ニデック株式会社(前編) | HRMOS(ハーモス)

適所適材の実現と従業員への機会提供の両立へ

〜(前編)内部労働市場との向き合い方〜

ニデックが向き合う人事・採用活動

世界No.1の総合モーターメーカーとして、創業50周年を迎えたニデック株式会社。1973年に創業者・永守重信氏が仲間3人と立ち上げた会社は、M&Aを重ね、世界各国にグループ会社を拡大。「100年を超えて成長し続けるグローバル企業」「人類が抱える多くの課題を解決する世界No.1のソリューション企業集団」というビジョンの実現に向け、人事ではどんな取り組みを進めているのか、人事部人事・採用グループの田根様、山口様に、内部労働市場(社内向け施策)、外部労働市場(採用施策)それぞれへの向き合い方を伺いました。本稿では内部労働市場の活性に向けた取り組みについてご紹介します。

「One NIDEC」に向けて、新たな人事制度、社内公募制度をスタート

弊社ではグループ一体化経営の実現を目指し、「One NIDEC」をキーワードとして掲げています。これまで、積極的なM&Aによって拡大を続け、各社に経営ノウハウを伝承しながらも自主性を重んじたグループ経営スタイルで成長につなげてきました。2023年3月期には売上高2兆円を超えましたが、2025年には4兆円、2030年には10兆円の売上高を中期・長期の目標として掲げております。高い目標の達成にはグループ各社の強みを引き続き生かしながら、技術・人材の融合を図ることでさらなるシナジー効果を発揮していく必要があります。

人事制度改革にも順次着手しており、2020年以降、等級・報酬・評価制度を見直し、従業員の実力・実績をより評価に反映できる内容へと改定。メンバーシップ型だった雇用制度は、2021年より職務等級制度(ジョブ型人事制度)へと移行し、従業員の活躍と事業の成長を両輪で実現できるように基盤整備してきました。 さらに、ジョブ型雇用制度に付随する形で、2021年7月からは社内公募制度の運用をスタートさせています。社内公募自体は以前からありましたが、ポジションが空いたときに不定期で実施していたものを、従業員が自身でキャリアを形成できる制度のひとつとして、年2回、社内にて公募でポジションがオープンになるような仕組みを整備しました。

グローバルで活躍する機会を用意できる弊社だからこそ、従業員に多様な経験を積む機会を提供できるよう今後はスコープをニデック本体のみでなくグループ会社へも広げていく予定です。

キャリアプランシートの活用で、自律的なキャリア形成を促進

また、自律的キャリア形成の一貫として、「キャリアプランシート」の運用もスタートしています。従業員がこれまでのキャリアや経験・スキル、自身の想いを棚卸しし、半期に一度の頻度でシートを更新し、そのシートをもとに上司との1on1で今後のキャリアの方向性を擦り合わせていくという仕組みです。

このようなキャリア面談は上司の力量への依存度も高いため、コミュニケーションの品質を担保するため管理職向けの研修を実施し人事から後押しとなる情報を発信することで、「キャリアは主体的に考えるもの」「会社は従業員のキャリア形成をサポートすること」という全社の風土を醸成していくことにも力を入れています。キャリアプランシートは社内公募の際の添付資料としても活用されています。

人事制度は、作り込むだけでなく、その価値を最大限発揮し、従業員が主体的に制度を活用できるよう仕組みの提供を意識して行っています。

若手ポジションを中心に、社内公募での異動事例を増やしていく

人事制度改定の前までは、メンバーシップ型の雇用制度であったため人材補充は中途採用ありきで「人が足りなければ外部から採用しよう」という発想がありましたが、ジョブ型人事制度が導入され、職務を規定し、具体的な人材要件を整理した結果、「あの部署に該当社員がいるのではないか」「まずは社内公募に出してみよう」と、社内から適任の人材を探す動きがこれまでよりも進んできています。

もちろん社内にない知見や専門性を有する人材の獲得は、これまで通り中途採用を行うこともありますが、社内公募を通じた若手社員の抜擢事例が増えています。ジョブがマッチすれば、年次に関係なく挑戦できるという弊社のカルチャーも相まって、30代の部門長や20代の管理職も誕生しています。

他にも、開発のスキルや実績を重ねた若手が研究職についたり、エンジニア出身者が管理部門で採用をやってみたいという希望のもと異動を叶えたりと、さまざまなケースの社内公募での異動事例が出てきています。従来の人事ローテーションに加え、社内公募を通じて多くのキャリア転換やキャリアアップのチャンスが出てきていると言えます。 現時点でも社内公募期間中は100以上の求人がオープンになっています。年齢や現在のポジションに関係なく誰にでもチャンスがあるため、チャレンジしたい社員の背中を押せるような工夫を重ねていきたいです。

(後編 〜採用市場との向き合い方〜 はこちら

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