急増する応募とアナログの限界。選考リードタイムと採用単価を削減し、人事2名体制で「現場主導」の専門人材採用を実現したふくおかフィナンシャルグループの挑戦とは
ふくおかフィナンシャルグループ
- 業界: 銀行業
- 事業概要: 銀行、その他銀行法により子会社とすることができる会社の経営管理。およびこれに付帯関連する業務。その他、銀行法により銀行持株会社が行うことができる業務。
- 従業員数: (連結) 約7,928人(2025年3月末)
- https://www.fukuoka-fg.com/
株式会社ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)は、九州を基盤に、福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行やデジタルバンクなどを抱える日本最大級の地域金融グループです。「九州を魅力的な地域にする」という目標を掲げ、デジタル領域への事業戦略の転換に伴い、2019年頃からITエンジニアやデータサイエンティストなど専門人材の採用を本格化させました。今回は、人財戦略部 人財戦略グループ主任調査役(取材当時)の福嶋辰弥様、人財戦略部 人財戦略グループ調査役(取材当時)の小池恭兵様にお話を伺いました。同社がいかにして、銀行ならではの厳しいセキュリティ要件や情報管理の壁をクリアし、現場を巻き込みながら「候補者との密なコミュニケーション」に注力できる環境を実現したのか、その裏側に迫ります。
導入の目的
- キャリア採用の拡大に伴う、多様な応募経路への対応
- 現場を巻き込んだ採用体制の構築と強化
課題
- 応募数急増で表計算ソフトや紙での管理が限界に
- 表計算ソフトによる面接評価の回収の手間
- 担当者が数年で変わりノウハウが属人化
導入の決め手
- マニュアル不要で直感的に操作できるUI
- 複数の外部スカウト媒体と自動連携できる
- IP制限等に対応するSaaSで導入が容易
効果
- 7〜8割だった人材紹介会社経由の比率が4割に減少
- スカウト経由の採用の伸長で、採用単価を削減
- 人材紹介会社への求人展開の手間削減
人事2名体制で、現場主導の専門人材採用を伴走支援
―現在の人事および採用体制について教えてください。
当社は4つの地方銀行やデジタルバンクなどを抱える総合金融グループです。キャリア採用全体は人事部が俯瞰して見ていますが、ITエンジニアやデータサイエンティストといった高い専門性が求められる職種に関しては、各部門に採用活動を委譲し、現場主導で行っています。人事部の採用担当は基本2名体制で、各現場の採用担当者に伴走しながら日々の活動を進めています。
HRMOS採用 導入前の課題は、「表計算ソフトでの管理」の限界
―HRMOS採用の導入前は、具体的にどのような課題があったのでしょうか?
2019年頃から会社としてデジタル領域へ舵を切り、銀行員にはない知見を持つ外部人材のキャリア採用を本格化させました。当時は、候補者の情報は表計算ソフトや紙で管理していました。採用人数が少ないうちはそれでも回っていたのですが、応募数や面接数が急増し、スカウトや自主応募など流入チャネルも多様化したことで、従来の管理手法では立ち行かなくなってしまいました。

決め手は、マニュアル不要の使いやすさと、外部媒体との自動連携
―様々なサービスがある中で、なぜHRMOS採用を選定されたのでしょうか?
最も大きな理由は使いやすさです。マニュアルがなくても、直感的に操作できるUI/UXの良さがありました。また、複数のスカウト媒体など、外部サービスと自動連携できる点も、候補者データを手作業で入力する手間が減り、魅力的でした。
セキュリティ面についても、銀行のネットワークに直接つなぐわけではないSaaS型のシステムであり、IPアドレス制限をはじめ、当行でも問題なく導入できるセキュリティレベルでした。
また、当社はチャレンジすることに対して前向きなスタンスであり、仕事のやり方やシステムの導入においてもそうした社風が根付いている点も、スムーズに導入できた要因の一つです。
銀行ならではの厳格な情報管理を3段階の権限設定で実現
―情報管理についても、一定程度以上のレベルが求められるかと思います。その点はいかがでしょうか?
HRMOS採用の権限設定機能が非常に役立っています。具体的には、権限を大きく3つに分けて運用しています。私たち人事部は年収や採用条件を含めた全ての情報を閲覧できますが、現場のメンバーにはそういった条件面は見えないように設定しています。さらに現場の中でも、各部門の採用担当者と、面接のみを担当する面接官とで権限を分け、面接官には面接の内容のみが見えるようにしています。このような厳格な情報管理がスムーズに実現できており、運用上困ることは全くありません。

(※HRMOS採用上の権限設定のイメージ)

毎月約400名の母集団に人事2名で対応するための体制づくり
―毎月400名ほどの母集団で、応募数も多い中、人事2名でどのように採用業務に対応しているのでしょうか? 具体的な効率化の工夫を教えてください。
大きく分けて、「分業」と「システム連携による手作業の削減」で工夫しています。まず分業については、面接の日程調整は専用の派遣スタッフにお願いしており、人事は最終面接の調整など一部の業務に対応しています。
システム連携による手作業の削減としては、外部のスカウト媒体と自動連携することで、候補者のCSVデータを出力して読み込むといった手間を省いています。また、人材紹介会社への求人展開も、HRMOS採用で求人を作成し、システム内で求人紹介依頼のボタンを押すだけで済むようになり、各社でバラバラのフォーマットに合わせてメールを送付する手間がなくなりました。採用データの集計作業に関しても、レポート機能やCSVデータを活用して人材紹介会社別の実績やリードタイムを定点観測し、自動化しています。
現場への権限委譲で、人材紹介会社経由の比率を削減
―導入前は7〜8割を占めていた人材紹介会社経由の比率を4割まで下げ、スカウト経由を4割まで増やしたとのことですが、どのような施策を行われたのでしょうか?
最も大きかったのは、現場主導でダイレクトリクルーティングを推進する体制を構築した施策です。実際に現場の担当者が月に100〜200件ほどのスカウトを送信しています。それに加えて、複数のスカウト媒体をHRMOS採用と自動連携させることで、工数をかけずにHRMOS採用に応募者データを取り込み、自社主導の採用チャネルを大きく広げることができました。その結果、採用単価も削減できています。
「ビズリーチ」のカスタマーサクセスによるノウハウの浸透
―専門性の高い部門でのスカウト業務は、どのように現場へ定着させていったのでしょうか?
実は、現場を採用活動に巻き込む際、人事部だけの力で推進するのは困難でした。そこで、「ビズリーチ」のカスタマーサクセス担当者の方に入っていただき、各部門との打ち合わせにも同席してもらいました。システムの使い方からスカウトの送り方、候補者検索の方法まで全て直接レクチャーしていただいたことが、ノウハウ浸透において非常に大きな助けとなりました。他にもいろいろな媒体を利用していますが、ここまで手厚く伴走していただける媒体はありませんでした。
直感的なシステムと導入のタイミングが鍵
―現場の面接官や各部門を巻き込むうえで、他に工夫されたことやスムーズに進んだ要因はありますか?
まず、HRMOS採用のUI/UXが優れており、面接官は「A・B・C・NG」といった評価を選んでコメントを入力するだけで済む点です。直感的に操作できるため、新しく面接官になった人へのレクチャーも部門内で自然と行われており、人事へ使い方の質問が来ることはありません
また、「導入のタイミング」も大きかったと思います。現場に採用活動を委譲し始めたときにはすでにHRMOS採用が導入されていたため、現場のメンバーは過去に人事が行っていた表計算ソフトでの管理を経験していませんでした。そのため、システム移行に対する抵抗感が全くなく、スムーズに現場へ定着しました。
「候補者との対話」に注力できる環境へ
―HRMOS採用の導入で、人事のお二人にとってどのような変化がありましたか?
HRMOS採用がなければ、今の規模の採用活動に人事2名で対応するのは100%無理でした。業務が大幅に効率化された分、最も優先すべき候補者対応に時間を割けるようになっています。多い方とは入社までに20通以上やり取りし、住まいや保育園の相談に乗るなど、密なコミュニケーションをとっています。また、応募から内定までにかかる日数も改善されました。銀行特有の数年単位での配置転換があっても、システム化されたことでノウハウが属人化することなく引き継げるようになった点も大きな変化です。
システム連携によるスキルの可視化とエコシステムの構築
―最後に、採用を通じて今後どのような組織を目指していきたいですか?
私たちは「九州を魅力的な地域にする」という目標を掲げており、この方向性と目指すキャリアの矢印が合致する方に、入社していただきたいと考えています。また今後は、社内のタレントマネジメントシステムとも連動させ、従業員一人ひとりの経歴やスキルをしっかりと可視化していきたいです。社内公募や社内スカウト制度などと組み合わせることで、従業員が社内でキャリアビジョンを実現し、エンゲージメントが高まるようなエコシステムを作っていきたいと考えています。