上する基準となる取引が発生した日
2. 領収書の発行日領収書が発行された日
3. 申請日従業員が会社へ経費精算を申請した日
4. 計上日経費を会計帳簿上でどの時点の取引として記録するかを示す日
5. 支払日(精算日)会社が従業員へ立替経費を払い戻した日

1. 費用の発生日|商品が納品された日・サービスの提供を受けた日

費用の発生日は、経費を計上する基準となる取引が発生した日です。商品であれば納品・引渡しを受けた日、サービスであれば提供を受けた日などが該当します。

代金を支払った日とは一致しない場合があります。たとえば、3月31日に商品が納品され、代金を4月30日に支払った場合、原則として費用の発生日は3月31日です。

2. 領収書の発行日|証憑に記載された日

領収書の発行日は、領収書が発行された日です。商品やサービスの取引日と一致するとは限らず、後日発行される場合もあります。

そのため、領収書の発行日だけで計上月を判断せず、商品の納品日やサービスの提供日なども確認します。なお、「領収日」が記載されている場合は、発行元が代金を受け取った日を示すため、「発行日」と区別して確認しましょう。

3. 申請日|経費精算を申請した日

申請日は、従業員が会社へ経費精算を申請した日です。経費精算システムで申請を送信した日や、申請書を提出した日などが該当します。

たとえば、3月31日に発生した交通費を4月2日に申請した場合、申請日は4月2日ですが、原則として経費は3月分として計上します。

このように、申請日が翌月になっても、計上月は原則として費用が発生した月を基準に判断します。

4. 計上日|会計帳簿上の取引日として記録する日

計上日は、経費を会計帳簿上でどの時点の取引として記録するかを示す日付です。計上日によって費用が反映される月・年度が変わるため、月次損益や決算にも影響します。

そのため、申請日や支払日ではなく、商品の納品日やサービスの提供時期など、費用が実際に発生した時期を確認して設定することが重要です。

5. 支払日(精算日)|会社から従業員へ精算する日

支払日(精算日)は、会社が従業員へ立替経費を払い戻した日です。費用の発生日や申請日とは役割が異なり、会社が定める締日・支払日によって後日精算される場合があります。

たとえば、申請締日を毎月5日、払い戻し日を同月25日とする会社で、3月31日に交通費を立て替え、4月2日に申請した場合は、次のようになります。

日付の種類日付
費用の発生日3月31日
申請日4月2日
支払日(精算日)4月25日

この場合、払い戻しは4月25日ですが、交通費は原則として3月分の経費として計上します。支払日が翌月になっても、費用の計上月が支払月へ変わるわけではありません。

2.会計上の計上日は原則「費用の発生日」を基準に考える

会計上、経費は原則として、代金を支払った日ではなく、費用が発生した時期に計上します。この考え方を「発生主義」といいます。ここでは、発生主義の基本と、支払日・引落日が異なる場合の考え方を確認します。

  • 費用の発生日とは何か|発生主義の考え方
  • 費用の発生日と支払日・引落日が異なる場合の考え方

費用の発生日とは何か|発生主義の考え方

発生主義とは、現金の支払時期ではなく、取引によって費用が発生した時期を基準に計上する考え方です。

たとえば、商品が3月31日に納品され、代金を4月に支払った場合でも、原則として3月分の費用として計上します。サービスの場合も、契約日や支払日ではなく、実際に提供を受けた時期を確認して計上します。

費用の発生日と支払日・引落日が異なる場合の考え方

費用の発生日と支払日・引落日が異なる場合は、費用の計上と代金の支払いを分けて処理します。

タイミング処理する内容
費用が発生したとき該当する月・年度の費用として計上する
代金を支払ったとき支払い・引落しの処理を行う

支払いや引落しが翌月以降になっても、それだけを理由に費用の計上月が変わるわけではありません。

3.【取引別】経費計上日の判断基準

費用の発生日は、取引内容によって判断基準が異なります。商品購入やサービス利用、クレジットカード払いなど、主な取引ごとの基準を整理します。

取引計上月の主な基準
商品を購入した場合納品日・引渡し日
サービスを利用した場合提供完了日・提供期間
クレジットカードで支払った場合商品の納品日・サービスの提供時期
交通費・宿泊費実際に利用した日
通信費・サブスクリプションサービスの対象期間
前払い費用サービスの提供時期

商品を購入した場合|納品・引渡し日を基準に判断

消耗品など、購入時に費用として処理する商品は、原則として納品・引渡しを受けた時期を基準に計上します。注文日と納品日が異なる場合は、注文日ではなく納品日を確認しましょう。

たとえば、3月末に商品を注文し、4月に納品された場合は、原則として4月分の費用として計上します。

申請時は、納品書などから実際の納品日を確認します。なお、固定資産や棚卸資産に該当する場合は、費用処理ではなく資産計上の要否を別途確認する必要があります。

サービスを利用した場合|提供完了・提供期間を基準に判断

単発のサービスでは、原則として提供が完了した日が費用の計上基準です。成果物の納品を伴う業務委託や外注の場合も、納品完了日を基準に判断します。

たとえば、3月に契約を結び、成果物が4月に納品された場合、費用は4月分として計上します。契約を結んだだけでは、サービスの提供は完了していません。

申請者は、成果物の納品日など、サービス提供が完了した日を申請内容に反映します。経理担当者は、サービス提供が完了した日を確認し、その日付が属する月へ計上します。契約日や支払日は、原則として計上月を判断する基準にはなりません。

クレジットカードで支払った場合|商品・サービスの提供時期を基準に判断

クレジットカードで支払った場合も、カードの引落日ではなく、商品の納品日やサービスの提供時期を基準に計上します。カードを利用した日と費用の発生日が一致する取引では、カード利用日を基準に判断できます。

タイミング処理する内容
費用発生時発生した商品・サービスの費用を計上
口座引落時カード利用代金の口座からの支払い

たとえば、3月31日にカードで消耗品の引渡しを受け、4月に利用代金が引き落とされた場合、費用は原則として3月分です。4月の引落時に、新たな費用として計上するわけではありません。

交通費・宿泊費|実際に利用した日を基準に判断

交通費や宿泊費は、原則として実際に交通機関を利用した日や宿泊した日を基準に計上します。予約日や事前に代金を支払った日は、通常、計上月を判断する基準にはなりません。

たとえば、3月に新幹線やホテルを予約し、4月に出張した場合は4月分の費用として扱います。3月中に代金を支払っていても、予約した月には計上しません。

出張が複数日にわたる場合は、申請者に交通機関の利用日・宿泊日を、申請内容へ記載してもらいましょう。月をまたぐ出張でも、誤った月への計上を防げます。

通信費・サブスクリプション|対象期間を基準に判断

企業では、インターネット回線やクラウド会計ソフト、Web会議ツールなどを毎月継続して利用します。このような費用は、実際にサービスを利用した期間に合わせて計上するのが基本です。

たとえば、3月1日から3月31日まで利用したクラウドサービスの請求書が、4月5日に発行されたとします。このような場合、費用の計上は3月分としましょう。請求書の発行月は4月ですが、費用の対象期間は3月だからです。

請求書や契約内容からサービスの対象期間を確認し、その期間に合わせて計上しましょう。

前払い費用|サービス提供時期を基準に判断

前払いした料金のうち、まだサービスの提供を受けていない部分は、原則として前払費用として資産に計上します。その後、サービスの提供を受けた期間に応じて、該当する費用科目へ振り替えます。

たとえば、年間契約のクラウドサービス料金を一括払いした場合、全額を支払月の費用にすると計上月がずれかねません。また、決算をまたぐ契約では、利益や税額の計算を誤る原因にもなります。

一般的には、契約期間に応じて、各月・年度へ費用を配分するのが基本です。申請者に、利用期間が分かる書類を添付してもらうと、期間按分の漏れを防げます。

ただし、国税庁が定める「短期前払費用」の要件を満たす場合は、支払時の損金算入(法人税の所得計算で費用に含める処理)が認められます。支払日から1年以内に提供を受けるサービスに係る費用であることや、継続して同じ処理を行うことなどが条件です。

適用の可否は、契約内容をもとに、税理士へ確認しましょう。

4.領収書の日付と経費計上日は必ずしも一致しない

経費の計上月は、商品の納品日やサービスの提供時期など、実際に費用が発生した時期をもとに判断します。

領収書の発行日と取引日がずれることもあるため、書類の日付だけで処理すると、誤った月へ計上するおそれがあります。誤った計上月で処理しないため、以下の2点を確認しましょう。

  • 領収書の「発行日」と「受領日」の違い
  • 領収書の日付が実態とずれている場合の対応

領収書の「発行日」と「受領日」の違い

「発行日」は領収書が発行された日、「受領日」は自社が領収書を受け取った日です。いずれも、商品の納品日やサービスの提供日とは別の日付になる場合があります。また、「領収日」は発行元が代金を受領した日を示すため、「受領日」と混同しないようにしましょう。

たとえば、3月31日に商品が納品され、その領収書を4月2日に受け取った場合、受領日は4月2日ですが、費用は原則として3月分へ計上します。

領収書を受け取った日だけで判断せず、納品書などから実際の納品日を確認しましょう。

領収書の日付が実態とずれている場合の対応

領収書の日付と実際の取引日が違う場合は、納品書や注文履歴などから、商品の納品日やサービスの提供日を確認しましょう。実際に費用が発生した時期に合わせて計上するのが基本です。

領収書の日付に誤りや抜けがある場合は、自己判断で書き換えず、発行元へ確認したうえで訂正・再発行を依頼しましょう。

必要に応じて、納品書や注文履歴など、実際の取引時期を確認できる資料も申請者に提出してもらいます。領収書だけでは判断できない場合でも、取引実態を確認したうえで計上月を判断できます。

5.月・年度をまたぐ経費精算の考え方

経費精算が翌月や翌年度になっても、費用は原則として実際に発生した月・年度へ計上します。申請日や精算日へ計上月を合わせると、月次・年度の損益が実態とずれるためです。

月またぎ・年度またぎ・決算後の3ケースに分けて、計上月と処理方法を整理しましょう。

ケース確認するポイント
月をまたぐ場合費用が実際に発生した月
年度をまたぐ場合費用が発生した年度と期ずれの有無
決算後に経費が見つかった場合本来計上すべき期と修正の要否

月をまたいで経費精算する場合の考え方

月末発生の経費を翌月申請した場合でも、原則として発生月の費用として計上します。申請月が変わっても、費用の発生月は変わりません。

たとえば、3月中に発生した経費を4月に申請した場合でも、原則として3月分として処理します。申請者には、商品の納品日やサービスの提供日など、費用の発生時期が分かる情報を正確に記載してもらい、その日付に基づいて計上月を確定しましょう。

発生月へ正しく計上すれば、申請の遅れによって、費用が翌月へずれるミスを防げます。

年度をまたぐ場合は「期ずれ」を考慮

「期ずれ」とは、本来とは異なる期に、費用を計上することです。前年度に発生した費用を翌年度へ回すと、前年度の費用は本来より少なくなります。その分、前年度の利益は多く、翌年度の利益は少なく計算されるため、正確な利益や税額の計算ができない状態です。

たとえば、3月決算の会社で3月31日に発生した費用を4月分として計上した場合、前年度に計上すべき費用が不足します。翌年度にはその費用が加わるため、2つの年度で利益が正しく計算されません。

税務上も、計上年度の誤りは所得金額の算出に影響します。申告後に判明した場合は、更正の請求や修正申告の要否を確認しましょう。

対策として、年度末は、領収書だけでなく、商品の納品日やサービスの提供期間などが確認できる資料も確認し、本来計上すべき年度を判断しましょう。資料から取引日を特定し、正確な年度へ計上することで、期ずれを防げます。

決算をまたいで経費が見つかった場合の対応

決算後に前期分の経費が見つかった場合は、まず本来の計上月と、決算・申告の状況を確認しましょう。

正確な計上年度を特定するには、申請者から領収書や納品書などを提出してもらう必要があります。たとえば、3月分の経費が4月になってから見つかったとしましょう。このような場合、本来の計上月は3月です。証憑に3月中の取引や利用が記載されていれば、その内容を根拠として3月分に計上できます。

決算書を確定する前なら、本来の年度へ費用を反映します。確定・申告後は、金額の重要性や税額への影響を踏まえ、経理責任者や税理士と訂正の要否を判断してください。税額を多く申告した場合は更正の請求、少なく申告した場合は修正申告が検討対象です。

6.経費精算の申請期限|社内規定を確認しよう

会計上の計上月と社内申請期限は、役割が異なります。計上月は「どの月・年度の費用か」を決め、申請期限は「いつまでに申請するか」を定めるものです。

たとえば、3月発生の経費を4月に申請しても、本来の計上月は3月です。申請が遅れたからといって、4月分へ変更できるわけではありません。

期限を過ぎた申請の受付方法は、社内規定に従いましょう。ただし、申請が遅れても、会計上の計上月は変わりません。申請を受け付けた場合は、本来の費用発生時期と決算・申告の状況を確認したうえで、適切な会計期間へ処理します。

社内の申請期限や、期限を過ぎた場合の扱いなど、経費精算規程に定めたい項目については、以下の記事で詳しく解説しています。

「経費精算のルールとは?社内規程に盛り込みたい7項目と形骸化を防ぐ運用のコツ」

7.経費申請の日付についてよくある質問

経費申請の日付について、よくある質問に回答します。

  • Q1. 月末にクレジットカードを利用し、翌月に引き落とされた場合は何月の経費になりますか?
  • Q2. 領収書の日付と経費精算の申請日が違っても問題ありませんか?

Q1. 月末にクレジットカードを利用し、翌月に引き落とされた場合は何月の経費になりますか?

A.商品の納品日やサービスの提供日が月末であれば、原則としてその月の経費です。たとえば、3月31日にカードで消耗品を購入し、その日に引渡しを受け、4月に引き落とされた場合は、原則として3月分として計上します。

ただし、カード利用日と商品の納品日・サービスの提供時期が異なる場合は、利用月だけで判断してはいけません。前払いした料金は、サービスの提供時期を基準に処理します。カード明細と納品書などを照合し、実際に費用が発生した月へ計上しましょう。

Q2. 領収書の日付と経費精算の申請日が違っても問題ありませんか?

A.領収書の日付と申請日が異なること自体は、問題ではありません。

領収書の発行日と申請日は、それぞれ示す内容が異なります。領収書の発行日は証憑が発行された日、申請日は社内で経費精算の手続きを行った日です。たとえば、3月末に発生した経費を4月に申請しても、本来3月分なら計上月は変わりません。

ただし、申請期限を過ぎた場合の扱いは社内規定に従い、必要な手続きを取りましょう。

8.まとめ|経費精算の日付の違いを理解して適切に処理しましょう

経費精算では、費用の発生時期を基準に計上します。領収書の日付や申請日、支払日、カードの引落日は役割が異なるため、同じ基準で扱ってはいけません。

経理では、申請内容や証憑から商品の納品日・サービスの提供時期などを確認し、費用が発生した期間に計上しましょう。必要な情報が不足している場合は、申請者に費用の発生時期を確認できる資料を提出してもらいましょう。

あわせて、申請者が費用の発生日を正確に記載できるよう、申請項目や社内ルールの整備も重要です。月ずれや期ずれを防ぎつつ、正確な損益計算につなげましょう。

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※本記事は、法令・実務上の一般的な情報提供を目的としており、個別の税務・法律的アドバイスを提供するものではありません。実際の経費精算運用や税務処理にあたっては、自社の経費精算規程や最新の法令・公的情報を確認し、必要に応じて税理士等の専門家へご相談ください。

監修:橋爪 祐典(税理士)

2018年より都内の税理士法人へ勤務し、個人や法人の決算や税務申告まで幅広く従事。
その他、相続税の申告や財務デューデリジェンス等の高度な会計分析まで幅広く対応可能。
会計や税務に関するテーマ全般を得意とする。