コロナ禍前後で社員数が倍以上に! 急激な組織拡大に対応しながら、データドリブンに採用を進める体制を構築
Chatwork株式会社
- 業界: IT
- 事業概要: 「Chatwork」の開発運営、ソフトウエア販売(「ESET」セキュリティソフト)
- 従業員数: 267名(2022年3月末日時点)
- https://go.chatwork.com/ja/
「働くをもっと楽しく、創造的に」をミッションに、メール、電話、会議・訪問など仕事で必要なコミュニケーションをより効率的にする国内利用者数No.1(※)の中小企業向けビジネスチャット「Chatwork」を開発・運営しています。もともと社内向けとして開発されたものでしたが、今では導入社数354,000社(2022年3月末時点)を突破し、広がり続けています。
今回は、CHRO室・内田良子様、ピープル&ブランド本部人事部マネージャー・吉成大祐様に、HRMOS採用導入を決めた理由、導入によって生まれた変化、今後の活用方法について話を伺いました。
※:Nielsen NetView 及びNielsen Mobile NetView 2021年4月度調べ月次利用者(MAU:Monthly Active User)調査
導入の目的
- 部門で運用していたツールを集約し、効率的な採用データ管理・分析につなげたい
課題
- 各部門の裁量で採用がバラバラに進められ、採用管理ツールも複数存在していた
- 応募者情報の把握に時間がかかり、連絡漏れなどコミュニケーションミスが生じていた
導入の決め手
- 権限設定が細かくでき、個人情報管理に安心感があった
効果
- 面接日程調整が効率化され、選考スピードが上がった
- 部門マネージャーが、より本質的な採用活動にパワーを割けるようになった
- データ分析により採用課題が明確になり、必要な施策を打てるようになった
メンバークラスからマネージャーまで幅広く採用に携わるからこそ、細かな権限設定による情報管理が重要だった
―HRMOS採用を導入されたのはいつでしたか。導入以前にはどのような課題があったのでしょう。
内田:
導入は2019年3月です。私が1人目の人事担当としてChatworkに入社したあとのタイミングでした。それ以前は人事専任はおらず、プロダクト本部、ビジネス本部の各部門マネージャーが、自分たちで採用媒体のそれぞれの管理画面を使って採用していました。採用フローもバラバラで、応募者情報も連絡手段も一つに集約されていませんでした。各部門から採用媒体の管理者IDやパスワードをもらって情報を取りにいっていましたが、エージェントや候補者への連絡漏れや取りこぼしも散見され、それが各部門の責任になっていました。そこで、採用活動のプラットフォームを作り、一つにまとめることで、候補者へのレスポンスを早くできる状態にしたいと考えました。
―「人事」というポジションができて入社されたということは、会社としても採用に力を入れていこうという転換期だったのでしょうか。
内田:
そうですね。まずは「Chatwork」をビジネスインフラにするべく、品質の向上をするためプロダクト組織をより強くしたいという思いがありました。
プロダクト本部側で採用が回り始めたあとは、ビジネス本部でのインサイドセールス採用を加速させる必要が出てきました。2020年2月に中期経営計画を出し、ビジネス本部の採用強化が明確な戦略となっていました。ハイクラス人材を獲得するためには、採用に特化した強い人材が必要で、2021年2月に吉成が入社した経緯があります。
吉成:
私が入った当時、人事は4人体制でしたが、1年後には10人強になっています。
新卒、中途、ビジネス側、プロダクト側と特性の違う採用を行うためには、それだけ人の配置が必要でした。採用がある程度うまくいくと、入社後の評価やカルチャー育成など、事業が目指す方向に向けて組織をつくっていく必要があり、HRBP(Human Resource Business Partner)としての活動から人事企画、組織の制度設計の見直しなど、役割分担をしながら動けるチームをつくっています。
―他社のツールもあるなかで、HRMOS採用を導入した決め手とは?
内田:
一番の決め手は、細かな権限設定機能でした。
当時のChatworkの採用は、部門のマネージャーだけではなくメンバークラスも選考にかかわることが多くありました。
年収などの候補者の個人情報は、メンバークラスには開示する必要がありませんし、逆にノイズとなる可能性もあります。でもだからといって、採用に介入できない状態になるのは避けたかった。既存の採用フローや現場との協力体制ができているなかで、情報を一緒に、安全に共有できることが重要な観点でした。
吉成:
個人情報は慎重に扱わなくてはいけません。システムでできないのなら人的工数をかけて対応せざるを得ない領域ですが、人がかかわるほどアナログになりミスも増えます。HRMOS採用は、誰にどこまで情報開示するのかを詳細に切り分けて設定でき、当社のやり方に非常にマッチしていると思います。
―導入に対し、社内からはどのような反応がありましたか。
内田:
経営陣も、採用オペレーションや採用情報の管理に課題感を持っていて、さらにその先には採用進捗を数字で見える状態にしたいと考えていたため、導入はスムーズに決まりました。
現場への導入も、ITツールに慣れている人材ばかりなので、初期設定と運用ルールの説明をすれば、あとは自分たちでよりよい使い方を見いだしていってくれました。そのため、導入時に苦労したことはほとんどありませんでした。
データ基盤ができ、課題に対して必要な施策を考えられるようになった
―HRMOS採用導入以前と以後とで、採用フローや採用人数はどのように変化していますか。
吉成:
導入当初、月間の応募数は100~200名程度でしたが、現在は500~600名程度に急伸し、年間100名規模の採用を進めています。
従業員数も、コロナ禍前まで約100名強だったのですが、2022年3月末には267名と倍以上になっています。事業成長とともに組織を一気に拡大してきました。
選考は各部門で行い、本部長やマネージャークラスの人たちが自分たちでソーシングし、スカウトを送っています。それに対して人事は、事業戦略と関連づいた採用活動の方針を一緒に考えています。
具体的には現場が求める人物像と採用市場を踏まえた採用確度を勘案し、現実的なペルソナや採用チャネルに落とし込みます。また、事業戦略を起点に、そもそも部門がどんな役割を持ち、足りないケーパビリティーは何か、採用でどんな人材が必要か、いつまでにどんな手段で採用すべきかを整理していくのが大切です。
―HRMOS採用を導入後、オペレーション業務はどのように変わりましたか。
内田:
採用情報がHRMOS採用に集約され、確認すべきプラットフォームが一つになったのは大きいです。候補者とのやりとりを履歴で確認できるようになったので、部門への伝え漏れ、情報共有漏れがなくなりました。
以前は、媒体ごとにID、パスワードを入れて確認し、メールで受信した内容を社内チャットで通知していました。「Google スプレッドシート」もどのタイミングで更新されるのかが分からず、候補者ファーストで動くためには常に見ていなければなりませんでした。小さな手間の蓄積で、業務時間がとられていました。
導入後は、候補者とのコミュニケーションミスがなくなり、選考スピードも上がりました。面接の日程調整でも、以前は「Google カレンダー」を開いてメールで候補者に候補日を連絡し、確定したらカレンダーに入力する作業を一人一人行っていました。HRMOS採用では「Google カレンダー」との連携により、一つの画面上で調整・連絡できるようになり、日程調整にかかる時間は大幅に減りました。
カジュアルな面談も急増していたので、各部門でも日程調整にパワーがとられていました。それを人事側ですべて引き受けられるようになり、部門のマネージャーが本来リソースを割くべきコア業務に集中できるようになりました。会社の事業成長にとっても、大きな変化でしたね。
―HRMOS採用の活用方法、工夫しているポイントはありますか。
吉成:
データ分析により、採用のモニタリングを進めています。
当社ではHRMOS採用のレポート機能とは別に、自社でダッシュボードを作って運用しています。そのデータ基盤がHRMOS採用であり、必要な数値をダウンロードし、データドリブンな採用に向けたプラットフォームとして活用しています。
採用課題がどこにあるかは、定量的に数字を見ていかなければ分かりません。
入り口の応募数が問題なのか、選考に時間がかかっていて離脱につながっているのかなどは、各選考の通過率や内定承諾率などから判断できることが多いです。HRMOS採用は、ステータスや応募日、内定を出した日などと、ほしい形で細かく数字をダウンロードできます。定点的なモニタリングができるため、必要なところに施策を打てるようになっているのが現状です。
例えば、私が入社した当初の課題は、応募数でした。「このまま進めても、目標採用数には至らない」と予測できたため、エージェントやチャネルの拡張、ビズリーチの活用強化に取り組み、数カ月で約1.5倍まで増やせました。
今は候補者が他社と競合することが増えていて、内定承諾率にも数字として表れています。数字を眺め、ボトルネックを把握しながら、次にどう対策を考えるかが目下の課題です。
UIの良さと細かな機能、両者のバランスの良さがHRMOS採用の魅力
―今後、取り組みたいことはありますか。
吉成:
採用は、あくまでも入り口だと思っています。採用後に一人一人がパフォーマンスを上げ、事業成長につなげられなければ意味がありません。
HRMOS採用で得られたデータを定性的、定量的に振り返りながら、描きたい組織の実現に近づけた採用ができているのか、活躍、定着までを見ていきたいと思います。
内田:
HRMOS採用で蓄積したデータを使って、採用の重要性を全社にきちんと伝えていきたいです。
この1~2年で組織が急拡大したため、「採用が大事」という価値観の浸透には濃淡があります。カルチャーとしては「採用は人事だけがやるものではなく、現場を含めて全社でやっていくものだよね」という意識はありますが、全員が「自分事化」できているとは言い切れません。マネージャーがどう採用にかかわり、力を入れているのか、メンバーから見えにくいところも数字で示すことで、理解につながるのではないかと思っています。
―HRMOS採用をどんな企業や人事・採用担当者におすすめしたいですか。
吉成:
HRMOS採用は、「UIの使いやすさ」と「細かいところまで見られる」というバランスがよくとれているツールだなと思います。
人事畑が長いのでさまざまなATSを活用してきましたが、あまりに機能が細かいと運用がアナログになり工数がかかる、という課題に何度かぶつかってきました。結局オペレーションに人数が必要になり、ツールを入れたメリットがなくなってしまう。
HRMOS採用は、最少人数で運用でき、必要なデータ分析も可能なツールとして、人的リソースが限られた組織に最適だと思います。
内田:
まさにそうですね。ATSを初めて導入する組織は「一人人事」のところも多いのではないでしょうか。人事も各部門も、本来時間を割くべきコア業務に向き合えるよう、システムに任せられるところは任せていく。そう定義づけてATSを選ぶのなら、もっとも効率化につながるツールは何かを見極めたほうがいいと思います。当社にとっては、権限設定がしやすく、機能連携が豊富なHRMOS採用がマッチしていたのだと思います。