
部門とともに築く、シスメックスの採用・組織づくり
〜部門との深い相互理解から生まれる協働の姿〜
ヒト・組織に主体性が発揮される仕組みをつくる
2023年に策定した「長期経営戦略2033」の人的資本戦略の中で、目指す姿として「人材ポートフォリオの最適化」「高いエンゲージメント」「最高のチームワークの発揮」を掲げています。「現在は過渡期にあり、これまで以上に部門と人事の連携を深めていく必要がある」と話すのは人事本部人材開発部の松井様と寺田様。部門とともに築き上げてきた採用・組織づくりについて伺いました。

ジョブ型導入で深まった部門と人事の協力体制
採用や組織づくりにおいて、人事と部門の密な連携は不可欠です。しかし、その関係は一方向からの依頼や請負ではなく、双方が意図をくみ取り、共通の目的に向かって形にしていく姿勢が求められます。当社では、グループ企業理念「Sysmex Way」において「ヘルスケアの進化をデザインする。」をミッションに掲げ、新しい価値の創造に向けたチームワークを原動力とし、人事と部門が相互に協力し合う文化が根づいていましたが、2020年のジョブ型人事制度の導入を契機に、その連携はさらに深まった印象があります。

かつては曖昧な基準で採用を行うケースもありましたが、現在は必要なポジションのジョブディスクリプション(以下、JD)が整備され、明確な職務要件に基づく判断が可能となっています。さらに、ポジション管理も進めており、現行の組織図における空きポジションや人員計画の見通し、人件費や労務観点など、あらゆる視点から最適な人員配置を検討しています。そのため、外部採用だけに依存せず、育成や社内異動など複数の手段を比較・検討し、最適な形でのポジション充足について、人事と部門で協議しながら行っています。
ビズリーチのデータベースを活用することは、採用におけるマーケット感覚を養う上で大変有用です。人事が採用マーケットの状況と自社のJDを理解していれば、外部採用でのポジション充足の可能性を適切に判断し、「本当に採用できるのか」「どれほどの活動量が必要か」といった実現可能な採用計画への落とし込みが可能になります。
変革をともに進める人事の挑戦。直接応募での決定シェア6割を実現
採用活動においても、常に進化を意識しています。
かつては人材紹介会社を中心とした採用が主流でしたが、ダイレクトリクルーティングや求人検索エンジンの普及により、コストを抑えつつ候補者と直接やりとりできることに魅力を感じ大きくチャネルシフトしていきました。特に、直接応募を増やすため、ターゲティング広告の活用や応募までの導線設計、求職者の関心を引くキーワードの分析や、求人検索エンジンでの上位表示対策など、さまざまな取り組みを講じた結果、現在では直接応募経由での採用決定が全体の6割を占めるまでになりました。HRMOS採用上で求人の状態や動線、応募数の推移などが可視化されるため、施策の実行から検証までを細かくモニタリングしながら進めることができています。

さらに、選考プロセスにおける人事の介在も重視しています。リクルーターが電話面談を通じて、部門だけでは伝えきれない魅力を補足するほか、入社後の業務内容や役割について期待値をすり合わせることで、ミスマッチを防いでいます。また、候補者の専門性や志向に応じて、オープンポジションの中で適したポジションへ柔軟に調整するなど、人事が主体的に関与し、最適な採用につなげる体制を整えています。
人事関連データの共有が、意思決定スピードと質を高める
BIツールを活用した人事関連データの可視化により、部門ごとに年齢構成やエンゲージメントなどの集計データを随時確認できる環境を整備しています。その結果、人員計画や配置、サクセッションについて部門と共通の問題意識を持つことができ、長期的な視点での施策検討が進んでいます。
さらに、データの可視化が進んだことで、部門が主体的に採用や育成に向き合う姿勢が強まり、意志をもって人事課題に取り組む文化が醸成されつつあります。今後は、人事機能の一部を段階的に部門へ移管し、意思決定のスピードを高めながら、より事業貢献度の高い人事の在り方を模索していきたいです。