採用DXで大幅なコスト削減と200名を超える採用成果を実現
りそな銀行の採用変革の過程
キャリア採用開始時の状況と変革の過程
りそなグループでは、世の中やお客さまの変化に対応するビジネスの進化を遂げるため、2021年4月に「複線型人事制度(財務人財、データサイエンティスト、DXスペシャリスト等、20のキャリアコースを選択できる制度)」を本格的にスタートさせ、お客さまに最適なソリューションを提供できる多様性と専門性に富む人財ポートフォリオの構築を目指しています。専門人財の獲得やD&I進展の一環としてキャリア採用についても2020年以降注力しはじめ、年間のキャリア採用数は、2020年は30名、21年は65名、22年は124名、2023年は231名の新しい仲間を迎え入れ、毎年度目標数を上回りながら拡大を続けています。
ただ、2019年末時点でのキャリア採用の体制は、決して整っている状況ではありませんでした。当時は、現場部門が欠員などの状況に応じて業務の合間に片手間で採用活動に対応する形で運用されており、1人あたりの採用に3カ月ほどの時間がかかっている状況。また選考にまつわる業務オペレーションはグループのBPOセンター(以下、RBS)に委託しているのですが、選考のたびに、候補者情報と求人情報等の各種書類を一式印刷してファイリングし検印したものを面接官に手渡しするというプロセスとなっていました。 また、内定を出す際の社内稟議書の回覧も紙ベースで行われており、押印に1週間以上かかるなど、キャリア採用を本格的に進めるには非生産的な業務プロセスであることは明らかでした。
幸いにも社内のDX機運が高まっていたこともあり、仕組みから抜本的に見直し、オペレーションの基盤を構築する過程でHRMOS採用を導入しました。
対話を通じて部門単位、担当者単位で享受できるメリットを丁寧に説明
当社ではDXの根幹は「デジタル」よりも、構造改革という意味での「トランスフォーメーション」にあるという考えを重視しており、その変化によってどのような体験や価値向上が得られるかを大切にしています。オペレーション業務を担当するRBSを含め、当社の採用活動では長く紙ベースでの運用を続けてきたこともあり、HRMOS採用の導入による業務のシステム化に対し少なからず抵抗感はあったかと思います。なぜシステム導入が必要なのかといった上位目的だけでなく、これまでかかっていた作業時間や紙運用でのコストが具体的にどの程度削減されるのかを変更後の業務フローや作業手順を図示して説明していきました。
加えて、ビズリーチが提供しているHRMOS採用のガイドを参考にマニュアルを作成。一緒に実際の画面を操作する時間を設けながら「これなら問題なく対応できそう」という実感を持ってもらうよう細かくすり合わせながら導入を進めました。不明点があればHRMOS採用のチャットサポートを活用すればスピーディーに答えてもらえるという安心感もありました。 現在では、紙での書類回覧はなくなり、候補者にまつわる個人情報等の閲覧と面接評価シートの入力・共有はすべてHRMOS採用に集約しています。上記の書類の印刷や調整作業等、業務工数の削減効果は年間で800時間を超え、大きな生産性向上効果を実感しています。また印刷費等も含めると大きなコスト削減に繋がっています。
現場と採用チームの目線を合わせ、キャリア採用に向き合うマインドを醸成
HRMOS採用の導入をはじめとした仕組み化と並行し、キャリア採用に向き合う部門のマインドセットにも力を入れてきました。まずは要員計画に対して遅れている部門に対して提案していきましたが、もともと新卒採用文化であったこともあり、当初は「銀行員じゃない人が中途で入ってきて活躍できるのか」「どう育てていけばいいかわからない」という懸念の声もありました。
そこで、一部の部署では先入観を排除すべく「銀行員」のスキルセットを言語化していく作業を部門側と一緒に進めました。「お客さまのニーズをヒアリングする力」「折衝力」「金融知識」など、ベースとなるスキルセットを整理し、対話を重ねることで銀行特有の知識は入行後に身につけられるのではないかという共通見解を得ることができました。実際にキャリア採用の入社者も現場で大変活躍しています。 採用チームとしては、部門側が自分たちで採用した人財が優れたパフォーマンスを発揮し、事業に貢献するという好循環を生み出すことで、より自走化を促していきたいと考えています。
「必要な人財は自分たちで探す」というマインド浸透やそのための仕組みづくりは、全社的に見ればまだまだ道半ばです。求職者の方々への魅力訴求や直接応募に効く広報活動など、改善の余地もまだまだ残されていますし、今後も金融業界全体としてキャリア採用の波は加速していくと思います。その中で、りそなグループを求職者の選択肢として想起してもらえるよう、能動的なアクションをコツコツ積み上げていきたいです。